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雲の隙間に差し込む光。新年度となり桜が咲く季節になった。この時期になると気温も上がり春一番を待つ自分が心のどこかにいた。
2021-04-17 21:01:39校長「今日から、新年度になりますが 皆さんは日々の努力を怠らず…」 大人の長い話には大変疲れる。僕は途中で抜け出し木陰のベンチに座った。
2021-04-17 21:02:52少し頭を冷やす中、上を見上げるとそこには満開の桜が咲いていた。それはどこかこの学校の生徒への新年度の希望や光が満ち溢れている様だった。
2021-04-17 21:04:17??「あー!サボってる!」 ○○「?誰ですか?」 ??「私?私は遠藤さくら!これから1 年間おんなじクラスだよ!」 ○○「あ、そーなんですね。よろしく お願いします…」 遠藤「もう集会終わったし、教室に戻 ろ?」 ○○「わかった、ありがとう😊」
2021-04-17 21:06:32彼は独特な空気を放っていた。木陰に座る彼は呼吸を忘れる位美しくどこか儚い空気を纏っていた。その日から私は彼を目で追いかける様になっていた。
2021-04-17 21:07:37桜に足を止める人も少なくなってきた。輝きは一瞬で忘れられ、過去のものに変わってしまうこの時代に私は悲しくなってしまう。私はあと何回春に出会えるだろう。そう考えれば考える程昨日と変わらず今日も咲くこの桜に元気をもらう。
2021-04-17 21:09:32さくら「○○は将来何になりたい の?」 ○○「んーまだ決まってないかなー」 さくら「そっか…」 ○○「さくらは決めてるの?」 さくら「…ううん、まだ何も決めてない の」 ○○「進路…迷うよな」 ○○とさくらが仲良くなり互いに惹かれ合うまでそう時間はかからなかった。
2021-04-17 21:12:00嬉しかった。彼から初めてデートに誘われた。この紅潮とした頬をバレない様に必死に隠す。あぁ、楽しみだなぁ。 さくら「うん、いいよ!」
2021-04-17 21:13:59この緊張感が向こうに伝わっていないだろうか。今自分の顔がどうなっているかとても気になる。しかし、彼女からのOKにざわついた心を撫で下ろすと同時にこんなに次の日曜日を待ち遠しく思うことはこの先の人生できっとないだろう。
2021-04-17 21:15:50ーxx放火事件ー アパートに火がつけられ全焼。中にいた一家は全員死亡。被害者は 遠藤☆☆(47歳・男性) 遠藤**(46歳・女性) 遠藤さくら(16歳・女性) 犯人は未だ逃走中。火は現在も消えておらず、今日は風が強く炎が広範囲に広がっているそうです。
2021-04-17 21:19:47○○は呼吸を忘れ膝から崩れ落ちた激しく目眩がする。強風に吹かれ桜が散ると共にその風は○○の精神をも吹き崩していく。○○はさくらの家に向かった。 ○○「ぁ…さくら…さくら!!」 いくら走っただろう。こんなに走るのは小学生の頃のマラソンの時以来だ。足が震える。
2021-04-17 21:22:09高3の春、○○は毎日の様にさくらの墓に通った。高校2年の初めに出会い、一ヶ月間と言う短い間だったが彼女は僕に青春と言う名の春を与えてくれた。しかし、わずか一ヶ月でこの世を去った。今日はさくらの命日だ。今日も会いに行く。下はもう向かない。俯いてばかりだときっとさくらに叱られる。
2021-04-17 21:25:26今年の桜ももう終わる。もっと咲いていたいと言う様に時間と共に散っていく。もっと前から愛を伝えていれば、なんてたらればをいくら考えたであろう。しかし、あの一ヶ月のさくらはきっと人生で1番綺麗だった。それは言葉なんかでは語れるはずがない。
2021-04-17 21:27:35今この場でこの桜吹雪を見ているのは僕とさくらだけだよ。あともう少しで消えて無くなる。あと二つ、あと一つと花が散っていく。そして今年の僕とさくらの春に終止符を打つ。風もさくらも僕にとっては春を持っていく春泥棒。しかし、その瞬間はとても綺麗で美しく、儚い。
2021-04-17 21:30:07