「東京オリンピックを中止すると、違約金は発生しないが巨額の補償金が発生する」というデマが横行中

まとめました。
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※「オリンピックを中止すると(「補償金」ではなく)違約金が発生する」というデマに関してはこちら↓


そもそも、組織委や企業は万一のオリンピック中止に備え保険に入っている

リンク JP 東京五輪中止なら保険会社の損失30億ドルも、過去最大 開催まで半年を切った東京五輪・パラリンピックが中止された場合、世界の保険会社が被る損失は20億─30億ドルと、世界的なイベントの中止に関連する損失としては過去最大となる恐れがあることが保険ブローカー話で明らかになった。

>ジェフリーズのアナリストは、東京五輪にかけられている保険は約20億ドルと試算。これに加え、ホスピタリティー部門に6億ドルの保険がかけられている。IOCは通常、夏季五輪に約8億ドルの保険をかけるほか、東京五輪組織委は6億5000万ドルの保険をかけていると推定されている。

さらに、報道各社も巨額の保険をかけている。保険ブローカー、NFPスポーツ・アンド・エンターテインメント・グループの最高執行責任者(COO)、リー・アン・ロッシ氏は「テレビ局、スポンサー各社、プロスポーツチームなどは五輪が中止された場合に備え、保険をかけている」とし、こうした保険は数年前からかけられており、感染症の拡大を理由とした中止は保険金支払いの対象になる公算が大きいと述べた。

保険ブローカーは、東京五輪が中止された場合に支払われる保険金の額は昨年の延期に関連する保険金をはるかに上回るとしている。

リンク SankeiBiz 五輪延期もNBC無傷 巨額放映権料 支払い大部分は大会実施時 米国で五輪の放映権を持つNBCユニバーサルほど、五輪に関わるために多額の資金を支払っている企業はない。2020年東京五輪が延期された今、米コムキャスト傘下のNB…

>コムキャストのブライアン・ロバーツ最高経営責任者(CEO)は、NBCが言葉とは裏腹に大会中止のシナリオを想定し、巨額の費用に対する保険に入っていたと明かした


米国が1980年にモスクワオリンピックをボイコットしたときも、放映権を持つNBCは保険で対応

リンク Yahoo!ニュース 個人 オリンピックが中止になったら、米NBC局はどうするのか。米専門家に聞きました。(谷口輝世子) - Yahoo!ニュース IOCに巨額の放送権料を支払っている米NBCはオリンピックに対して大きな力を持っている。もし、オリンピックが中止になったら、米NBCはどうするのか。米国の専門家に聞いた。

>NBCは1980年のモスクワ大会の放送権を8700万ドルで獲得した。広告業界誌AdAgeの当時の記事によると、米国がモスクワ大会をボイコットしたことで、NBCは3000万ドル以上の広告収入を失ったそうだ。

ただし、仮に、東京オリンピックが中止になっても、NBCは損失を補填する保険に加入しているとされていて、大きな損はしないと言われている。前述したAdAgeによると、1980年のモスクワ大会のときも、NBCは保険に加入していて、8700万ドルの放送権料のうち約90%を取り戻したと伝えている。広告収入では損をするが、保険もあり、大損はしないということだろう。


なお下のような数兆円の「経済損失」(=儲け損ない)を「大会中止に必要な補償金」と混同している例もあるので要注意

リンク Yahoo!ニュース 東京五輪中止の損失は4.5兆円。それでも「日本経済への影響は大きくない」と言える理由(bizSPA!フレッシュ) - Yahoo!ニュース 開催まですでに半年を切った東京オリンピック・パラリンピック。しかし、現状では平和の祭典が世界からの祝福を受けて開かれる雰囲気はない。 自身の舌禍によって森喜朗氏が辞任した東京オリンピック・パラ

「オリンピックを中止すると巨額の補償金が発生する」という噂のソースを探しても、どこにも見当たらない。

大会関係者から中止にした場合の補償金についての話が明確に出ているのであればまだしも、少なくとも現時点では「オリンピックを中止にすると巨額の補償金が発生する」という話は明確な根拠のない憶測にすぎず、デマの類であるとしか言えない。