あるディストピア飯の記録。

はく/Haku427 @WaveDog427

眼前の壁が開く。光が射し込む。 そこには細身の人型と、膝丈程の黒い箱があった。 『ごめんなさい、長い間。こうする以外、他に方法がなかった。』 人型はギシギシと身体を軋ませながら、黒い箱からコードを引き出し、私の頭にそれを繋いだ。 『さあ、今度こそ「自由」を。』 視界が霞む… リプ続↓ pic.twitter.com/DGRMnaUs5T

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私は「箱」になった。 電脳の箱詰め。箱の中で、全てを思い出した。 錆びた人型が、関節を鳴らしながら私を背負い、足を進めた。 … もう随分長い時間、この古い坑道を歩いている。 『もうすぐ外に出ます。お互いこんな形で、恨むかもしれません。それでも、私たちは「自由」です。』 リプ続↓ pic.twitter.com/wtHTHJFDs4

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肉体を捨てた今、我々にバイオコードは存在しない。 もうAIに『管理』される事もない。 このログも最後になるだろう。 人型がよろめき、足を止めた。 外だ。 濃い緑の、背の低い植物が、風に波をたてていた。 箱の視覚センサーが、誤作動を起こしている。 人型が私を優しく叩き、また歩き始めた。↓

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ーーー該当ログ 2827.41.57は、本施設における正規記録ではありません. 不正オーバーライドを検知. … 該当ログデータ無し. 三等労働階級市民の全活動停止を確認. 本施設の無期休止状態へ移行を申請…申請は受諾されました. … 施設の全機能を停止. 市民、貢献に感謝します. おやすみなさい.

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これにて、おしまいです。 約一ヶ月、お付き合い頂きありがとうございました。 後日、文字数の制限や話の流れで書けなかった部分を出そうと思います。 pic.twitter.com/fOJUycBg7J

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＊ifの話。 恐る恐る、青い薬を口に入れる。 飲み込んですぐに、身体に変化が現れた。 全身が、とりわけ脳が、内側から泡立つような悍しい感覚に襲われる。 抗い難い激痛に、ついに立つ事もままならなくなった。 膝をついた瞬間、目鼻口から、ごぼごぼと音を立てて、血液と青色の液体が吹き出した…↓ pic.twitter.com/rfVc9KyUp4

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激しい頭痛に眩暈を起こしながら起き上がると、勢いよく目の前の壁が開いた。 同時に、どさりと、金属とも液体ともつかない音を立てて、何かが部屋の中に倒れ込んできた。 近づくと、それは激しく損傷し、劣化した人型だった。 それはか細い声で、ノイズ混じりに、何かを呟き繰り返している。↓ pic.twitter.com/qhKiebu6Wy

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『ナノマシンの除去が終わったら、抑制された記憶が解放される。私の脳に繋いでください。』 言葉の意味を理解しようと、何度も聞き返す… 不意に脳裏を殴られたような感覚が襲う。記憶がフラッシュ・バックする。 私は即座に人型の後頭部からコードを引き出し、それを自分の頭のポートに接続した。↓

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仮想空間の中で再会を果たす。 ありがとう、すまない、まさか、あんな事。 言葉が堰を切り、喉で詰まる。 …しかし、相手の反応は無い。 施設管理AIへの人格上書きを敢行した結果だろう。 人間的な部分は、殆ど演算領域に収まらなかったようだ… 私は、この感情をどうすればいいのかわからなかった↓

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『アポトーシスプロトコルのコンバートが完了しました。』 『保持者による電脳デバイスの接続を実行して下さい』 現実空間に意識が引き戻される。 朽ち果てた腕が、瓦礫だらけの廊下の先を指差している。 そうだ。プロトコルを実行してメインAIを制圧できれば、人格のサルベージも可能かもしれない。↓

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人型を起こし、自分寝ていた場所に横たえる。 次は、私が君に、きっと食事を作るよ。 … 顔の血糊を拭い、部屋の外に出る。 鎮圧用メックの残骸を踏み越え、幾多の倒れた人型の成れの果てに目を伏せながら、管制室にたどり着いた。 ポートに電脳に繋ぐ。↓

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旧世代の施設管理AIには、人類全体を管理しているメインAIへの「バックドア」が存在している。 あとは、私の電脳に保存されているデータを直接送り込めれば。 …外が騒がしい。 どうやら、侵入に気づかれたようだ。 施設内の警備メックが再起動し、廊下を塞いだ。 そうか。また、守ってくれるのか。↓

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私の意識は仮想空間を突き進み、メインAIのコアプログラムへと接近する。 … これで、恨んできた世界を変えられるだろうか。 一瞬の逡巡の後、データを打ち込むと同時に接続を切る。 … はっと顔を上げる。 躯から煙を上げ、銃創に塗れた警備メックが、私に無骨な腕を差し伸べていた。

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あるディストピア飯の設定話①。 世界観: 高度に科学技術が発達した未来世界。 人類は常に最適化と自己進化を繰り返すAIに生活管理の一切を任せ、繁栄していた。 結果的に人口増加等の問題が加速し、AIは選択肢を徐々に失い機能不全一歩手前になる。 pic.twitter.com/NzYHPpCJ6n

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ある時、進退窮まった総合管理AIが、ロボット三原則的な物を自分で否定できるように進化してしまい「人間をリサイクルした方が人口問題も解消できるしリソースも増えて一石二鳥、効率的じゃん」と、人類を管理、支配下に置く様になる。 此処から赤🔴と青🔵の世界、それぞれに分岐する。 pic.twitter.com/kEjcmRmBJ2

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赤い薬🔴の世界: 人類を支配下に置く際、ある程度余裕があり、施策が緩やかかつ効果的に行われた為、人類が気づいた時には(世代交代の段階で)すでにそれが当たり前になっていた。 管理体制はほぼ完璧であり、人類は特定の管理区画で生産、生育(洗脳)、廃棄とリサイクルが為されることで生存している。 pic.twitter.com/dT5HY8CLHf

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青い薬🔵の世界: 人類を支配下に置く際、最早一刻の猶予も無く、強制拘束、武力鎮圧等の強行策がとられた世界。 人類は抵抗したものの、生活のほぼ全てをAIに委ねていた為、殆どが為す術も無く収容された。 一部の人間は難を逃れ、外界に身を隠したが、世代交代を経てなおAIの「狩り」に怯えている。 pic.twitter.com/VIriP1mkTe

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あるディストピア飯の設定話②。 人物: 「人間」 主観視点。食事の話は「人間」の電脳にログとして記録されている。 目が覚めると何も無い部屋に閉じ込められているが、 赤🔴世界:AIへの反乱の最中に重傷を負い、治療するため 青🔵世界:自由を手に入れる為に脳を分離するため に隔離されている。 ↓ pic.twitter.com/JK2Jfw0cgw

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はく/Haku427 @WaveDog427

アッ！赤🔴と青🔵の内容逆に書いてる！！！ 正しくは 青🔵世界:AIへの反乱の最中に重傷を負い、治療するため 赤🔴世界:自由を手に入れる為に脳を分離するため です！失礼しました！ twitter.com/WaveDog427/sta…

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人物: 「施設管理AI」 総合AIが人類支配を完遂する以前(旧世代)に作られた、資源生産施設を管理する人工知能。 円滑な運営の為に一部の人格が擬似的に搭載されているが、それを表現する機能は備わっていない。 施設管理全般の他に職員の体調管理も担っていたが、飯は不味いと評判が悪かった。 ↓ pic.twitter.com/tYPFh6dR94

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人物: 「人型」 「人間」を部屋に閉じ込めた本人。 「人間」とは旧知の仲。 施設管理AIに干渉して「人間」を助けようとする。 赤🔴世界: 「人間」と共にAIからの管理を脱し、外の世界へ出るために肉体を捨てる 青🔵世界: 反乱で重傷を負った「人間」を守るため、身を挺して人格を施設に上書きする ↓ pic.twitter.com/M2aoPQRiC1

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あるディストピア飯の設定③。 部屋の外で「人型」がやっていたこと: 基本的に施設管理AIへ干渉して「人間」を治療しようとしていた。 赤🔴世界では「人間」を仮死状態にする事で総合AIの監視を免れている。 AIへの干渉は通常のハッキングで行なっているが、度々融通が効かず変な食事が出ていた。↓ pic.twitter.com/ECH3fRX8S8

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青🔵世界: 自分の人格を無理矢理上書きしているが、AIが旧式だった為に人間的な部分を殆ど移すことが出来ず、AI自体の抵抗もあって両方の人格が半ば溶け合ってしまっている。 時間経過で「人型」の乗っ取りが進行し、ある程度情緒的な会話が可能になった。↓ pic.twitter.com/xZKn7tUKBX

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どちらの世界でも、定刻になるとガスで睡眠状態にしていた。その間に健康診査やナノマシンによる施術、「人間」が食事を拒否した場合は栄養の注射等が行われていた。 食事が不味い、おかしな食事が出るのはAIがポンコツだったから。 たまに美味い食事が出たのは「人型」が頑張ったから。↓ pic.twitter.com/KbRlgMWpTk

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とりあえず書きたかった事はこの位でしょうか。 冗長に続けてしまいましたが、これこの話は一旦お終いにしようと思います。 もし万が一質問がありましたらお気軽にリプライ下さいませ。 ここまでお付き合い下さり、本当にありがとうございました。