浴衣と祭りと蛤(馬頭と女子高生2)

馬頭と女子高生、続編。新キャラ投入。
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これも地元ネタの創作。

出てくるのは馬頭と女子高生と、新キャラ。


園葉凌 @iolite_night

友達に誘われてきた隣の市の祭は、毎年煩いと評判だ。提灯を連ねた山車が市内を練り歩く。それを動かすのは法被姿の若者、先導するのは紋付袴の凛々しいおじさん達。道路は車両禁止、屋台と山車が通りを占拠する。

2011-08-07 18:44:52
園葉凌 @iolite_night

で、友達と一緒にきた筈なのに私の隣にはバズさんがいた。「なんで」「ん? そりゃあ市の奴とも交流せんとな。こっちの祭も楽しいし」この馬頭は祭という行事が好きらしい。渋い浴衣まで着こなしている。「そういえば、こっち見てくる人も多いね」「見えとるんやろ」「いるの?」

2011-08-07 18:50:33
園葉凌 @iolite_night

この言葉がさすのは、バズさんの様ななんだかよく分からない人のことだ。どっから来たのかも分からないけど、皆知っているそういう人じゃない人。「此処のは俺と違って、全員に見える」「見えるんだ」「普通のに見えたり、変なんに見えたり。見え方が違うんや」

2011-08-07 18:55:46
園葉凌 @iolite_night

「へぇ……」「じゃ、俺は屋台巡りやって来るわ」片手に持っている焼とうもろこしは序の口だとバズさんは人混みに消えていく。さて、バズさんが見える私にはこの祭の住人も見えるだろうか。友達が肩を叩いて右から来る山車を指差す。一際高い山車を取り囲む法被の若者達。

2011-08-07 19:11:37
園葉凌 @iolite_night

渋い紋付袴のおじさん達が邪魔にならないよう、市民を制して進ませる。手に持つ提灯には、地区ごとで模様が変わっている。羽織りと同じ紋がほとんどだ。鐘と太鼓の喧騒を纏い、山車に彫られた動物達が夕闇に浮かんで今にも動き出しそうだ。目の前を次々と通り過ぎ、祭だなと確信に似た感動が湧いた。

2011-08-07 19:18:22
園葉凌 @iolite_night

「下がって下がって!」見惚れていると、道を開けるように声が飛ぶ。いけない、列からはみ出してたらしい。「あ」声の方に顔を動かして、思わず声を出した。なんと、ハマグリが提灯で先導していた。あの、馬頭と同じ、ハマグリ頭!羽織りの紋もハマグリで、提灯は真っ赤。

2011-08-07 19:28:58
園葉凌 @iolite_night

確かに、この市はハマグリが売りだが……いや、こっちの町も町だからなんとも言えない。相手も視線に気付いたのか、笑って手を振った。笑っているとは私が勝手に感じたことで、実際はぱかぱかと2枚貝を開閉させただけだ。

2011-08-07 19:40:10

新キャラはハマグリ頭さんでした。シンさんといいます。蜃気楼で、シン。
昔の中国では蜃気楼は巨大おばけハマグリが出すものだと考えられていたそうです。


園葉凌 @iolite_night

そんな感じで友達とはぐれて、馬頭とハマグリ頭に挟まれて「私、何やってんだろ」ってなる女の子。三人で仲良くかき氷かタコ焼き食べるの

2011-08-07 19:43:14