- suzumeninja
- 7319
- 32
- 0
- 0
skeb依頼とくべつ読み切り【発狂頭巾アトミック~七夕スペシャル:核の川に掛かる橋~】 (感想とかは #発狂頭巾アトミック でツイートしてもらえると拾えるので嬉しいです)
2021-07-07 21:11:59(これまでのあらすじ:原子力江戸歴XXXX年。先の原子力奉行、吉貝狂四郎は不慮の事故によって命を落とす。だが、時の平賀アトミック源内と杉田バイオ玄白の手によって体内に小型原子炉を埋め込まれて息を吹き返す。かくして、夜な夜な世が裁けぬ悪を裁く発狂頭巾アトミックとなったのだ。)
2021-07-07 21:12:36今日も今日とて平和な原子力江戸の町を歩く岡っ引きのハチが、巨大な竹を背負って歩く吉貝を見つける。 「あ!吉貝の旦那!どうでしたか?青竹の様子は?」 「おお、見ての通り、これよ」 吉貝が背負う竹は光り輝く青竹とは程遠い、漆黒の竹であった。
2021-07-07 21:15:05「こいつはいったい……」 「詳しいことは杉田バイオ玄白先生に聞かねばならん。丁度いい。今から行く故、ついてこい」 「へい!」 吉貝とハチは重い竹を背負って江戸城へと向かう。
2021-07-07 21:16:26……場所は変わって江戸城地下奥深くの研究室。青いの核御紋が淡く光るフスマを開けて吉貝とハチが入室する。 「ヒヒッ、待ってたよ……」 陰険な笑いで二人を出迎えるのは、バイオ奉行の杉田バイオ玄白だ。彼女は4本の腕で様々な実験道具を持ち出している最中だった。
2021-07-07 21:18:21「それでぇ……?こいつが核の川上流の竹かいな……」 杉田バイオ玄白は吉貝の背負ってきた黒い竹をまじまじと見つめ、何やた叩いたり触ったり舐めたりして状態を確かめる。 「フーム……アトミックの味が全然しないねえ……」
2021-07-07 21:21:28杉田バイオ玄白は奥のふすまの方を振り返り、大声で平賀アトミック源内を呼ぶ。 「おい!平賀のじいさん!出番だよぉ!」 少しすると襖が開き、白髪メガネのジジイが現れた。平賀アトミック源内だ。 「なったく、そんな大声出さんでも出てくるわい……」
2021-07-07 21:22:47「じいさん、アトミックならあんたの領分だ。こいつをちょいと見てみてくれねェかい?」 「ほう、青竹にしては随分と黒いな」 アトミック奉行の平賀アトミック源内は何やら機器を取り出し竹に近づける。 「うーむ、全く反応せんな」 平賀アトミック源内の機器はアトミック含有量ゼロを示している。
2021-07-07 21:25:03「だよねェ……」 「はやりか……」 杉田バイオ玄白と吉貝は深刻そうに頷く。 「え?どういうことですかい?」 一人取り残されたハチが問う。 「このままじゃ、今年の核七夕は中止ということじゃ」 平賀アトミック源内が淡々と答える。 「ええ~!?一大事じゃないですか!?」
2021-07-07 21:28:02原子力江戸に伝わる歴史上の出来事として重要なものの一つに、『核の川汚染事件』がある。数百年前、とある原子力採掘場で事故が発生し、大量のアトミック成分が川に漏れ出した。川は昼夜問わずぼんやりと青く光、その様子から”天の川”を文字って"核の川"と呼ばれるようになった。
2021-07-07 21:30:58原子力江戸っ子となった人類は川が汚染されようが問題なく生存できるが、野生動物は別だ。生態系が破壊され、そのまま放っておけば凶暴なバイオ生物が自然発生する恐れもあった。そこで、時のバイオ奉行とアトミック奉行が協力し、アトミック成分を吸い取って青く光る青竹を生み出したのだ。
2021-07-07 21:33:22