百田尚樹氏による 探偵！ナイトスクープ裏話「企画会議」

百田尚樹 @hyakutanaoki

今週は「探偵！ナイトスクープ」の企画会議は盆休み。もっともこれは全スタッフが一堂に集まる全体会議で、ネタごとの個別の会議（数名のスタッフによる）は不定期にしょちゅうおこなわれている。で、ちょっと、ナイトスクープの企画会議がどのように行われるかを書いてみる＾＾

百田尚樹 @hyakutanaoki

企画会議は某曜日の12時に某会議室で行われる。しかし定時に来ているのはアルバイトの大学生と数名のスタッフのみ。ほとんどのメンバーはだいたい数分から15分くらい遅れてくる。部屋に入ると、まず出前の注文票に食べたいものを書く。これをうっかりするとメシが食べれない。（続）

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（承前）会議に臨むメンバーは、総数30人以上。内訳は局のプロデューサー（以下P）2人、ディレクター（以下D）3人、AD1人、製作会社のD13人、AD2人、構成者6人、リサーチャー5人。このメンバーで、毎週送られてくる依頼文から採用するネタを決める会議を行う。

百田尚樹 @hyakutanaoki

（承前）視聴者から送られてくる依頼は毎週400を超える。スタッフ全員が事前に読み、誰か一人でも面白いかもしれないと思った依頼はすべて会議の場に上げられて議論される。依頼文に書かれている以上の情報が欲しいと思ったら、リサーチャーがその場で依頼者に電話して詳しい話を聞く。（続）

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（承前）言い忘れたが、400を超える依頼文はすべて事前にコピーされ、全スタッフに配られる。依頼文の中には、同じ依頼を何通も出してこられる方がいる。もしかしたら抽選で読まれると思っておられるのかもしれないが、われわれスタッフは一通残らず全部目を通しているので、ご安心を！（続）

百田尚樹 @hyakutanaoki

（承前）議題に上がる依頼は40～50、全依頼の一割くらいである。議論を重ねて、10個くらいにしぼる。13時過ぎから、注文していた昼飯の出前が三々五々やってくる。出前はカレー屋、うどん屋、定食屋、天ぷら屋と様々、ちなみに私はこの2年以上ずっと「特盛り天丼」580円。（続）

百田尚樹 @hyakutanaoki

（承前）さて、10個ほどに絞った依頼だが、これがすぐにテレビで放送はされない。依頼者が実際にどういう人であるか、依頼文に書かれていることが間違いないかどうか、さらに詳しい事情や細かい情報を調べていくうちに、テレビで取り上げるのは難しい、ということも出てくる。（続）

百田尚樹 @hyakutanaoki

（承前）この下調べというか事前調査が番組の命である。ここで活躍するのがリサーチャーと呼ばれるスタッフである。時には北海道や沖縄にも足を伸ばして、依頼者にお会いして、じっくりと話を聞く。それらの情報を全体会議で報告して、いけるとなれば、実際にＧＯサインが出る。（続）

百田尚樹 @hyakutanaoki

（承前）それだけ準備しても、ロケ直前にアクシデントやトラブルが発生して、ロケが中止になることは珍しくない。トラブルの理由は様々。ロケの数日前なら、何とか別ネタを差し替えたりして対応できるが、1日前となると大変。しかし我が優秀なスタッフはそんな土壇場でも何とかしのぐ力がある。（続）

百田尚樹 @hyakutanaoki

（承前）私が言うのも何だが、「探偵！ナイトスクープ」のスタッフである製作会社のディレクター（現在13人）は、恐ろしく優秀！　天才的なセンスの持ち主が何人もいる。おそらく映画を撮らせたら、そこらの劇場用映画の監督よりもいいのを撮るのが何人かいる。（続）

百田尚樹 @hyakutanaoki

（承前）リサーチャーもすごく優秀。こんな優秀なスタッフがいるからこそ、番組始まって24年、放送回数1200回で平均視聴率20パーセントという驚異の数字が叩きだせたのだと思う。しかし、構成者メンバー（現在6人）はチーフの私を含めて、たいした者はいない。（続）

百田尚樹 @hyakutanaoki

（承前）会議は正味3時間足らずだが、その間、笑いが絶えない。発言の90％以上が雑談である。それも恐ろしくレベルの低いアホ話である。初めて会議に参加した人は皆呆れかえる。しかしナイトスクープの発想の原点は実はこのアホ話の雑談にある。アホ話をするディレクターほど腕がいい。（続）

百田尚樹 @hyakutanaoki

（承前）そんなアホ話で笑い転げている会議だが、年に3回くらいネタのことで主要スタッフが殴り合い寸前の議論をする。大人なので実際に殴り合うことはないが、血管ぶち切れで喧嘩同然に議論する。でも考えてみれば、24年も同じ仲間でやってきて喧嘩するくらいやりあえる番組なんか他にない！（終）