「アラブの春」がテロ活動に与える影響

シナイ半島においてアル・カーイダ系と見られるテロ組織が活発化していることを事例に、「アラブの春」がテロ活動に与える影響について頭をめぐっていることを簡単にまとめてみました。
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Takuya Murakami @taku_almurakami

現在シナイ半島で進行中の事態は,「アラブの春」がテロの拡散につながるという説をサポートする一つの事例。国内の混乱が治安機関の能力低下を招き、過激派が浸透しやすくなるという考え方に、ほぼ合致している。

2011-08-23 21:43:45
Takuya Murakami @taku_almurakami

「アラブの春」がテロ以外の手段による体制変革の方途があることを民衆に気づかせたことにより、今後テロは減少していくというのがもう一方の説。この説の最大の欠点は、テロの実行者は多くの場合特定の社会においてマイノリティーに属する集団であるという視点を見落としているところ。

2011-08-23 21:47:40
Takuya Murakami @taku_almurakami

しかし、統計によればアル・カーイダへの支持は9.11のときと比べて、大きく低下している。多数派の支持を必要としないとはいえ、支持の低下はAQにとってリクルートや資金調達等のオペレーションが困難になることにつながると予想される。

2011-08-23 21:51:13
Takuya Murakami @taku_almurakami

一方、アル・カーイダへの支持、手段としてのテロへの支持とは別に、イスラーム的統治への支持というファクターがあることも忘れてはならない。政治の腐敗に対して、中東ではイスラームが有力な解答の一つとなっている。

2011-08-23 21:52:58
Takuya Murakami @taku_almurakami

イスラーム主義への支持は、AQやテロへの支持とは大きく異なるが、社会全体がイスラーム化すれば、その極にあるAQやテロリストへの主張に共感しやすくなる土壌が生まれることになるだろう。近年のトルコのイスラーム化は、トルコの外交政策を反イスラエル、親パレスチナへと変えた。

2011-08-23 21:55:57
Takuya Murakami @taku_almurakami

そして、政府ではなく民間の団体だが、支援物資を積んだ船がガザへ向けて出発し、同船のガザ入りを防ごうとするイスラエル軍と衝突するという事件が昨年発生したのである。支援船は人道的見地から出されたものであるが、その支援がハマースを利することになるという事実は、見落としてはならない。

2011-08-23 21:59:49
Takuya Murakami @taku_almurakami

「アラブの春」の影響により、これまでの腐敗した独裁政治が批判され、清廉なイスラーム主義の重要度が社会の中で高まるのであれば、それはイスラーム過激派の主張や立場に寛容な人々が増える危険性もはらんでいるといえよう。

2011-08-23 22:03:54
Takuya Murakami @taku_almurakami

しかし、スハルト後のインドネシアのように、一時的にイスラーム主義が高まったものの、腐敗のイメージを乗り越えて再度世俗的な政治が復活する場合もある。これから中東諸国がどちらに転ぶかは、今後の研究課題となるだろう。

2011-08-23 22:07:40