「聞く」と「聴く」の違い

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shinshinohara @ShinShinohara

聞いてるのに「話を聞いてくれない」と文句言われる人がいる。「いや、ちゃんと聞いてるよ。聞き足りないというなら、もちろんいくらでも聞くから言ってよ」と言うと「言っても無駄」と返され、どうしたらよいか分からない。そんな人、意外とよく見かける。こうした人は「聴く」ができてない。

2021-01-26 17:47:02
shinshinohara @ShinShinohara

ここでは「聞く」と「聴く」を分けて考えるが、この二つには大きな違いがある。話は「聞いて」いても、話す側からしたら全然「聴いて」くれない、と感じることが多々ある。聞いてるのに聴いてないという状態は、いったい何なのだろう?嫁さんと一緒に言語化を試みた。すると。

2021-01-26 17:50:06
shinshinohara @ShinShinohara

「聞いてるけど聴いてない」人は、自分の中に「答え」を持ってしまうのではないか、ということに気がついた。人の話を聞いて①早合点をしたり、②言葉(片言隻句)からのインスピレーションでストーリーを勝手に作り上げてしまう傾向があるよね、と。

2021-01-26 17:53:54
shinshinohara @ShinShinohara

相手の話を聞いて「あ、つまり君の言ってることはこうだね、ということはこういう結末になるだろ、だとしたらこういう問題がある。だから別のこうした方法をとった方がいいよ」と、どんどん話を進めてしまう。しかしそもそも最初の時点で解釈が微妙に間違ってる。なのに思考をどんどん進めてしまう。

2021-01-26 17:56:31
shinshinohara @ShinShinohara

で、「いや、そうじゃなくて」と誤解をただそうともう一度話そうとすると「うんうん、それだろ、だからさっきも言ったけどそれはこうで」とまた話を誤解したままストーリーを自分でどんどん作り、相手の話を自分のストーリーの中に固定してしまう。自分の見立てに疑問を持たない。

2021-01-26 17:59:47
shinshinohara @ShinShinohara

そもそも自分の話を誤解したまま話を進められた側は、たとえ話を「聞いた」ことにされても、「聴いた」とは思えない。自分の勝手に作り出したストーリーの中に押し込まれた不快さだけが残り、「話を聴いてくれない」と感じる。話を聞いたつもりの側は、「いや、聞いてるし」と、不満顔。

2021-01-26 18:02:59
shinshinohara @ShinShinohara

こうした話を「聞いてはいても聴いてない」人は、もしかしたら「自分の方が相手よりも理解力や判断力に優れている」という「思枠」を持ってしまっているのかもしれない。特に相手の話がたどたどしく要領を得ない場合はイライラして「それはつまりこういう話だろ」と快刀乱麻で片付けてしまおうとする。

2021-01-26 18:07:52
shinshinohara @ShinShinohara

こうした人は普段、成功体験を積んでいることが多い。なんだかうまく言えない人の話を遮って「それはつまりこういうことだろ」と見事にさばいてみせて、相手が「そう、私の言いたかったのはそれ!」と感動させることがしばしば。そうした成功体験があるために、「聴く」ことができない。

2021-01-26 18:10:18
shinshinohara @ShinShinohara

ひどい場合、相手が首を傾げていても「君が感じてるのはこういうことだ」と決めつけ、話を決着させようとする。いや、なんか違う、と相手は考えてるのに、もうその話はケリがついた、と終わらせてしまう。それはもうさっき済ませた話だろ、と。これは「聴いてない」。

2021-01-26 18:12:19
shinshinohara @ShinShinohara

「聴く」時に大切な姿勢。それは「自分は相手の真意を正しく受けとめられるか分からない」という「思枠」を抱くこと。もし相手が「そう、言いたかったのはそれ!」と言ってくれたとしても、相手自身さえ気づいていない「真意」をつかみ損ねているかも、という恐れを抱くこと。

2021-01-26 18:14:39
shinshinohara @ShinShinohara

こうした「思枠」を抱いていると自然に受け答えが変わってくる。「あなたの言いたいことはつまり、こういうことだろうか?」と、解釈に誤りがあるかもしれないという恐れのニュアンス、そして相手に伺いを立てる尋ね方になる。聴かれた側は「なんか違う」などと答えやすい。

2021-01-26 18:17:24
shinshinohara @ShinShinohara

「聴く」場合は、話す側も聴く側も、まだうまく言語化できていないことを、探り探り、一緒に言語化する作業だと言える。誰か一人が頭良くって、その人が物事を見事に整理し解決するのとは全然違う。自分も、相手も、共に言葉を探す人間として、手探りしている、同じ地平の人間として。

2021-01-26 18:19:43
shinshinohara @ShinShinohara

「聞くけど聴かない」人は、相手の言葉から瞬時に「思枠」を作り出し、その中に相手をはめ込んでしまう。相手がそうじゃない!と反抗しても「いや、そうだって」と結論を出してしまい、そこから動かそうとしない。 「聴く」人は、相手の断りなしに「思枠」を作らない。一緒に手探りして歩む。

2021-01-26 18:22:51
shinshinohara @ShinShinohara

昔、ネコを飼っていた子どもの時分のこと。弟はネコを大変可愛がり、よく抱き上げたり撫でてやったり、お小遣いで大好きなエサを買ってやったりなど、大変面倒見が良かった。 私は当時余裕がなく、エサもろくにやらないし撫でることも少なかった。ところがなぜか、そのネコに関しては私になついた。

2021-01-26 18:26:45
shinshinohara @ShinShinohara

私は不思議だな、と思った。ネコへの愛情は間違いなく弟の方が強い。私は当時、ネコなんかに構ってる余裕がなく、はっきり言って愛情薄かった。なのになぜ、そのネコは私に懐いたのだろう?そのときも不思議だったが、大人になってからも、ずっと考え続けた。そして、やっと気がついた。

2021-01-26 18:29:43
shinshinohara @ShinShinohara

当時の弟は、子どもでもあったし、何よりネコが本当に好きだったから、抱きたいし撫でたいしエサを上げて喜んで欲しかった。しかし愛情が強すぎる余り、ネコの都合にお構いなしのところがあった。眠ってるところで抱き上げたり撫でたり、腹が減ってないのに餌のところに連れてきたり。

2021-01-26 18:31:44
shinshinohara @ShinShinohara

他方、世話を嫌がっていた私は、よほどのことでない限り撫でることもエサをやることもしなかった。しかし実はこれが、ネコにとって心の声を「聴く」ことになっていたらしい。 撫でてほしいときに私しかいない場合、私のところに寄ってきた。私は、仕方ないからそういう時だけ撫でていた。

2021-01-26 18:34:04
shinshinohara @ShinShinohara

他に誰もいないとき、ネコが腹をすかせて鳴いた場合、仕方がないから私がエサを上げた。ネコが声を上げたときにだけ反応する私の方が、ネコの都合を考えずに「これが好きだろ」と、子どもらしい押し付けをしてしまった当時の弟よりも、そのネコは好ましかったらしい。

2021-01-26 18:36:51
shinshinohara @ShinShinohara

たまたまではあるが、私はネコを撫でたいわけではなかったから、ネコが撫でてほしそうなところしか撫でなかった。ネコが満足して離れていったら、追いかけなかった。ネコにあわせて対応した。ネコにはそれが心地よかったのだろう。

2021-01-26 18:38:56
shinshinohara @ShinShinohara

もしかしたら、話を「聴く」場合も、自分の聞きたいように聞くのではなく、自分の思い描いたストーリーの中で話を組み立てるのではなく、相手に確認しながら、共に手探りで見つけていく作業なのかもしれない。ネコとの距離の取り方と似ているかも。

2021-01-26 18:41:10
shinshinohara @ShinShinohara

「話を聴かない」と不満をぶつけられることがある人は、「聞いてるけど聴いてない」に陥っていないか、自分の作ったストーリーに相手をはめ込んでいないか、再検討してみるとよいかもしれない。そして「聴く」には、相手の真意をつかみ損ねる恐れを常に抱く謙虚さが必要な事を再認識するとよいかも。

2021-01-26 18:44:00
shinshinohara @ShinShinohara

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