フルーツ缶詰(30年物)を開けてみたよワトソン君

なんか東大二次後期の化学問題に使えそう
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火中の栗原@自宅用務員 @chestnut100kg

会社勤めで心身共にブッ壊し、リハビリに実家で4000坪の竹山を手入れしてたらタケノコ販売始めて3年目。実家の休耕地を利用し、タケノコ以外の作物も小さく小さく始めてます。 孟宗竹60a・真竹70aを栽培中、根曲竹・四方竹・淡竹・緑竹を育成中。マコモ田も開拓中です。 統合失調症18年目💊

火中の栗原@自宅用務員 @chestnut100kg

30年モノのフルーツポンチ缶を開けたら真っ黒でした。 ほぼ無臭ですが甘味は全く無し。 あとで土に還してやるか…(ヽ´ω`) pic.twitter.com/yCC4jHOPPH

2021-11-02 20:59:30
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火中の栗原@自宅用務員 @chestnut100kg

こちらの1990年産のミカン缶も真っ黒。 臭いはフルーツポンチ缶と似て少し金属臭さがありました。 pic.twitter.com/gIimsPmz5w

2021-11-03 20:14:43
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れい(猫耳の専門家)🍥 @rei_software

水が残ってる→缶に穴が開いたわけではない 形が残ってる→セルロースは残ってる 缶は膨れてない→ガスは発生してない ∴雑菌は繁殖してない≈食っても死なない つづく twitter.com/chestnut100kg/…

2021-11-04 00:28:29
れい(猫耳の専門家)🍥 @rei_software

甘味なし→糖分は分解 匂いなし→揮発性有機化合物の分解 缶の内蓋の腐食なし→金属の溶出などは無し。あっても少し。 缶が膨れてない→ガス発生なし→有機物の酸化反応ではない

2021-11-04 00:34:03
れい(猫耳の専門家)🍥 @rei_software

「匂いなし」でわかることは正確にはこう。 「揮発性or芳香性有機化合物がない」 もともとは(みんな知ってるように)匂いがあった。 それがなくなっただけでなく、 「何か反応が起きたあとにその反応生成物に匂いがない」ということ。 もしくは、「当初はあったがその物質がさらに分解されてる」

2021-11-04 01:16:29
れい(猫耳の専門家)🍥 @rei_software

この事実から、単純なメイラード反応やカラメル化反応ではないことがわかる。 メイラード反応もカラメル化反応も、特有の香気成分が発生する。 缶は密閉されているので反応生成物が逃げることはない。

2021-11-04 01:19:23
れい(猫耳の専門家)🍥 @rei_software

また、この黒変現象はすべての缶詰に共通というわけでもない。 昔界隈で話題になった100年前の缶詰の話を見つけたので貼っておく。 web.archive.org/web/2007050915… 100年まえのコーンの缶詰も、40年前の肉や野菜の缶詰も、問題なく食べられたという話。 「黒変」の報告はない。

2021-11-04 01:26:01
れい(猫耳の専門家)🍥 @rei_software

ここまではツイート画像の観察や過去の事例からの事実の列挙。 ここからが推測。 缶詰はシロップ漬けだったこと、糖類はエネルギーが高く不安定であることから、味が炭だったことから、 糖類のゆっくりとした熱分解による炭素生成ではないだろうか?

2021-11-04 02:58:35
れい(猫耳の専門家)🍥 @rei_software

糖類の熱分解に必要な活性化エネルギーは…例えばこれ。 Thermal decomposition and color formation in aqueous sucrose solutions. Sugar Technol. Rev. 6(1), 1– 48. グルコースは約120~140kJ/mol。 フルクトースは約90~100kJ/mol。 ここから反応の進行速度を計算してみると。

2021-11-04 02:58:36
れい(猫耳の専門家)🍥 @rei_software

20℃保管だと フルクトースは2年で10%減り、30年で97%減る。 グルコースは2年で1.5%、30年で30%減る。 (反応速度の定数は適当な文献を参考にした) 分解の律速段階は糖のそのものの分解で、 分解生成物は糖に比べて速やかに分解されるので、 缶詰の中の濃度は十分に低くなる。

2021-11-04 03:06:57
れい(猫耳の専門家)🍥 @rei_software

実際には果物があり、熱を加えてるとはいえ様々な物質があるので、分解の活性化エネルギーはもう少し下がってもおかしくない。 つまりもう少し早く黒くなる。 同じ「糖」であるセルロースは重合してるので分解の活性化エネルギーははるかに高く、室温では全く分解しない。

2021-11-04 03:09:25
れい(猫耳の専門家)🍥 @rei_software

水分存在下での糖の炭化、 自然界で高圧(と少しの高温)で起きるのが「石炭化」で、できたものが「石炭」。 人工的に高圧と高温を加えて作るのが「水熱炭化」。 これらは主に重合したセルロースを対象にしてるので、高温高圧や長い時間が必要だけど、

2021-11-04 03:19:23
れい(猫耳の専門家)🍥 @rei_software

重合してない単糖を「シロップ」として入れたために この炭化現象が ・室温程度の温度 ・30年の程度の時間 で起きたのではないかな。

2021-11-04 03:19:24
れい(猫耳の専門家)🍥 @rei_software

まぁ炭化はキャラメル化とはほぼ同じプロセスなんだけど、キャラメル化はネバネバした重合体が形成される。 まさに「キャラメル」なので。 これは室温の熱分解なので、重合体を作るエネルギーはなくて、水はさらさらしたままのはず。 写真からは多分さらさらしてると思う。

2021-11-04 03:23:58
れい(猫耳の専門家)🍥 @rei_software

メイラード反応ではないのは上で言ったように「匂いがない」ってのもあるけど、そもそも反応するべき「アミノ酸」が足りない。 甘くないってことはほぼすべての糖類が反応してるわけで、アミノ酸過多でないとおかしい。 フルーツのシロップ漬け、そんなにたんぱく質ない。 プロテインじゃない。

2021-11-04 03:26:15
れい(猫耳の専門家)🍥 @rei_software

まぁそういうわけで、多分、シロップの分解による炭化。炭なので食っても多分大丈夫。 栄養価は…

2021-11-04 03:31:31
れい(猫耳の専門家)🍥 @rei_software

もともとフルーツなのでたんぱく質はほぼ無し。 缶詰なのでビタミンも無し。 糖類は分解して人類が利用できない炭。ゼロカロリー。 ミネラルは残ってる。缶から溶け出した鉄が追加。 あとは炭化しなかったセルロース=食物繊維。 クソまずいダイエットフードにはなるかも。

2021-11-04 03:31:31
れい(猫耳の専門家)🍥 @rei_software

あ、もう一つ。 文明崩壊後の世界を生きる予定の人のために情報を残しておく。 缶詰を選ぶときは「甘い」のはダメ。甘いのは「単糖」なので、今回のように炭化してる。 重合した糖である「セルロース」は人類はカロリーにできない。 もうひとつの重合した糖である「でんぷん」を選べ。

2021-11-04 03:36:07
れい(猫耳の専門家)🍥 @rei_software

「缶の鉄が溶けて…」とか「酸化」って意見もあったので、そうででないと思われる理由を書いてみる。 まず、缶が無事であるという事実がある。 鉄を水に溶かすには「酸化」が必要。 つまり鉄は還元剤なんだが、 30年かかってもまだ缶は無事で、鉄が残っているので、内容物にはもう「酸化力」が無い。

2021-11-05 04:12:29
れい(猫耳の専門家)🍥 @rei_software

また、中身はシロップ漬け。 糖類は酸化されてエネルギーを取り出す=他の物質からみると還元剤。 つまり、缶の内部は十分に「還元雰囲気」だったということになる。 鉄は溶出しない。 糖も酸化しない。

2021-11-05 04:12:29
れい(猫耳の専門家)🍥 @rei_software

糖が酸化しないので、グルコン酸もできない。 鉄が溶けないので、グルコン酸鉄もできない。 頑張ればピルビン酸は出来るかもしれない。 (グルコースの嫌気解糖) が、そうすると乳酸やエタノールに分解されて、匂いがする。匂いは無かったので、それもない。

2021-11-05 04:17:04
れい(猫耳の専門家)🍥 @rei_software

これは前ツイートした鉄のプールベ図。 果物もあるし、最初は酸性(PH<7)で、多少鉄が溶けて水素が出たかもしれない。 が、その結果電位とPHは移動。 Fe3O4やFe2O3の位置に移動して、そこで反応はおしまい。 30年間その電位、そのPHだったはず。 twitter.com/rei_software/s…

2021-11-05 04:51:43
れい(猫耳の専門家)🍥 @rei_software

つまりおおよそPH7。-0.1~-0.4V。 グルコースがグルコン酸になるにはアルカリで酸化しないとダメなので、pHも酸化剤もないので反応はおきない。

2021-11-05 04:54:10