すいこばなし【北方謙三水滸伝・楊令伝小噺集】2021/11/1-30
- suikobanashi108
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班光「憂鬱だな…」 史進「どうした班光。とっておきのつけ乳首を無くしたのか?」 班「…茶化さないでください」 史「それはすまん」 班「日照が少なくなったからか、憂鬱なことが多くて」 史「よし。そんな班光に幸福になる脳内ホルモンについて伝授しよう」 班「なんですか、それは?」
2021-11-16 18:39:51史「快を司るドーパミン」 班「はあ」 史「安心を司るセロトニン」 班「はい」 史「そして幸せを司る」 班「…」 史「オキシトシシンだ」 班「ん?」 史「ドーパミンは名誉やしたたかを」 班「それではありません」 史「セロトニンは朝食をよく噛んで食べると」 班「違います」 史「オキシトシシンは」
2021-11-16 18:39:52班「結局そうやって、私をからかうんですね」 史「何を言うか、班光。この史進。部下のTPOに合わせたフォローには定評があるだろう」 班「そうですけど…」 史「オキシトシシンの何がおかしい」 班「オキシトシシンはどうすると出るんですか?」 史「抱擁だ」 班「抱擁」 史「ハグだな!」 班「ハグ」
2021-11-16 18:39:52秦明「二竜山で嵐とは」 郝思文「雷も止まりませんね」 解珍「勝負しろ秦明」 秦「何と?」 解「天」 秦「天?」 !! 解「天の霹靂火がお前を挑発しているぞ」 秦「ふむ」 郝「やるのですか、秦明殿?」 秦「!!」 郝「!?」 解「勝るとも劣らんやかましさだ」 … 郝「雲行きが?」 解「怒らせたか」
2021-11-17 17:58:14!!! 郝「!?」 解「なんだそのリアクションは、郝思文」 郝「すごく近かったではないですか」 秦「…」 解「行け、霹靂火」 秦「!!!!!」 郝「!?」 解「滑稽だな、郝思文」 … 郝「風が止んできた?」 解「嵐を吹き飛ばせ、秦明」 秦「…」 郝「まさか」 秦「!!!!!!!」 郝「!?」 …………
2021-11-17 17:58:14郝「…晴れ間が見えてきました」 解「天の霹靂火を司る者との立合いに勝ったな、秦明」 秦「…サスガニコエガデン」 解「言ってみるものだな」 郝「天でいったい何が起こったのでしょう」 解「それにしても郝思文のリアクションは滑稽だった」 郝「…お恥ずかしい」 解「嫁の前でもするだろう」
2021-11-17 17:58:15秦明…霹靂火の本領発揮。一週間は声が出なかった。 解珍…生前の嫁の前でしょっちゅう変なリアクションしてたのを棚に上げている。 郝思文…リアクション芸が郝瑾にも移っているのが、申し訳ない。 天…あまりの剣幕に散ってしまった。
2021-11-17 17:58:18呉用「しまった」 阮小五「俺も一度は呉用殿のように綺麗なしまったを言ってみたいですな」 呉「綺麗なしまったとはなんだ」 阮「俺如きのしまったでは、呉用殿の足元にも及びません」 呉「言いたくて言っているのではない」 阮「俺の仕事はしまったなんて言った途端に死にますからな」 呉「しまった」
2021-11-18 20:11:13朱仝「髭以外のアイデンティティが欲しい」 雷横「そんなもんいくらでもあるだろうが」 朱「例えば?」 雷「クソ真面目すぎるほどの義理堅さ」 朱「…」 雷「武芸の腕前とかもあるな」 朱「それは全て関羽のアイデンティティの二番煎じになるのではないか?」 雷「!」 朱「美髭公もおこがましいぞ」
2021-11-19 19:19:56雷「朱仝にあって関羽にないものを探そう」 宋清「兄上?」 朱「劉備、曹操という大型スポンサーがいる」 雷「俺だ!」 朱「張飛の存在を忘れるな」 宋「あとはお前が溺愛していたという坊ちゃんか」 雷「甥っ子だよな」 朱「音信不通になって久しいが」 宋「関羽にないものが無い」 雷「厳しい戦だ」
2021-11-19 19:19:56朱「思い切って俺が関羽にあるものを引き算して、その差をアイデンティティとするのはどうだろう?」 雷「よく分からんが」 宋「何を引き算するんだ?」 朱「…髭を頼む」 雷「剃るのか?」 朱「俺のアイデンティティのためだ」 宋「髭のない美髭公になるが?」 朱「物は試しだ」 雷「喜んでやろう!」
2021-11-19 19:19:57朱仝…愉しかったか? 雷横…すまん朱仝… 宋清…愉しくなって、奇抜な残し方をしてしまった…
2021-11-19 19:19:59班光「…やられましたね」 鄭応「あの料理であの会計はなかろうが」 葉敬「すっかり萎えちまったな」 史進「どうしたお前たち?」 班「聞いてください史進殿!」 鄭「ぼったくりにあったのです!」 葉「つまらない店に引っかかっちまいました」 史「どの店だ?」 班「まさか史進殿、我らのために?」
2021-11-20 12:58:18史「そんな訳があるか。どの店か教えろ」 鄭「…あのやたら客を招き寄せている店です」 史「その時点でアウトだ、お前たち」 葉「それは?」 史「この地域は露骨すぎる客引きを禁じる条例があるではないか」 班「そういえば!」 史「その時点で自業自得だ」 鄭「面目ない…」 史「ついて来い、お前ら」
2021-11-20 12:58:19葉「どこへ行くんです?」 史「良い店の見分け方を伝授する」 班「お願いします!」 史「もっとも俺もフィーリングがほとんどだが」 鄭「その辺俺は疎いんですよね」 史「…」 葉「史進殿?」 史「あの店員の店」 班「如才がなさそうです」 史「目配りと立ち振る舞いに隙がない」 葉「武術と一緒だ!」
2021-11-20 12:58:19史進…店員の活気は評価材料の一つだ。 班光…メニュー表にオリジナリティが伝わってきますし、値段も適正だ。 鄭応…酒が来るのも早い! 葉敬…座席の位置も大切なんですね!
2021-11-20 12:58:23王英「…」 扈三娘「…」 王「…」 扈「…」 王(なあ、扈三娘の一言すら言えない) 扈「…」 王(俺は扈三娘の夫になって、何がしたかったのだろうか) 扈「…」 王(ここは一つ、意を決して…) 扈「それでは」 王「…どこへ?」 扈「もう寝るのですが」 王「…分かった」 扈「…」 王(何もできなかった…)
2021-11-21 14:38:00王(扈三娘は、これでよいのだろうか?) 扈「…」 王(もっと人と話したり、日常を共有したりしたくならないのだろうか?) 扈「…」 王(いかん俺の中で堂々巡りしている) 扈「…」 王(俺も寝なければ) 扈「…」 王「!?」 扈「…」 王(寝相か…) 扈「…」 王(扈三娘が俺の前でここまで隙だらけになるとは)
2021-11-21 14:38:00王英…悶々としたそれは、全て白寿のもとへしたたかに。 扈三娘…家はチェックポイントくらいにしか思ってない。 楊林…王英の結婚生活に対する苦言を呈する相手はもっぱら劉唐。
2021-11-21 14:38:03張藍「いい夫婦の日ですね、林冲様」 林冲「そうなのか?」 張「十一月でいい。二十二日で夫婦です」 林「ならば十一月はなんでもいい日になってしまうな」 張「たとえば?」 林「二十三日はいい兄さんの日」 張「はい」 林「二十九日はいい副官の日」 張「まあ」 林「もはやなんでもありではないか」
2021-11-22 18:01:04張「とにかくいい夫婦の日を祝いましょう」 林「俺たち以上のいい夫婦がいるとは思えんが」 秦明「聞き捨てならん」 張清「お前たちごときには負けん」 宣賛「夫婦の貢献度についても吟味する必要があると思う」 郝思文「私は家族全員が貢献しているぞ」 林「なんだゾロゾロと」 張「大所帯ですね」
2021-11-22 18:01:05宋江「どの夫婦がいい夫婦か競うだと?」 公淑「はい、宋江様」 宋「…」 呉用(ぎこちない?) 楊志「梁山泊にはいい夫婦候補が随分と多いな」 呉「どういう方法が…」 宋「夫が愛を叫ぶか、妻が愛を囁くか、どちらかだろうな」 呉「それは」 宋「アンケートを設けたのでどちらで競うか投票を頼む!」
2021-11-22 18:01:05