イエール大助教授・成田悠輔氏による「民主主義はオワコン」説は本当? 「民主制は、バカが徒党を組んでパルプンテする仕組み」? ――AI民主政とAI独裁制の違いについて
したがって、地理的な位置関係がまず原因の根本にあって、民主主義の普及度合いと、コロナに対する免疫、という両方の結果が出てくる、というのが真の因果関係ではないか、という異論も出せる。
2021-12-18 22:32:56ただ、ロックダウンの効果はあるはずだとか、民主制より専制政治の方が、感染症対策は上手くいくはず、という考えは、直感的には分からなくもない。
2021-12-18 22:35:24そのように、本当は難しいところが残る問題だと思う。が、尺の都合もあるので、ここまでは丁寧に論じてきたが、ここからはもっと大雑把な理屈で行こう。
2021-12-18 22:36:47かりに百歩譲って、成田氏の言うように、コロナ対策の失敗の原因が、民主主義なのだとしよう。しかしそれは、民主主義をやめる理由にはならない。なぜか?
2021-12-18 22:38:16上のリンクで分かるが、平均寿命の長い上位国は、ほとんど欧州または西側諸国、自由主義諸国ではないか? 新型コロナの死亡者は高齢者が多いので、平均寿命をほとんど短縮しない。
2021-12-18 22:42:21日本で言うと、新型コロナの死者は、全体の死亡者の1%くらいで、99%は別の死因で亡くなっている。だから、コロナだけにこだわる方が、むしろ非合理的だと思う。
2021-12-18 22:43:50たとえば、かりに北朝鮮が「ゼロコロナ」を達成していたとして、日本人が北朝鮮に移住したいとは思わないだろう。政治体制の良し悪しは、社会のトータルで考えるものだから。
2021-12-18 22:45:15正確な数字は確定していないが、北朝鮮の餓死者数は、30万人~300万人いると言われている。だから、かりにコロナの死者数が少ないとしても、トータルで考える必要がある。
2021-12-18 22:47:07また、上のグラフから分かるように、ロシア男性の平均寿命が先進国よりも短い、ということから、やはりこちらもトータルで考える必要があるだろう。
2021-12-18 22:50:22たしかに、民主国のグループが、非民主国のグループに経済成長率で負けている。が、それは2000年代に入ってからの話だろう。先に引き離されたから、追いつこうという動きであって、まだ追いつけていない。
2021-12-18 22:52:33一人あたりGDPランキングを見ても、平均寿命の時と同じような国が、上位を独占しているのが分かるだろう。つまり、ほとんど西側諸国/自由主義諸国が中心だ。
2021-12-18 22:54:52中東の産油国以外で例外的なのは、シンガポールくらいか。同国はたしかに、ランキング上位で豊かだが、東京23区より少し大きいくらいの面積で、規模が小さい。だから、タックスヘイブン政策ができるのであって、人口が多い大国は真似できない。
2021-12-18 23:01:18「中所得国の罠」という言葉がある。だいたい国民所得1万ドル付近から経済停滞が始まる、というものだ。こういうのを見るに、べつに民主制をやめれば、経済発展するものでもないと思う。
2021-12-18 23:05:16むしろ、「中所得国の罠」を突破するのには、民主制や自由主義の徹底による、「(高度)情報化社会」の実現が必要なのではないか、と私は逆の立場に立ちたい。
2021-12-18 23:06:44「情報立国」「金融立国」「観光立国」、という現代的な経済政策は、基本的に自由主義の国でないと難しい。たとえば、北朝鮮のように鎖国すると、発展しない分野だ。グローバル経済に立脚しているから。
2021-12-18 23:09:03これは何か? すごくざっくり言うと、ITを活用した民主主義のアップデート、といった所だろうか。オワコンだからやめる、というよりはアプデせよ、というのが成田氏の立場か。
2021-12-18 23:11:52じつは私は、こちらについては賛成だ。民主主義がオワコンとは私は思っていないが、IT活用によって、より民主制が発展すると思っているからだ。
2021-12-18 23:13:03少なくとも、「自分たちだけで、独立国を作ろう」というリバタリアン的な世界観よりは良いと考える。それに成田氏が魅力を感じているとすれば、成田氏が強者であるからだ。
2021-12-18 23:16:13