四の舟×おろし丸による 『スケッチブック リレー小説~ねぎくが 乙女の悩み編~』

スケッチブックの知識必須。加えて、カップリング妄想が好きな人向け。空閑さんの乙女心にまつわる小話。
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四の舟(よつのふね) @YOTSUnoFUNE

@oroshiwanko 「根岸は巨乳がすきなのかー?」「ん? まあ、そうかもな・・・」 根岸ちゃんとそのお友達との会話で、根岸ちゃんがそう友達に返した瞬間、私は自分のいる教室から、奈落の底へと落ちた気分になった。

2011-09-03 01:29:33
焼き鳥P @Yakitori_P

@YOTSUnoFUNE 風呂場は日々のストレスを洗い流してくれる場所なのに、そこにある鏡は私に多大なるストレスを与えている。「……」いつからだろう、ブラを買い替えると言う行為をしなくても済むような体になったのは。

2011-09-03 01:31:25
四の舟(よつのふね) @YOTSUnoFUNE

@oroshiwanko 別に、自分の体型に不満なんてと、ない。もともとやせっぽっちな体型で育ってきたから、「ナイスバディ」なんてものは、とっくの昔にあきらめていた。だか、その時の根岸ちゃんの言葉も、軽く受け流せるはずだった。・・・はずだった。

2011-09-03 01:34:23
焼き鳥P @Yakitori_P

@YOTSUnoFUNE なんで、こんなに苦しいのだろうか。リラックスバスタイムも今の私には苦行でしかない。ちっとも育っていないこの胸は根岸ちゃんの興に合わないだろうな、とそれが鏡を見るたび頭に浮かんでしまう。

2011-09-03 01:36:07
四の舟(よつのふね) @YOTSUnoFUNE

@oroshiwanko 根岸ちゃんの、友達との他愛もない言葉・・・。けれど、私にとっては衝撃以外の何物でもなかった。気がつけば、私は根岸ちゃんと顔を会わせずらくなってしまっていた。クラスでも、美術部でも、校内では彼を避けるようになってしまった。たかが、胸のことだけで。

2011-09-03 01:40:01
焼き鳥P @Yakitori_P

@YOTSUnoFUNE 別に根岸ちゃんは女性を胸で見たりするような人間じゃないって言うのは、1年間同じ部活で一緒だった私にはよく分かっている それでも、それでも理解できていても身体が拒んでしまう。

2011-09-03 01:41:37
四の舟(よつのふね) @YOTSUnoFUNE

@oroshiwanko そして、私は、今日も部活をさぼって帰ろうとしていたのだった。展覧会までまだ余裕もあるから、サボタージュしたところで部活に影響はでまい。昇降口で上履きを脱ぎ、ローファーにはきかえた時だった。「お? 空閑も今日は帰るのか?」

2011-09-03 01:46:07
焼き鳥P @Yakitori_P

@YOTSUnoFUNE 聞きなれた、聞きたくなかった声。振り返るとそこには根岸ちゃんがスニーカーを持って立っていた。「…根岸ちゃん、部活はいいの?」「展覧会まで余裕あるからな、それにみなもが早く帰って来いって言うもんだから。」

2011-09-03 01:47:55
四の舟(よつのふね) @YOTSUnoFUNE

@oroshiwanko 「あら、そう・・・」 会いたくなかったのに、どうして会ってしまったんだろう。いつもなら、根岸ちゃんをからかいながら(私が)楽しく帰るところなのに、今は冗談交じりで話ができる自信がなかった。「空閑も帰るんなら、途中まで一緒に帰らねえか?」 「・・・うん」

2011-09-03 01:50:12
焼き鳥P @Yakitori_P

@YOTSUnoFUNE 自分は不器用なのだな、と思ってしまう。こういう不測の事態にどう動いたらいいのか、思いつけない。何を話したらいいのか、思いつけない。「…どうしたんだ?空閑」「…なんでも、ないの」

2011-09-03 01:51:42
四の舟(よつのふね) @YOTSUnoFUNE

@oroshiwanko こんなに居心地の悪い帰り道は初めてだった。根岸ちゃんはときどき話しかけてきてくれるのに、私はそれに相槌を打つことしかできなかった。会話が弾まない。そんな私を見て、根岸ちゃんも次第に口数が減っていった。

2011-09-03 01:55:19
焼き鳥P @Yakitori_P

@YOTSUnoFUNE 夕焼けが綺麗なのに、根岸ちゃんもわたしも一言も話せない。時々表情をうかがおうとするのだがそれはかえって互いを牽制し合う形になる。「…なあ、空閑。何かあったのか?」「え?」

2011-09-03 01:56:58
四の舟(よつのふね) @YOTSUnoFUNE

@oroshiwanko ふいに根岸ちゃんがそんなことを聞いてきた。「そんなことないわよ・・・」「じゃあ、なんで俺から目をそらすんだよ」 俯く私の前に回り込んで、根岸ちゃんが私の顔を覗き込んできた。「なんでもないのよ・・・」「だから、目をそらすなって」 また回り込まれてしまった。

2011-09-03 01:59:56
焼き鳥P @Yakitori_P

@YOTSUnoFUNE …彼はいつもこうだ。いつもカリカリしてるわりに、こういう細かい観察眼はあって他人に対する気配りもできる。そして自分が興味を持った事に対しては驚くほどの行動力を見せる。「……ねえ、根岸ちゃん。」 こう言う相手には、敢えてストレートをぶつけてみるのも悪くない

2011-09-03 02:02:33
四の舟(よつのふね) @YOTSUnoFUNE

@oroshiwanko 「ん? なんだ。言ってみろ」 「胸の大きい女の人が根岸ちゃんの好みなの?」 一瞬の沈黙。根岸ちゃんの目が点になったかと思うと、彼は頬を真っ赤に染めた。「な、なんだよいきなりっ!?」 案の定のリアクション。だから、私は表情を変えず、聞いた。「答えて…」

2011-09-03 02:06:05
焼き鳥P @Yakitori_P

@YOTSUnoFUNE 「…なんなんだよ、全く……」眼を反らし、口ごもる根岸ちゃんにさっき私がされたように私は回り込む。「答えるまで、聞き続けるわよ。」「タチ悪いなオイ!」「ねえ…」

2011-09-03 02:12:07
四の舟(よつのふね) @YOTSUnoFUNE

@oroshiwanko 「うーん・・・ さてはお前あいつとの会話聞いてたな?」「・・・ごまかさないで答えて」 その通りだと頷きたくはなかった。恥ずかしいし、根岸ちゃんに胸くらいでいじける女の子だとも思われたくもなかったから、口調が強くなってしまった。「別に、気にしてねーけどな」

2011-09-03 02:14:26
焼き鳥P @Yakitori_P

@YOTSUnoFUNE 「…そう」「別にそこだけ見て判断してるわけじゃねーからな」 「…そうね」 何故か、心が軽くなったような気がした。

2011-09-03 02:22:36
四の舟(よつのふね) @YOTSUnoFUNE

@oroshiwanko 「そうよね。根岸ちゃん、赤ちゃんみたいにお胸が好きってわけじゃないわよね」 「赤ちゃん言うな!」 「あっ、でも根岸ちゃんが『おっぱい~』とか言ってる姿は見てみたいわね。きっとかわいいと思うから」 「かわいくねーっての!!」 黙っていた分言葉が溢れてきた。

2011-09-03 02:25:03
焼き鳥P @Yakitori_P

@YOTSUnoFUNE その後、私は根岸ちゃんと別れて家に帰ってきた。普段の日常が、そこにはある。風呂場の鏡が映す自分の身体を見ても、もうため息は出てこない――多少、小さいけれど。

2011-09-03 02:29:42
四の舟(よつのふね) @YOTSUnoFUNE

@oroshiwanko 「…牛乳飲めば大きくなるかしら?」 大きさなんて考えていないとは言っていても、彼の気持ちには応えたい自分がいる。「ユタンポー」 (にゃあ?) 「やっぱり、胸は大きい方がいいのかしらね?」 (にゃー…?) 困った顔のユタンポを見て、私はクスリと笑った。

2011-09-03 02:33:38