「口裂け女」異聞[三]

「わたしきれい?」と最初に言い出したのは、誰なんでしょう?
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青山葵@カシマさん研究 @aowasabi1972

「口裂け女」異聞[三] 【「私きれい?」と言い出したのは誰か?】このカシマさんの事例は、質問が「私きれい?」になっている珍しいものです。さらに興味深いことに、語られていたという年代が口裂け女の大流行より前になっています。しかしこの話には、はっきりした参照元というか元ネタがあります pic.twitter.com/P8tWQgDeXc

2022-01-11 19:30:02
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青山葵@カシマさん研究 @aowasabi1972

『はだしのゲン』(中沢啓治)のワンシーン。原爆投下直後の焼野原を彷徨うゲンが、かつては美しい踊り子だった大原夏江に出会う場面です。夏江は無惨にも顔全面にやけどを負ってしまいますが、手元に鏡も無く自分では確認できません。そこでゲンに尋ねます。「ねえ、あたしの顔きれい…?」 pic.twitter.com/710NegDtSb

2022-01-11 19:30:06
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青山葵@カシマさん研究 @aowasabi1972

見て頂くとわかる通り、マンガのシーンがほぼそのままに説話化され、見事にカシマさん話に取り込まれています。呪いの構造が本体で話の内容は何でもいいカシマさん伝承の好例と言えるでしょう。その頃の語り手達が怖いと感じていた事象をタイムカプセルの様に閉じ込め残す、カシマさん伝承の魅力です

2022-01-11 19:30:06
青山葵@カシマさん研究 @aowasabi1972

『はだしのゲン』は1973年6月から「週刊少年ジャンプ」に連載され、1975年5月に汐文社から単行本化されました。この単行本が全国の小学校の図書室や学級文庫に並べられました。その理由には触れませんが、学校で読める唯一のマンガとして当時の多くの子どもたちがこの場面に触れています。

2022-01-11 19:30:07
青山葵@カシマさん研究 @aowasabi1972

当時の子どもたちには、このエピソードが相当のインパクトがあった事は、カシマさんの話に取り込まれている事からもわかると思います。聞くところによると、大流行以前の口裂け女の話には、「私きれい?」という問いかけは無かったと言います。あるいは、口裂け女にも取り込まれたのかも知れません。

2022-01-11 19:30:07
青山葵@カシマさん研究 @aowasabi1972

ただし、口裂け女の本名はカシマレイコという情報から、この話が直後変化して口裂け女伝承が生まれたと考えるのはどうでしょう。由来や形態を捨て、呪いの構造や呪言カシマまで捨てて、都合のいい事に「私きれい?」要素だけを語り残して変化したとは、とてもじゃ無いですが、思えません。

2022-01-11 19:30:07
青山葵@カシマさん研究 @aowasabi1972

百歩譲ってもし仮に、その様な変化が起こったとして、それにより口裂け女の本名が語られるようになったのだとしたら、それならば本名はカシマレイコではなく、オオハラナツエと語られていなければ論理的におかしな事になりますね。…口裂け女の本名はオオハラナツエというのは冗談ですから。念のため。

2022-01-11 19:30:08
青山葵@カシマさん研究 @aowasabi1972

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2021-12-31 03:48:14
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