稲川淳二の『つぶやき怪談』(2022.01.31)

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稲川淳二 @Junji_Inagawa

山奥にある巨大なダムから作った、 大量の電気を山から山へ送電線で送り、

2022-01-31 21:18:54
稲川淳二 @Junji_Inagawa

都市部に電気を供給する、 電力会社の関連会社だったんです。

2022-01-31 21:19:05
稲川淳二 @Junji_Inagawa

送電線関係の仕事だから、山奥に登って行き、 そこの関連施設のメンテナンスなんかをしていたそうです。

2022-01-31 21:19:17
稲川淳二 @Junji_Inagawa

この話は、その電力会社時代の話なんです。

2022-01-31 21:19:30
稲川淳二 @Junji_Inagawa

その時、向かった場所は冬の北アルプス。 会社の同僚とふたりで雪山を登って行ったんです。

2022-01-31 21:19:46
稲川淳二 @Junji_Inagawa

そこは人のほとんどいない山奥、 一面、銀世界です。 急な斜面を登っていくと、 人はどこにもいません。

2022-01-31 21:20:04
稲川淳二 @Junji_Inagawa

立ち並ぶ木々も、 白い骸骨のような姿を晒している。

2022-01-31 21:20:20
稲川淳二 @Junji_Inagawa

“ザクッ、ザクッ” 膝の上まで雪がかぶる、 新雪の上を歩いていたんです。

2022-01-31 21:20:40
稲川淳二 @Junji_Inagawa

歩いていると急に天候が悪化して、 吹雪になってしまったんです。

2022-01-31 21:20:58
稲川淳二 @Junji_Inagawa

“ビュウウゥーッ!” 横殴りの風と雪が吹きつけてきたんです。

2022-01-31 21:21:14
稲川淳二 @Junji_Inagawa

一寸先も見えない真っ白い世界で、 視界もきかず、とても登れない状況。

2022-01-31 21:21:30
稲川淳二 @Junji_Inagawa

こんなときの雪山は、無理は禁物なんです。

2022-01-31 21:21:42
稲川淳二 @Junji_Inagawa

雪山では天候の悪化は日常茶飯事、 ふたりは山のベテランだから、 別に慌てることもなかったんです。

2022-01-31 21:21:56
稲川淳二 @Junji_Inagawa

とりあえず、一番安全な場所を探して、 ビバークすることにしたんです。

2022-01-31 21:22:19
稲川淳二 @Junji_Inagawa

雪山を良く知っている人なら、 ビバークはよくやる避難方法なんですね。

2022-01-31 21:22:33
稲川淳二 @Junji_Inagawa

雪が吹きつけない場所を探すんです。

2022-01-31 21:22:37
稲川淳二 @Junji_Inagawa

後ろが壁になっていたり、 大木があったり、窪地になっていて、 吹雪を防げる場所を見つけて、 そこに身を潜めて休むことを、 ビバークと言うんです。

2022-01-31 21:23:09
稲川淳二 @Junji_Inagawa

ふたりはちょっとした斜面があり、 窪地のある場所を見つけて、 ビバークすることにしたんです。

2022-01-31 21:23:35
稲川淳二 @Junji_Inagawa

吹雪で辺りは一寸先も見えません。

2022-01-31 21:23:50
稲川淳二 @Junji_Inagawa

動き回れば本当に危険ですから、 そこでふたりは、 吹雪が止むのを待つことにしたんです。

2022-01-31 21:24:06
稲川淳二 @Junji_Inagawa

斜面の窪地に軽く雪穴を掘り、 そこで吹き付ける風を避けていたんです。

2022-01-31 21:24:24
稲川淳二 @Junji_Inagawa

辺りは雪が舞って、何も見えない白い世界。

2022-01-31 21:24:40
稲川淳二 @Junji_Inagawa

このまま吹雪が止まなければ、 この場所で本格的なビバークになります。

2022-01-31 21:24:55
稲川淳二 @Junji_Inagawa

ここで夜を明かさなければならない。 ふたりは小さな雪穴の中で何もすることがない。

2022-01-31 21:25:10
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