綾波レイとピッチバード-シャドウ元型憑依状態-
- Abraxas_Aeon
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誰に対してもその誰某の影(シャドウ)を生き、自分自身を否定して生きるというシャドウ元型憑依状態にあるもののことを、ユングはスイスの方言を使って「ピッチ・バード(pitch-birds)」という。これはみもふたもないが、「駄目な奴」という意味である。
2010-05-06 10:05:55これがエヴァで言うところの綾波レイだとしか言い様がないと思う。しかし見た目のいわゆる「萌え」だとか母性とか神秘的さとかが強調されるようで、そういう説明を見たことがない。あの誰に対しても嫌みったらしい様と、思考が常に混乱していて自分にネガティブなのは当にピッチバードではないのか。
2010-05-06 10:14:48みもふたもないことを暴露するようで申し訳ないが、エヴァに登場するキャラクター全てに言えることとして、あれらは全て庵野監督の、違う姿・衣装(即ちペルソナ)をまとって非連続的な固体となったドッペルゲンガーであるということ。これは本人がいっていることからの考察。
2010-05-06 10:37:37ペルソナについては、初号機暴走のメカニズム→http://ht.ly/1Hyf3でも述べたが、これを被っているものは、普段は決して世間には見せない顔を隠していて、自分自身そのものを省みずに抑圧していると説明される。そしてペルソナの裏側にあるシャドウについて知らないふりをする。
2010-05-06 10:46:35だが、このシャドウ[=自分自身が知らないふりを決め込んで省みずに抑圧している自分自身・個人的無意識]を他者に投影することで、ペルソナの裏側に、全く世辞を言わずに自身のシャドウを忠実に映し出す〈鏡〉が入り込むようなことが生じることがある。
2010-05-06 11:24:39なるほど、つながりました。エヴァは未見なのですが、批評を読むのは好きだったりします。RT @Abraxas_Aeon: これがエヴァで言うところの綾波レイだとしか言い様がない(…)あの誰に対しても嫌みったらしい様と、思考が常に混乱していて自分にネガティブなのは当にピッチバード
2010-05-06 11:28:47ピッチバードの場合、自分自身を省みないという点は同じだが、普段はペルソナを被ってシャドウに関しては決して世間には見せず隠そうとする人々(つまり肯定的な面で生活している人々)とは逆ともいえる。なぜならピッチバードはあらゆる他者に対してその人のシャドウを体現するからである。
2010-05-06 11:50:17これが綾波レイに該当しているというのは、一人目だろうが二人目だろうが三人目だろうが変わらない。例としては対赤木ナオコ、碇シンジ、惣流・アスカ・ラングレー、碇ゲンドウとのやり取りを見てもいえることだ。彼女は彼らに対してペルソナの裏に全く世辞を言わない、シャドウを映し出す鏡を入れる。
2010-05-06 11:58:18ピッチバードは可能であれば他人に嫌な印象を与える方を選ぶ。そして彼女は大体自縄自縛としか言いようが無いしっぺ返しをくらっている。この自縄自縛に陥るというのもピッチバードに見られる特徴である。また、ピッチバードに見られる「思考が混乱している様」などは14話などを見れば明白である。
2010-05-06 12:15:26ピッチバードの特徴の続き。ピッチバードはたいてい不幸な境遇にある。何故なら彼女は自分自身より低い人生を生きていて、良くて自分に合わないものを手に入れるだけだからである。そしてピッチバードは躓くような敷居のないところにわざわざ敷居を設け、有益なことをしていると思い込む。
2010-05-06 23:36:52分別と善意があれば、シャドウはある程度まで意識的個人に組み込まれる。しかし道徳的規制に頑なに抵抗し、あくまでも如何なる干渉も受け付けない場合もある。通常このような抵抗はその人の投影と結びついているが、この場合、その投影自体は、その当の本人においては「投影だ」とは認識されていない。
2010-05-06 23:43:17ピッチバードにおける投影の効果は、彼女自身の主体を外界から隔離してしまう。外界に対する現実の関係が成立する代わりに、錯覚に基づいた関係しか存在しなくなる。彼女はその中で自閉的な状態にあり、夢想の中で生きている。そこからは空虚感やそれよりも一層始末の悪い不毛な感情が生じる。
2010-05-06 23:55:09さらに始末が悪いことには、これがまた投影[=外界から主体にもたらされる出来事に対する投影]によって、それが彼女にしてみれば外界の示す悪意なのだと決め付けられてしまう。もちろん当の本人には道徳的判断能力がないので、それが自分の投影であるということがわかっていない。
2010-05-07 00:09:27綾波レイにおいて、この例として挙げる事のできる特徴的なシーンは父親を中傷した碇シンジに対する張り手であろう。「当たり前だよ!あんな父親なんて!」○(#◣_◢)=( #)≡○)Д`)・∴'.
2010-05-07 00:22:27ユングが診断した患者(強迫神経症のために20歳から45歳まで世間と全く没交渉で暮らした)の以下のような発言がある。「わが人生の花ともいうべき25年間を無駄に過ごしてきたなんて、断じて認めるわけにはいきません!」
2010-05-07 00:35:46綾波レイが碇シンジを引っぱたいた(あの顔文字じゃグーで殴ってしまっているがw)のは、自閉的で夢想の中(碇ゲンドウ中心)に生きているがゆえに、碇シンジの発言が悪意としか映らなかったからだ。ユングの診断した患者が示した反応と同じである。
2010-05-07 00:52:12@Abraxas_Aeon この間カミュの「異邦人」(の抜粋)を読んだのですが、その主人公ムルソーが「世界が僕に無関心だから僕は世界に対して無関心なのだ」とか言って最後、死刑になる直前にはその世界の無関心さを「優しい」とか言うのですが、ちょっとそれを思い出してしまいました。
2010-05-07 01:14:44ピッチバード=綾波レイは、明らかに本人が自分や他人の人生を台無しにしていながら、その悲劇の元凶が本人であり、本人によってその悲劇が悪循環極まりなく繰り返しはぐくまれ、維持され続けていることに当の本人が全く気付かないという状態にある。それでいて自分自身についてさえネガティブである。
2010-05-07 01:26:14@Abraxas_Aeon 彼は社会からの隔絶感が強くて、それゆえ道徳観が欠如していると裁判官や司祭に判断されて、結果死刑にされてしまうのですね。実際殺人の理由を「太陽がまぶしかったから」とか言っちゃう奴だし…。でもカミュだから、きっとユングの思想とかも念頭にあったと思います。
2010-05-07 01:36:17@Abraxas_Aeon ピッチバードの件、興味深いです。共依存を作り出すタイプのパーソナリティですね。誰も、自分さえも幸せにしないという。エヴァを見てたらもっと面白かったろうなと残念w
2010-05-07 01:44:38