未完成の理想郷5話「こくはく!」

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未完成の理想郷(完結) @uf_arkadia

チィッ、あの鳥も犬っころも毛玉も重症負ったり、トラウマ思い出したにも関わらずもう復活してやがる。 少しはあのニンゲンを見習って寝込んでろよクソが。

2022-07-31 21:31:00
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他にも死んだ方がましな連中だらけでほんとに嫌になる。 なぜこんな連中と共に生活しなければならないのか…。 とっととくたばってくれないかな、そうすれば…

2022-07-31 21:32:00
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「おーい!みんな!大変大変、集まってー!」 …なんだ、騒がしいな。はぁ、しょうがない行ってみるか。

2022-07-31 21:33:00
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「「ケンジさんがいなくなった!?」」 朝一番、プティの号令により集まった転生者一同は同じ転生者である谷崎憲史が失踪したことを★兎から聞かされる。 「朝起きたらいなくなっていたそうです。」 「そ、そんな、ケンちゃん…は、早く探しに行こうよ!まゆ心配だよ!」

2022-07-31 21:35:00
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「ふあんふあんに刺されてからずっと寝込んでたもんね…。」 かがみの言う通り、憲史は湿原エリアにてふあんふあんに刺されてから酷く落ち込んだ様子で今まで自分の寝床から出てくることはなかった。 「でも、いったいどこに…いや、うちには人探しのプロ達がいるよね。」

2022-07-31 21:36:00
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ルナは★兎、ミュー、かがみ、ミシュカトルの方に視線をやる。 「はい、わたくしの占いではどうやら山岳エリアに向かったと出ています。」 「うむ、足跡から察するにしばらく時間が経っている、皆が寝静まった後すぐに出て行ったのであろう。」

2022-07-31 21:37:00
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「うーん、流石にここからじゃ山岳エリアまでは見れないな。」 「同上。」 全く別の世界から来たとはいえ、数カ月間共に過ごした仲間を放っておくには、感情的にも、一人でも人手が欲しい現状を考えてもできるはずがなかった。

2022-07-31 21:38:00
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「ですが、船の作成も進めてもらわねばなりません。どうやら憲史さんは船の設計図を完成させてから出て行ったようなので。」 憲史は、少しでも気を紛らわそうとしたのか船の設計図の作成に打ち込んでいたようである。

2022-07-31 21:39:00
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しかし、完成してしまい気を紛らわせることができなくなり失踪してしまったのだろうか、それは本人のみぞ知ることではあるが、船の作成含め、物作りをするにあたり戦力になっていたのは確かである。 今後も憲史の力を借りる必要がでてくることは大いにあり得る。

2022-07-31 21:40:00
未完成の理想郷(完結) @uf_arkadia

「実はもう少しで完成しそうなんだ。マルガリィタちゃんとムギの二人貸してくれりゃあ多分皆が帰ってくるまでには完成するだろ。」 「もうそんなに作業が進んでいたのですか!」 「へへーん、褒めてもいいんだぜ?」 胸を叩いて珍しく自信満々に答えるヤンに対し、ムギは不満を口にする。 pic.twitter.com/Z2Z134Yjxb

2022-07-31 21:41:00
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「えー、ムギもケンジ探しにいくにゃ!」 「わがまま言うなムギ、帰りを信じて自分の役目を果たすのも立派な仲間としての在り方だ。」 ルナはこの探索に期限があることを知っている。憲史を探すのも大事なことだが、探索が進まず全滅する恐れを考えると船の作成を進める方にも力を注がねばならない。

2022-07-31 21:42:00
未完成の理想郷(完結) @uf_arkadia

ムギは手先の器用さで言えば転生者の中でも一、二を争う。人を探すよりもそちらに力を割いた方がよりムギの能力を活かすことができるだろう。 まあ、その考えは公表できないため、口には出せないが。 「むー、あるじがそう言うなら…。」

2022-07-31 21:43:00
未完成の理想郷(完結) @uf_arkadia

「あ、わたしは残ります。賛成です。探索なんて行きません。」 「ムギ、マルガリィタ君は見習わなくていいぞ。」 「にゃ?」 「ともかく、船作成班以外のメンバーで山岳エリアへ向かいましょう。」 「「「おう!」」」 「みんながんばるにゃ!」

2022-07-31 21:44:00
未完成の理想郷(完結) @uf_arkadia

思うことはそれぞれあるが、こうして一同は山岳エリアへ向かった。

2022-07-31 21:45:00
未完成の理想郷(完結) @uf_arkadia

「み、みんなどこぉ…。」 山岳エリア頂上近く。 自分がケンちゃんを一番早く見つけるんだ!と意気込んで意気揚々と探索に出かけたまゆたろうであったが、見事に一人きりになってしまっていた。つまり迷子である。 理由は単純に、崖から落ちたというもの。

2022-07-31 21:47:00
未完成の理想郷(完結) @uf_arkadia

一同は鳥の魔物に襲われ、撃退には成功したのだが、まゆたろうが戦闘に巻き込まれそのまま転落してしまったのである。 この山岳エリアは山が連なり、高低差がかなりある。そこから落ちればミューの能力からも外れてしまう。

2022-07-31 21:48:00
未完成の理想郷(完結) @uf_arkadia

幸いなことに頑丈な身体と、緑の生い茂った木々の上に落ちたということもあり怪我はないが、精神的ダメージは計り知れない。 「なんでぇ…やだやだやだ!一人なんて嫌だああああ!」

2022-07-31 21:49:00
未完成の理想郷(完結) @uf_arkadia

動かなければ人探しに秀でた四人が本気で人を探しているということもあり、まゆたろう一人くらいすぐ見つけ出すことができるであろうが、一人になってしまい冷静に思考できなかったのか、本人に自覚のないままエリアの奥へと進んでしまっていた。

2022-07-31 21:50:00
未完成の理想郷(完結) @uf_arkadia

そのせいで、★兎達はまゆたろうを救助できないでいるのだろう。 「キアアアアアア!」 「ヒィッ!」 時折聞こえる鳥型の魔物の声に恐怖しながらも、更に奥へ奥へと進んでいくまゆたろう。 すると、忘れるはずもない聞いたことのあるあの魔物の鳴き声が鳥型の魔物の声に混ざって微かに聞こえた。

2022-07-31 21:51:00
未完成の理想郷(完結) @uf_arkadia

「ふあふあ~。」 「え、い、いまのって…」 注意深く周りを見渡すとあの忌まわしい白色の魔物が見える。 「ふあんふあん…」 ブロンに深刻な精神ダメージを与え、憲史が失踪する原因を作った、何よりまゆたろう自身も百体程の群れに遭遇している。

2022-07-31 21:52:00
未完成の理想郷(完結) @uf_arkadia

「でも、襲ってこない…いや、記憶を封印されている転生者以外には興味がないのかな?」 ふあんふあんについては神の力が強い者に群がる特性があるとパッチが明言している。

2022-07-31 21:53:00
未完成の理想郷(完結) @uf_arkadia

記憶の封印については神の力を強く使うのか、封印が適用されている者には一目散に向かってくるが、そうでない転生者にはまゆたろうが考察した通りどうやら興味を示さないようである。 「……。」

2022-07-31 21:54:00