個人的に好きな落語家・ベスト5

とりあえず
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砂手紙 @sandletter1

1・せっかくなので、自分が好きな落語家をさらそう。条件は、1・もう亡くなられたかた(生きてる人について語ったらどうもヤバそうな気がする)、2・人間国宝もしくはそれに準じるぐらいの名人とされている(具体的には志ん生・文楽・圓生・小さん、上方落語だと米朝・枝雀とかそのあたり)以外のかた

2022-09-04 22:48:28
砂手紙 @sandletter1

2・いきなり一位三笑亭可楽(八代目)。このひとの『らくだ』聞いたときには感心した、というか驚いた。大抵の落語家は、酔った紙くずやさんが「酒持ってこないなら、かんかんのうだ」的オチで終わらせるんだけど、棺桶を焼き場まで持っていくというオチまで語って、しかも30分もかからない。

2022-09-04 22:49:00
砂手紙 @sandletter1

3・どの落語も最後のオチまでちゃんとやって、無駄がなくて(ウィキペディアには「無精な性格」と書かれてますが、この感覚を見習いたいと思う。酔っ払った紙くずやさん「おい、きょうでぃ、商売には雨降風間ってのがあんだよ、人間には病み患いさ。……なめんなよこんちくしょう

2022-09-04 22:49:26
砂手紙 @sandletter1

4・二位、金原亭馬生(十代目)。飄々とした語り口で、あまりほかの落語家では聞いたことがないワンフレーズを入れるひと。『そば清』の「どうもー」とか、『おせつ徳三郎』の前半(花見小僧)の「こっからが面白いんですよ」とかあるんだけど、ここは「柳田角之進」の「さあ、飲め」だな。

2022-09-04 22:50:05
砂手紙 @sandletter1

5・暑い夏から寒い年末年始までの季節感も実によく出てる。堅物すぎて謹慎を命じられた柳田格之進、富裕な商人と碁友だちになるけど、商人の離れで碁を打ったあとで50両が消えてしまう。「取ってはおらんものは必ず出る」ということなんで番頭が、出たら私の首と一緒に主の首も差し出します、と言う。

2022-09-04 22:50:52
砂手紙 @sandletter1

6・年末の大掃除。旦那の粗相で変なところに置いてた金が見つかって、青くなった番頭とその主人。翌年の新春、立派な身なりに戻った柳田が、道で会った番頭にごちそうしながらその話をする。でもって翌日うかがう、と言ったあと、「さあ、飲め」と番頭に酒を進める。

2022-09-04 22:51:10
砂手紙 @sandletter1

7・三位、桂三木助(三代目)。現存する音声資料がすくない(映像資料はなし)ため、損をしている感があるひと。あとフリーだったせいもあるのかな。落語の「語り」というものがいかに重要なのかがわかる。世間的には「芝浜」が有名だけど、個人的には『化物使い』

2022-09-04 22:51:45
砂手紙 @sandletter1

8・武家のご隠居が、新しい屋敷に転居して、そこに夜中に出てくる化け物を、やめた使用人のかわりにこきつかう話。「品川へ行ってな、手紙を渡して、ついでに北千住のほうまで回ってくれないか」やめる前の使用人の初日「はあ、品川から千住ってのは、ついでで回るようなところじゃないけどねえ…

2022-09-04 22:52:11
砂手紙 @sandletter1

9・(あとあれこれ言われた仕事を並べて)いつ頃仕事終わるかねえ」「そうだなあ、明日の朝の白白明けまでには終わるだろう。そんなわけで今日は、ゆっくり骨休みをして」「晩めしとかは…」「骨休みだから、そんなもんはなしだ

2022-09-04 22:52:37
砂手紙 @sandletter1

10・四位、笑福亭仁鶴(三代目)。2021年の夏に亡くなられてたんだな。桂文珍と並んでテンポのいい語り口。「えー」とかいうpause fillerはあるけど、それほど気にはならない。『寝床』『池田の猪買い』とあるんだけど、『次の御用日』かなあ。

2022-09-04 22:53:14
砂手紙 @sandletter1

11・夏の暑い昼、主人の娘(お糸)と丁稚が並んで歩く路上、悪い男が脅かそうと、ハッピをふたりの頭にかけて「××××!!」というすごい声を出す。店に急いで戻った丁稚「旦那はんまあ落ち着きなはれ」「お前が落ち着かんかい」「これこれこういうわけで、糸やんびっくりして倒れて気を失って息しとらん」

2022-09-04 22:54:54
砂手紙 @sandletter1

12・五位、林家彦六(旧名・八代目林家正蔵)。独特の語り口で、独特な噺をする人。林家木久扇の物まねのほうで有名。なんか不思議な、他の人では聞いたことがない人情噺系のをやるんだよね。

2022-09-04 22:55:39
砂手紙 @sandletter1

13・(三遊亭圓生(六代目)も持ちネタ多いんだけど、たしかにこれは残さなくてもいいなあ、ってのがけっこうあるのが困る)。『年枝の怪談』は、明治の時代、うっかり横浜であんまをしめ殺してしまった落語家が、加賀に落ちのび、その後…という、先の読めなさが織田作之助の小説みたいにおもしろい。

2022-09-04 22:56:02
砂手紙 @sandletter1

14・彦六の代表作は多分『中村仲蔵』かな。仮名手本忠臣蔵・定九郎の役作りに難儀した歌舞伎役者の中村仲蔵が、柳島の妙見様に日参をし、満願の日ににわか雨にあってかけこんだそば屋で、びしょ濡れながら粋な侍(下級旗本)と出会う。「ああ、濡れたねえ、傘があったおかげで濡れちまった」

2022-09-04 22:56:24