テンペスト・オブ・メイヘム #5

ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

（アアー、イイ……）（コブラ……）（キュンデス……）両手をバンザイし、メイヘムを拝む者達。次々に喰らい、丸呑みにしてゆくメイヘム。ナムアミダブツ。殺戮の果て、最後に残ったのは、デンチという名の娘だった。メイヘムがネオサイタマに泳ぎ着いた時、最初に出会った無垢な令嬢である。　43

ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

（ナンデ？ナンデ、私を食べてくれないの？カラテが足りないから……？）（……違う。この退廃の都に、私もまた、毒されていた。毎夜おまえを愛するうち、私はおまえを殺すことができなくなっていた）メイヘムはデンチを見つめた。デンチは歓喜に涙した。（エッ、私今……体温何度、あるのかな）　44

ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

メイヘムはデンチを押さえつけ、微笑んだ。そして頭からかじりつき、丸呑みにした。（アバッ！？アバッ！アババババーッ！）メイヘムは身をもたげ、喉を数度動かし、デンチの全てを、完全に呑み込んだ。（……だから私は、さらに強くなる）彼女は視線を下に下ろす。過去は吹き飛ぶ。獣を見下ろす。　45

ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

黄金のコブラの視線を、ニンジャスレイヤーは正面から受け止める。「無限にイクサを制し、以てヌンジャに至る」メイヘムが人語を発する。「獣よ。我が無限のリインカーネイションの……黄金のヘビ・ロードの糧となるべし」「断る」ニンジャスレイヤーは言い捨てた。「おれは忙しい。ケリをつける」46

ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

メイヘムはニンジャスレイヤーを回り込み、真横から巨大なあぎとで喰らいついた。音速を超える攻撃だった。ニンジャスレイヤーは攻撃方向を捉え、足元に拳を打ち下ろしていた。それはイアイドー同士のイクサじみて、一瞬が全てを決める決死の交錯といえた。「……AAAARGH！」　47

ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ニンジャスレイヤーの腕先から飛び出したヌンチャクの柄の一端が、黄金のコブラの下顎を貫通、ジグラットに縫い付けていた。致命の牙と滴る毒液の狭間、ニンジャスレイヤーは身体を上向きに捻りながら、ヌンチャクの柄のもう一方を、頭上に投げ放った。「……イヤーッ！」「AAAARGH！」　48

ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ヌンチャクの柄が黄金のコブラの上顎を貫通した。ヌンチャクの鎖は燃えながらボーめいてピンと強張り、顎を閉じられぬようにしてしまった。「……！」メイヘムはヌンチャクもろともにニンジャスレイヤーを噛み砕こうとした。「……イヤーッ！」「アバーッ！」　49

ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

一瞬後、大蛇の頭蓋を口内より貫通し、血みどろのニンジャスレイヤーは空の下に飛び出した。血と脳漿を黒炎で焼き焦がしながら、ニンジャスレイヤーは眼下の大蛇を見下ろした。「アバッ……アバッ……！」痙攣する黄金のコブラは眼を動かし、ニンジャスレイヤーに最後の反撃を試みる。イビルアイ！　50

ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ニンジャスレイヤーは風車めいてその場で高速回転し、急速降下した！ZAAAAP！イビルアイの光が上空のニンジャスレイヤーを焼くにはコンマ数秒遅かった。光をくぐり、ギロチンめいて叩きつけられた回転踵落としは、黄金のコブラの首を凄まじく切断した！「サヨナラ！」メイヘムは、爆発四散した！　51

ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

【続く】