- rouillewrite
- 1693
- 1
- 0
- 0
【創作企画】リグレット・カレイドスコープ
@Regret_kaleido
ほぅほぅ、となにかの鳴き声を聞いて目を覚ます。 先程まで自分はベッドに寝ていたはずだ、と辺りを見回せば、視界はやけに暗い。よく見えないが、そこが自分の部屋ではないことだけは理解できた。
2022-09-18 21:10:42
【創作企画】リグレット・カレイドスコープ
@Regret_kaleido
冷たい床に手をつけて起き上がろうとすると、それが随分とツルツルしていることに気がつく。 どこかの廊下だろうか。
2022-09-18 21:11:39
【創作企画】リグレット・カレイドスコープ
@Regret_kaleido
起き上がって、暗闇に目が慣れてきた頃。 彼───立牧空彦は違和感を覚える。漏れ出た声は随分と気が抜けていて、自分の感覚と状態が噛み合ってない気持ち悪さを妙に的確に表したようなものだ。
2022-09-18 21:13:18
【創作企画】リグレット・カレイドスコープ
@Regret_kaleido
最後にある記憶は、自分の部屋のベッドの上で眠ったこと。 そしてその時の格好は、当然部屋着に眼鏡を外していた。
2022-09-18 21:14:12
【創作企画】リグレット・カレイドスコープ
@Regret_kaleido
今彼の格好は、いつも学校に向かう時のものである。 制服に眼鏡、寝起きの感覚でこの服装だと気づけば、妙に不一致な感覚にふっと頭を抑えた。
2022-09-18 21:14:47
【創作企画】リグレット・カレイドスコープ
@Regret_kaleido
ツルツルしている床、そして足元に映っている見覚えのある上履き。暗い廊下では、白いそれはよく映える。 そして、目線を横、上と移し、慣れてきた目で辺りをキョロキョロと見回した。
2022-09-18 21:18:28
【創作企画】リグレット・カレイドスコープ
@Regret_kaleido
まず目に入ったのは銀色の窓枠だ。 ずっと向こうまで続いているのか、枠だけが妙にはっきりと見える。 外は曇りだろうか。こう月明かりもないと、灯りを持たない空彦が移動するのは少々危険だが。
2022-09-18 21:19:15
【創作企画】リグレット・カレイドスコープ
@Regret_kaleido
そう決意し、空彦は向いている方向へと歩き出した。外の風が廊下の窓に当たって、不気味な音を立てる中で、彼の上履きの擦れる音が混じる。
2022-09-18 21:21:28
【創作企画】リグレット・カレイドスコープ
@Regret_kaleido
空彦の通う月夜高等学校は、3階建ての建物だ。 西棟と東棟に別れていて、東棟に職員室や生徒たちの教室、西棟に音楽室や図書室などが設置されている。 2年B組のある場所ということは、ここは2階の東棟なのだろう。
2022-09-18 21:23:54