indigopluie:なぜダムタイプ「S/N」をエイズ文化フォーラムで上映しようと思ったか まとめ

iko_ @indigopluie

昨日のS/N上映が終わって、なぜひとりの鑑賞者だった私がエイズ文化フォーラムでこれを上映しなきゃ、アートの文脈じゃないところで、今やらなきゃと思ったかやっと語れる気がする。回路を開くこと。原発、放射能の問題、私たちのむかいあいかた、身体のありようについて、今一度考えてみること。

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私の父の実家は福島の二本松。つまり私のおばあちゃんち、いとこの家。半分農家。わりと野菜とか食関係の仕事してる。いとこの子どもたちはまだ小さい。あわせて5人いる。まだみんな、小学校入学前。うちの父は、母子だけでも、静岡に避難をすすめた。けれど、そうはなっていない。続

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テレビと新聞メディアしかない、隣近所というには遠すぎて回覧板も回せない田舎な従兄弟んちは、また大げさな、と言って取り合わなかった。それが彼らにはリアリティがあることなんだと思う。何度か言ったみたいだけど、煙たがられてしまった。そんなことがあり、どんどん連絡しにくくなっている。続

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お盆に実家に帰ると、いつもは一箱届く福島の桃が2箱届いていた。桃農家に頼まれたんだろう。うちの父が好きな固い桃。私は食べるのを躊躇した。妹家族にはやらないでほしいと言った。父には、せめて皮ごと食べるのやめてくれとおねがいした。そうしてなかなか減らない桃が、冷蔵庫を占拠していた。続

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送ってくることを責められない。食べることも推奨できない。これ以上避難についてやいのやいの言えない。そんなふうに、親戚関係も侵食して、私にとって原発、放射能の問題はかなり「関係の問題」にもなっていた。

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私が原発の問題に強く関わったのは上関のことから。今年の2月。それで連続ツイートしたら、推進派並びに、中立なひとからメンション爆発するくらい@がついてたりして、だいぶフォロワーも入れ替わった。でも上関のことで初めて知ったわけではなくて、知人数名があちこちの原発と運動に関係していたし

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点だった情報がバシッとつながったのが上関のことだった。特に気になったのは、地域のことはその地域で決める、って言われたこと。地域って、ずっとそこにいるひとたちだけの事か？違う。安全と安心は違うことなど、なかなか伝わらなかった。安心は検証できない質のものなのに、すぐに科学的云々された

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そんなことで、爆発メンションにうんざりしていたら、3.11だった。それから、親戚関係が軋み、友人関係もそうだったかも。最初の何ヶ月間は、傾注して原発の情報をあつめてホームページに載せたりして、かならずcnicのust観たりして。でもそのうちに運動にも棲み分けがでて来たりして、

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というよりも、もともとあった棲み分けが、原発通して明確にされただけなのかもしれないけど。ラベリングされることやなんかいわれることに疲れたり、情報の渦に気持ち悪くなったり。そんなでだんだん、ハッキリした何か以外、逡巡しているうちに何も言えないことが増えた。

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口は饒舌なのに、言葉にならないところ、言いよどんでるうちに逸してしまう、でも語りたい。その逡巡のところをやりとりすること、私たちの身体のありようや生きるかたちについて、言いよどみながらも、話すことが大事だと思っていて。その経験はダムタイプS/Nを観ることとにていると思った。

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単に観て、誰かの批評をなぞってなんか言うことをはるかに凌駕して、身体ごと観なくてはいられないS/N。これは広場のような作品だなぁ、と思う。うまく言えない何かを大事にしていい場所。だから、エイズの問題にも関心はあるんだけど、迷わないで、考えるのやめて、そのうち、誰かが決めてくれる、

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自分じゃどうにもならないわけだから、と「平和」に暮している、そうしようとしている人たちに、まず、あなた、あなたの当事者なのかと問いと思った。また、立場を明確にして発言している人にも、逡巡しながら何か言いたくて逸したり言えないでいること、(もちろんそうしながら言っているだけどね)

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もっかい、その逡巡の部分をみつめかえすこと、の機会に、昨日のS/N上映会でできるんじゃないか、そうなるといいなあ、それぞれのアフタートークがあればいいな、と思ってのことだったのでした。

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いま書けるところだけ思いつくままかいてみた。なんでひとりの鑑賞者だった私（障害とパフォーマンス研究とはいえ、S/N研究はしていない）がエイズ文化フォーラムで上映会をしようと思ったか。ま、発端はエイズ文化フォーラム運営委員たちの誰ひとりも観たことがない事に驚いたからだったんだけど。