北村嘉一郎さんによる「良い公演とはどういうものか」に関する考察

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Kai Kitamura (北村嘉一郎) @kai_drum

アカペラでのコンサートにおいて、良い公演というのはどういうものかについて論じるのは、とても大きなテーマで難しいのですが、自分が普段、心掛けてることや感じていることを基準にして、少し書き留めてみます。あくまで個人的な考え方ですので、参考程度に読んでください。

2022-11-04 23:58:50
Kai Kitamura (北村嘉一郎) @kai_drum

まず、基本的に自分の音楽ができていれば、客席のお客様はついてきてくださると信じることが大事だと思います。お客さんも家族。ファミリー。仲間なんですね。ステージに立つ自分たちと、同じ空間にいるという感覚を持ち、誰に対しても親愛なる気持ちを持って接するようにします。

2022-11-05 00:04:26
Kai Kitamura (北村嘉一郎) @kai_drum

なので、演奏中に「お客さんの反応はどうかな?」とか、「楽しんでくれているかな?」とか、あまり考えない方がいいのかなと思うのが僕の感覚です。自分たちの音楽ができていれば、自然と、お客さんは雰囲気に馴染んでくるし、ステージと客席の隔たりがなくなり、繋がりや信頼感が生まれてきます。

2022-11-05 00:07:42
Kai Kitamura (北村嘉一郎) @kai_drum

ステージ上がる前に「なるべく笑顔で」とか、「お客さんに楽しんでもらえるようにこちらが楽しく」とか、自分たちの「外からの見た目」に意識が回りすぎるのは、決して悪いことではないのですが、本質の音楽が後回しになってしまうことがあります。あくまで音楽が主体であるという点を意識したいです。

2022-11-05 00:13:38
Kai Kitamura (北村嘉一郎) @kai_drum

そこで、例えばですが、公演の冒頭3曲を、MCなし、しかも、挨拶もせずに通して演奏するという演出を考えてみましょう。これって、一見、お客さんを突き放すように感じるかもしれませんが、やってみますと、意外とスッと音楽の中に入って行けます。音楽でオーディエンスとの関係を作ることを考えます。

2022-11-05 00:17:27
Kai Kitamura (北村嘉一郎) @kai_drum

MCによる情報というのは、言葉による情報であり、具体的で強いもの。MCの言葉が多すぎると、だんだん、お客さんの思考が音楽的な感覚から離れていってしまうのかなと思います。お客様が音楽を聴くという姿勢であるためには、感覚的に自由な雰囲気を演奏する側が作っていく必要があると思います。

2022-11-05 00:25:35
Kai Kitamura (北村嘉一郎) @kai_drum

繰り返しますが、言葉が多いと音楽的な感覚からは離れていってしまうというのが私の考えです。こんなことを言うと、ここで言葉で音楽について語ることに大きな矛盾が出てきますが、あくまで、ステージでの心構えについての話ということでご容赦いただきたいと思います。

2022-11-05 00:29:23
Kai Kitamura (北村嘉一郎) @kai_drum

もちろん、言葉が多くても、それが音楽的であると言う世界観を作ることは可能だと思います。それは演じる側がそのバランスをきちんととって、演出ができればうまくいくでしょう。私も、以前、講談や落語とアカペラとのジョイントライブをやりましたが、これは本当に言葉が音楽と溶け合う瞬間でした。

2022-11-05 00:32:10
Kai Kitamura (北村嘉一郎) @kai_drum

一方で、意図がなくついつい出てしまう言葉というのは気をつけたいところです。「今日は楽しんでいますか?」とか、「次の曲はみなさんがよくご存じの曲ですので、手拍子をお願いします」とか、これは言わなくても大丈夫な言葉ではないでしょうか?言わなくても、お客さんは自然についてきてくれます。

2022-11-05 00:34:33
Kai Kitamura (北村嘉一郎) @kai_drum

あと、表情についても、「笑顔でお互いの顔を見るようにしようね」とか、あまり決めなくてもいいのでは。もちろん、そういう演出がありきで音楽があるもの、例えば、子供向けのハッピーな歌とかはそうですが、これは例外的であり、普段は、あまり意識せずに、むしろ音楽に入り込むことが大事かもです。

2022-11-05 00:42:36
Kai Kitamura (北村嘉一郎) @kai_drum

The Real Groupのコンサートを見て思ったのは、彼がステージに上がってきた時に、すでに感じる「安心感」。まだ1音も音を発していないのに、すでにステージと客席との間に信頼感ができているのです。優しさやフレンドリーな感覚が、ステージに上がる彼らから伝わってきて、安心感へと繋がります。

2022-11-05 00:45:54
Kai Kitamura (北村嘉一郎) @kai_drum

自分もそうありたいと思ってステージに上がるように心がけてはいますが、簡単ではないです。ただ、思うのは、自分の音楽を信頼すること、そして、最低限、これだけは演奏できて、お客さんには伝えられるという自信を持っておくことが大事ですし、それが自分を楽にすると思います。

2022-11-05 00:50:29
Kai Kitamura (北村嘉一郎) @kai_drum

やはり、自分たちの音楽を信じることが一番のポイントでしょう。そのために普段の練習がありますし、また、もっと言えば編曲や演奏方法/手段についても、観客の目線でどう聴こえるかということを想定し、準備していくことが大事です。それがしっかりできていれば、演奏で十分リードできると思います。

2022-11-05 01:02:45
Kai Kitamura (北村嘉一郎) @kai_drum

繰り返しますが、言葉ではなく演奏で聴かせるように意識を持って行きましょう。そうするとステージングが変わっていくと思います。より音楽で、お客さんをリードできるグループになっていくことでしょう。アカペラ演奏の「音楽」で自分たちなりの世界観を作ること、ぜひチャレンジして欲しいです。

2022-11-05 01:06:59
Kai Kitamura (北村嘉一郎) @kai_drum

今、もし僕が学生グループを組んでいて、今度、アカペラフェスにエントリーして15分の枠で出演するとすれば、「3曲MCなし」という構成で演奏してみたいです。MCなしというのはかなり挑戦的ですけど、ここは、音楽だけでもお客さんと一体化できるということを体現してみたいと考えます。

2022-11-05 01:14:55
Kai Kitamura (北村嘉一郎) @kai_drum

あと、ひとつ思ったのが、楽屋での準備についてです。僕は以前、The Real Groupのライブにゲスト出演したことがありますが、その際に、メンバーと同じ楽屋で着替えたり準備をしておりましたので現場の雰囲気を体感しました。その時に感じたのは、楽屋でも非常にリラックスしているということです。

2022-11-05 01:18:48
Kai Kitamura (北村嘉一郎) @kai_drum

楽屋でのリラックスしたムードのままステージに上がっていくので、先ほど書いたような、「まだ1音も発していないのにお客さんとの安心感ができている」という状況が作れるのだと思います。このグループの場合、もう一つ、ヨガをやっているというのもポイントだと思いました。

2022-11-05 01:23:54
Kai Kitamura (北村嘉一郎) @kai_drum

当時メンバーだったカタリーナさんがヨガをされていて、楽屋では、リハーサル終了後に、彼女を先生にしてみんなでヨガをやっていました。本番前の時間帯に、みんなでヨガをやってリラックスをして、衣装に着替えてさらにみんなで円陣を組んで、お互いを称え合い安心してからステージへと向かいます。

2022-11-05 01:25:47
Kai Kitamura (北村嘉一郎) @kai_drum

メンバーを信じること、称え合うこと、お互いに絆を深めて、そしてステージに上がっていく。楽屋での雰囲気づくりがそのままステージにつながって行きます。そして、もう一つは、ステージに上がっている時間もまるで楽屋にいるみたいな感じなのです。お客さんも楽屋のメンバーの一員になります。

2022-11-05 01:30:09
Kai Kitamura (北村嘉一郎) @kai_drum

楽屋での雰囲気づくりという点、これはぜひ日本のグループでも目指して欲しいポイントだと思います。メンバーを信じて、お互いに助け合ってコンサートが進んでいきます。そこで出てくる音楽というのは、お客さんの心を動かすものです。人が作っている音楽に心打たれる瞬間があるわけです。

2022-11-05 01:34:38
Kai Kitamura (北村嘉一郎) @kai_drum

自分も昔は出演前はガタガタ震えて緊張していたものです。ステージに上がる自分と、普段の自分とが別人でした。ステージをよく見せようとか、失敗しないようにしようとか、結果ばかりを意識していました。それが、海外のグループとの交流を通じて大きく変わっていったのです。

2022-11-05 01:37:20
Kai Kitamura (北村嘉一郎) @kai_drum

The Idea of Northの楽屋も同じです。普段と変わらない、そのままの自分たちが、そのままでステージに上がっていくのです。ステージの上でも部屋にいるのと変わらない感覚。まるでラウンジでくつろいでいるかのような雰囲気。これは本当にすごい大きな力だと思います。

2022-11-05 01:39:18
Kai Kitamura (北村嘉一郎) @kai_drum

どうかみなさんも音楽そのものを楽しんでいただき、その純粋な喜びとか嬉しさをそのままに、ステージに上がって、本領を発揮してください。観客というのは、そういう喜びに満ちた演奏者の心に大きく心を動かされるものです。音楽を中心にステージを組んでいけば、きっと自分たちの道が見えてきます。

2022-11-05 01:41:41