四の舟×おろし丸による スケッチブックリレー小説~涼風コンビ編~

スケッチブックのカップリング妄想。初めての涼風コンビのおはなし!
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焼き鳥P @Yakitori_P

@YOTSUnoFUNE 気がついたら、私達はいつも一緒にいた。その始まりがいつだったのか、どういうきっかけだったのかは、私はもう覚えてはいない。だからだろうか、ほんの少しだけ、『冒険』をしてみたくなった。

2011-10-11 22:26:38
四の舟@1日目東3ク-23b @YOTSUnoFUNE

@oroshiwanko 「涼ちゃん」 ある日の風ちゃんとの帰り道。カニ歩きでバス停に向かう途中で、風ちゃんが私を呼んだ。 「どしたの? 風ちゃん」 「明日から私たちさ、別々に行動してみない?」 風ちゃんから切りだされたのは、そんな提案だった。

2011-10-11 22:32:03
焼き鳥P @Yakitori_P

@YOTSUnoFUNE 「…良いでしょう、お覚悟召されよ風ちゃん。」どこからともなく私は白手袋を取り出すと、風ちゃんに投げつけた。「では、さらばじゃ涼ちゃん。」投げつけられた白手袋を左手にはめると、風ちゃんはくるりとバレリーナのように回って向こうへと歩いて行った。

2011-10-11 22:34:59
四の舟@1日目東3ク-23b @YOTSUnoFUNE

@oroshiwanko 風ちゃんの意図はなにかよくわからなかったが、相棒からの提案ならば受諾せざるを得まい。私たちはこうして、ソロ活動をすることになったのだ。

2011-10-11 22:37:34
焼き鳥P @Yakitori_P

@YOTSUnoFUNE とはいえ、一人ではじゃんけんもできない。ザリガニのとれる川のスポットを栗ちゃんから教えてもらったのに、これでは意味があんまりない。さて、どこへと向かおうか。とりあえず私の脚は美術部へと向いていた。

2011-10-11 22:38:56
四の舟@1日目東3ク-23b @YOTSUnoFUNE

@oroshiwanko 「ちーっす」 美術室の扉をガラガラと開けると、中には誰もいなかった。ああ、そうか。私たち帰宅途中だったんだと、そこで気がついた。「しゃーない、帰りますか。風ちゃんど」 そこで気がついた。いま私、ひとりなんだと。ふう、とため息をつき、私は帰ることにした。

2011-10-11 22:43:54
焼き鳥P @Yakitori_P

@YOTSUnoFUNE 隣に風ちゃんがいない生活というのは、新鮮でもあり、残酷でもある。いつも彼女がいるサイドを、見知らぬ人が通り過ぎていく。それがどうも不快で人通りの多い駅前を私は足早に抜けた。

2011-10-11 22:46:20
四の舟@1日目東3ク-23b @YOTSUnoFUNE

@oroshiwanko 翌日。学校に登校する際も、私は風ちゃんといっしょになることはなかった。ただただ、黙々と(風ちゃんといても黙々と歩くのだが)学校へと続く道を行く。黙々と歩く道。けれど、風ちゃんのいない黙々と歩く道は、ぎこちない気持ちがして仕方がなかった。

2011-10-11 22:51:57
焼き鳥P @Yakitori_P

@YOTSUnoFUNE 教室はいつものように、私達とは関係なく進んでいくような風景を見せる――否、私とは、か 今の状況では。 風ちゃんの席から視線のようなものを感じていたが、私はあえてそれを無視していた。

2011-10-11 22:54:33
四の舟@1日目東3ク-23b @YOTSUnoFUNE

@oroshiwanko そうして午前の授業も終わり、昼休みも通り越して、結局放課後になってしまった。HRが終わって教室を見回すと、風ちゃんの姿がない。なるほど。風ちゃんも、言い出したからには最後まで完遂するつもりなのだろう。私はカバンを持って、一人美術室へと向かうことにした。

2011-10-11 23:00:28
焼き鳥P @Yakitori_P

@YOTSUnoFUNE そこで、ふと思った。私達は一応美術部員とはいえ幽霊部員のようなもの。その幽霊部員が美術部に行ったらさぞ意外であろう。だが風ちゃんも同じ事を考えるはずだ。よし、ここは裏の裏をかいて帰宅してやろう。

2011-10-11 23:03:51
四の舟@1日目東3ク-23b @YOTSUnoFUNE

@oroshiwanko 「・・・」「・・・」 帰宅しようとして直面したのは、バス停でバスを待つ風ちゃんだった。まさか、私の思考の裏の裏を風ちゃんがかいているとは思わなかった・・・。お互いバッタリと遭遇して、返す言葉が無いまま、気がつけばこうして二人並んで、バスを待っている。

2011-10-11 23:07:43
焼き鳥P @Yakitori_P

@YOTSUnoFUNE 普段も、ネタ合わせ以外では特に会話が無いとはいえこれは気まずい。徒歩で帰ると言うことも考えたのだが、風ちゃんのことだ。私が徒歩で帰ろうと足を向けたら風ちゃんも足を合わせるのだろう。それじゃあ私はどうすればいいのか。何も思い浮かばない。

2011-10-11 23:09:46
四の舟@1日目東3ク-23b @YOTSUnoFUNE

@oroshiwanko 何も浮かばない。そして、そこで気がついた。ああ、私と風ちゃんて、こんなに同じことを考えているんだな、と。

2011-10-11 23:14:12
焼き鳥P @Yakitori_P

@YOTSUnoFUNE でも、それを口には出さない。出してしまったら、関わってしまう。心の隅に湧いた意地のようなものが、私の口を固くさせる。それでも、私は腹の奥からわき上がる感情に負けて風ちゃんの方を見た。そこにいた風ちゃんは――泣いていた。

2011-10-11 23:16:40
四の舟@1日目東3ク-23b @YOTSUnoFUNE

@oroshiwanko 驚いて、私は風ちゃんに声をかける。「ふ、風ちゃん! どうしたのっ」 それでも、風ちゃんは泣き止まない。むしろ、私が声をかけた後のほうが、まぶたから落ちる涙が増えたようにも思える。「どこか痛いの!? 風ちゃん!!」 風ちゃんは両手で顔を被ってしまった。

2011-10-11 23:24:12
焼き鳥P @Yakitori_P

@YOTSUnoFUNE 「……寂しい。」「え?」「………寂しいよ、涼ちゃん…」普段人目を気にしない私達だったが、こんな場合は流石に人目を気にせざるを得ない。私は風ちゃんを引き連れて路地裏へと駆けこんだ。

2011-10-11 23:26:44
四の舟@1日目東3ク-23b @YOTSUnoFUNE

@oroshiwanko 「どうしたのさっ! 風ちゃん」 コトンと、風ちゃんが私の胸におでこをぶつけてきた。「風ちゃん・・・?」 「少し、このままでいさせてほしい…」 風ちゃんの声は涙声だった。

2011-10-11 23:32:42
焼き鳥P @Yakitori_P

@YOTSUnoFUNE 震えていた。生まれたての仔猫のように、風ちゃんは震えていた。その震えが私の身体にほんのりと響いた。気がつくと、私は風ちゃんの頭を撫でていた。サラサラの黒髪が、妙に心地よかった。

2011-10-11 23:35:20
四の舟@1日目東3ク-23b @YOTSUnoFUNE

@oroshiwanko 「風ちゃん。やっぱり、私たち、一緒にいようよ」 昨日決めたソロ活動を、私は止めたいと素直に伝えた。私と風ちゃんは涼風コンビ。二人で一つ。一心同体。切り離しては使い物にはならないのだ。そんなことは分かり切っていたはずなのに… なぜ、気がつかなかったのだろう

2011-10-11 23:41:15
焼き鳥P @Yakitori_P

@YOTSUnoFUNE 「……違うの、涼ちゃん。」涙がたまった瞳が、私を見つめる。「違うって、何が?」「…凌ちゃん、私はそんなんじゃないの。私は……私は……」また、風ちゃんの眼から涙があふれた。

2011-10-11 23:43:12
四の舟@1日目東3ク-23b @YOTSUnoFUNE

@oroshiwanko 「…私は?」 様子をうかがう。風ちゃんはゆっくりと顔を上げ始めた。「私は…」 風ちゃんの顔が上がりきる。「涼ちゃんの『一人じゃダメ』という顔が見れて、満足だから」 風ちゃんの顔はさっきまで泣いていたとは思えないほど、落ち着いた顔だった。やられたと思った。

2011-10-11 23:54:35
焼き鳥P @Yakitori_P

@YOTSUnoFUNE 溜息が、漏れた。「でもね、涼ちゃん。」「…なんですか、風ちゃん。」「『一人じゃダメ』なのは……私も一緒だよ。」そう言って、風ちゃんはそっと目を閉じた。そしていつの間にか、彼女の手は私の後頭部に回されていた。

2011-10-11 23:57:25
四の舟@1日目東3ク-23b @YOTSUnoFUNE

@oroshiwanko 風ちゃんが唇を重ねてきた。驚く私は抵抗もできず、ただその唇を受け止めた。しばらくして、風ちゃんはそっと、唇を離した。「涼ちゃん…」 「な、ななななに?」 「お昼、コロッケパン食べたでしょ?」

2011-10-12 00:02:06
焼き鳥P @Yakitori_P

@YOTSUnoFUNE 「……そういう風ちゃんは……たぬきうどん!」「流石です涼ちゃん。」ああ、いつもの風ちゃんだ。

2011-10-12 00:04:02