茂木健一郎(@kenichiromogi)さんの連続ツイート第3013回「私にとって、大切なケンタウルスの彫像の行方」

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茂木健一郎 @kenichiromogi

連続ツイート3013回をお送りします。文章は即興で書いています。本日は感想です。

2023-01-06 07:20:27
茂木健一郎 @kenichiromogi

イギリスのニュースでは、このところ大英博物館にあるエルジンマーブル(パルテノン神殿にあった、ケンタウルスの彫像など)をギリシャに返還するかどうかが議論されている。コメディアンのスティーヴン・フライは、返した方がいいという意見だ。

2023-01-06 07:21:50
茂木健一郎 @kenichiromogi

確かに、エルジンさんがパルテノンから持ってきてしまったわけで、ギリシャに返すのが筋だと思うけれども、なにしろ大英博物館にある至宝で、そこにある方が多くの人が見やすいということはあると思うのだけれども、時代の流れで、返還されることは避けられないのかもしれない。

2023-01-06 07:22:48
茂木健一郎 @kenichiromogi

ぼくはエルジンマーブルが好きすぎて、留学中は何度も行っていた。入り口から入ってどこをどう歩くとあるかも覚えていて、入るとまっしぐらに行って、じっと見つめていた。ところで、ここまで書いて、発音はひょっとしたらエルギンだったっけ、と思い出した。(笑)

2023-01-06 07:25:59
茂木健一郎 @kenichiromogi

「私が衝撃を受けたのは、ケンタウルスとラピタイ人が戦っている様子を表現した一連の彫像だ。ケンタウルスというのは、上半身が人間で下半身が馬という、想像上の怪物である。この一連の彫像は、神話上のあるエピソードを表現している。」(「脳とクオリア」より)

2023-01-06 07:26:25
茂木健一郎 @kenichiromogi

「彫像は、数場面にわたって、ケンタウルスがラピタイ人と足をからませ、喉を押し上げ、拳を振り上げなどして組み合う様子を描いている。胸の筋肉のふくらみから、足の筋肉の上に浮き出た血管まで、表現は極めて写実的だ。」(「脳とクオリア」より)

2023-01-06 07:27:11
茂木健一郎 @kenichiromogi

「やがて、守勢に廻ったラピタイ人は石を拾って反撃しようとするが、ついにはケンタウルスに組み伏せられてしまう。最後の彫像は、勝ち誇ったケンタウルスが、ラピタイ人の女を脇に抱えて去っていく様子を描いている。」(「脳とクオリア」より)

2023-01-06 07:27:51
茂木健一郎 @kenichiromogi

「パルテノン神殿に取りつけられていたというこのケンタウルスの彫像を見るたびに、何か言いようのない深い感動を覚える。その感動は、私の存在の奥深くから沸き起こってくるものだ。私は、古代ギリシャというのは、本当に偉大な時代であったのだと感じざるを得ない。」 (「脳とクオリア」より)

2023-01-06 07:28:27
茂木健一郎 @kenichiromogi

「古代ギリシャ人たちがつくり上げたパルテノン神殿の彫像が私の胸に語りかけてくるものは、いったい何なのだろうか? ケンタウルスの彫像は、想像もできないような新しい知の世界へと、私を誘っているように思われて仕方がないのである。」(「脳とクオリア」より)

2023-01-06 07:29:19
茂木健一郎 @kenichiromogi

こんな風に「脳とクオリア」の大詰めのところで、かなりの部分を割いて、パルテノン神殿の彫像のことを書いている。もともとの単行本も、文庫本も、表紙にはこの彫像の写真がつかわれている。私にとって、大切なケンタウルスの彫像の行方に、関心を向けずにはいられない。

2023-01-06 07:30:36
茂木健一郎 @kenichiromogi

以上、連続ツイート3013回、「私にとって、大切なケンタウルスの彫像の行方」をテーマに9つのツイートをお届けしました。

2023-01-06 07:31:49