- kokada_jnet
- 23704
- 16
- 5
- 5
『ドッキリチャンネル』のレビュー 「特に談志、北杜夫の描き方は秀逸。若き日の談志師匠のいかにも下町のかわいらしさや、北杜夫さんの品のある王子様ぶり(蝶の標本を嬉々として披露)に対する描写などは、読者をその場にいたかのような気にさせるほど」
2011-11-18 18:59:47お尻にできた小さなできものを手術でとってもらった北杜夫と、お見舞いに来た遠藤周作の会話 「北君、尻を切ったあとはヘッこむから、パットを入れるんだね。ほうら、右の尻があんなにヘコんでいる。そら、パット、パット」 「あの、切ったのは左の尻なんですけど」
2011-11-18 19:14:54北杜夫が遠藤周作や阿川弘之と一緒にヨーロッパに公演旅行に行ったときの話 「日本では午まで寝る私が、今のうちに沢山寝て疲れを直そうと思っていると、隣の部屋の戸がドンドンと叩かれ、目が覚めてしまった」
2011-11-18 19:38:15「『おーい、北君、今何時や?』 時計を見るとまだ朝である。私は少々ムッとして言った。 『遠藤さん、あなたは一体、旅に出るとき時計を持たんのですか』 『おれ持たんよ、いつだって』 これでは怒りようがない」
2011-11-18 19:38:37「講演会の本番の前、私が部屋でウィスキーを飲んで、どう話そうかと考えていると、またドアがドンドンと叩かれ、『おーい、北君。君は酒を飲んでいるんだろ。おれにも一杯飲ましてや』 私はとんだ邪魔が入ったものだと思った」
2011-11-18 19:41:54「入ってきた遠藤さんは椅子にドッカとかけ、『おれ、珍らしくドキドキしちゃってさあ。君の不安がっている脳波が伝わってきたらしい』 遠藤さんは少しもドキドキなんかしてなかったのである。公演下手の後輩をリラックスさせるためにやってこられたのである。そういうところが一杯ある人であった」
2011-11-18 19:42:13北杜夫は子供のころお姉さんから『歩く死骸』という映画の話を聞かされたんだけど、「アルクシ・ガイ」と聞き取ったせいで何のことかわからずにそれだけいっそう不気味で、恐怖におののいていたそうだ
2011-11-19 15:32:13それで思い出したんだけど、北杜夫は幼い頃に家族でそろって『キングコング』を映画館に見に行ったそうだ 巨大な猿が出てくる恐怖映画だと聞かされて想像したせいで、まだ小猿さえ出てこない時に恐怖のあまり泣き出して、廊下に追い出されたのだそう
2011-11-19 15:35:50パーティではみんないろいろと出し物をしたらしいんだけど、矢代静一の十八番は「すみれの花咲くころ」で、年々エスカレートしてきて、とうとう女装して「すみれの花咲くころ」を歌いながら階段を降りてきてたってのがインパクトあった
2011-11-19 15:58:01「パーティがおひらきになって周囲ががらんとしたとき、遠藤さんがふとそばにやってきて、『昔、君が妹さんに、ぼくたち子供の頃こうやって花火をやったね、子供の頃は愉しかったね、と言ったのをおれ聞いてホロリとしちゃったことがあるよ』と言われたことがある」
2011-11-19 16:04:04「ふだん陽気でふざけることの多かった遠藤さんの一面である」って書いてるけど、そうなのよね 遠藤周作っておふざけが大好きなんだけど、ものすごくセンチメンタリストなのよね それとも、すぐに感傷的になってさみしいからこそ、ふざけるのかな
2011-11-19 16:06:58「遠藤さんは初め町田に住んでいた。『町田はいいぞう。君もこちらに移りたまえ』と言っていた。どうもいろんな人を誘っていたらしい。妻はわざわざ土地を探しに行ったという。すると遠藤さんはたちまち東京へ移ってしまった」
2011-11-19 16:12:26「或るとき遠藤さんは『君と軽井沢の土地を分割することにした』と言って、大きな地図を赤線と青線でこまかくかこんだものを示し、『この赤いところが遠藤王国だ。青いところが君の国だ』 見るとおいしい料理屋や国道はじめ主要な道はすべて遠藤王国になっている」
2011-11-19 16:16:45「『このレストランもおれの領地だから入るときには許可が要る。これらの道を通るときには通行税をはらわにゃいかん』 私はフンガイするよりも、多忙な遠藤さんがなんで手間閑かけてこんな地図なんか作るのだろうとあきれてしまった」
2011-11-19 16:16:57