【エイプリルフール特別企画】[再]スタァライダーW×名探偵花柳香子の事件簿【特撮パロディ】

少女☆歌劇レヴュースタァライトの特撮パロ「スタァライダーW」とミステリードラマパロ「名探偵花柳香子の事件簿」の存在しないコラボ特番です。後編は本日21時から更新予定です。
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John@マ力口2号 @Jack_O_H_Nielse

[イエスタデイ] [マキシマムドライブ] 2023/04/01/23:59.55

2023-04-01 23:59:56
John@マ力口2号 @Jack_O_H_Nielse

『スタァライト』それは地球(ほし)の記憶(ひかり)に導かれた少女たちの伝説。その舞台であったとされる風の街、風都では近年摩訶不思議な怪事件が頻発していた。これは神楽ひかりと街の脅威に立ち向かう二人で一人の探偵にして戦士、スタァライダーW(ダブル)の物語である! 2023/04/01/00:00.00 pic.twitter.com/RPNZwuZILK

2023-04-02 00:00:03
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John@マ力口2号 @Jack_O_H_Nielse

【スタァライダーW×名探偵花柳香子】 「前より笑うようになったって言われたんだけど、あなたもそう思う?」「お世話されてるのはヒカリちゃんの方でしょ」「ななが半人前なのは事実」「──ずいぶんご丁寧な出迎えですなぁ」 【吹き遊(すさ)ぶB/京都の名探偵】 本日11時より再放送! pic.twitter.com/9LUHNnbVnf

2023-04-02 00:28:59
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John@マ力口2号 @Jack_O_H_Nielse

【これまでのスタァライダーWは】「私たちは二人で一人のスタァシンガー」「青春の挫折の色だ!堪らないねぇ」「それは…酢昆布じゃないかな?」「失敗したけど…あなたはキラめいてたの!それだけは嘘にしないで!」「Oh là là,嘘つきが騙されるなんて皮肉な話ね」「「ジョーカーエクストリーム!」」

2023-04-02 11:00:00
John@マ力口2号 @Jack_O_H_Nielse

「ねぇ、まひる」 「どうしたの西條さん」 「私、前と変わったとか前より笑うようになったとか言われたんだけど、あなたもそう思う?」 コーヒーの香りが漂う星見探偵事務所で、現所長である露崎まひるは困ったような笑みを浮かべた。 1

2023-04-02 11:01:00
John@マ力口2号 @Jack_O_H_Nielse

彼女は日ごろから優柔不断な方ではあるが、この場合に限っては質問がデリケートなものだったのが原因だろう。 質問の主、西條クロディーヌは風都警察署超常犯罪捜査課の刑事である。この街で頻発する怪事件を精力的に解決していく彼女の手腕は敏腕刑事と呼ぶにふさわしいものだった。 2

2023-04-02 11:02:00
John@マ力口2号 @Jack_O_H_Nielse

だが、その原動力になっているのは単なる正義感ではない。復讐心だ。 彼女は去年の八月に愛する両親と妹を超常犯罪で亡くしている。それ故に『ドーパント』──超常的な力を秘めた装置『ガイアメモリ』を悪用する者を憎み、自分の全てを奪った張本人を追い求める猟犬、それが西條クロディーヌなのだ 3

2023-04-02 11:03:00
John@マ力口2号 @Jack_O_H_Nielse

「えーと……」 だが実際、まひるの主観において彼女は初めて出会った頃よりも柔和な表情を見せるようになっていた。事務所の面々と馴染みつつあることは、所長としてもまひる個人としてもとても喜ばしい。 4

2023-04-02 11:04:00
John@マ力口2号 @Jack_O_H_Nielse

とはいえ、彼女の張り詰めた雰囲気が緩んでいることを認めるのは、遠回しに復讐心──即ち家族への想いが薄れているという指摘にならないだろうか。そんな思考が駆け巡り、答えに詰まった彼女は助け船を求めてソファの方へ目配せをする。 5

2023-04-02 11:05:00
John@マ力口2号 @Jack_O_H_Nielse

しかしソファに座り込んだ小柄な探偵はコーヒーが冷めるのも構わず、何やら機械部品の組み立てに夢中だった。 (もう!ヒカリちゃんってば肝心な時に……) 観念したまひるがともかく返事をしようとした寸前、頭上から声がした。 「それ、潮(うしお)さんに言われたの?」 6

2023-04-02 11:06:00
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否定も肯定もせず、やんわりと逸らすような言葉を発したのはもう一人の長身の探偵──大場ななだった。 「あいつじゃないわ。まぁ、潮と話してる時も眉間に皺が寄らなくなったとは言われたけれど……」 「そっかぁ。でもずっと仏頂面していたら疲れちゃうから、少し笑うくらいでいいと思うわ」 7

2023-04-02 11:07:00
John@マ力口2号 @Jack_O_H_Nielse

「“強く張り過ぎた弓の弦は切れやすい”って言うし、ね?はい、バナナマフィン。まひるちゃんもどうぞ」 「ありがとう」 「Merci, プブリウス・シルスの言葉だったかしら」 相槌代わりに微笑みながら、ななはもう一つのマフィンをテーブルに置きながら問う。 「ヒカリちゃん、何作ってるの?」 8

2023-04-02 11:08:00
John@マ力口2号 @Jack_O_H_Nielse

「……新しいガジェット」 「『キリン』からまた届いたんだ。今度は何に変形するの?」「スマートスピーカーみたいね、ソレ」 「………………できた」 ヒカリと呼ばれた小柄な少女は問いかけに応えず、メタリックグリーンの装置にUSBメモリのような物体を挿入した。 9

2023-04-02 11:09:00
John@マ力口2号 @Jack_O_H_Nielse

[フロッグ] 電子音声が響くと丸い装置から四本足が展開し、目の様なパーツが飛び出した。 「カエルだ!」「かわいい……」 「フロッグポッド。指向性スピーカーとマイク搭載で、録音・再生・編集が出来る。カモフラージュ機能もあるから偵察や攪乱に役立つと思う」 10

2023-04-02 11:10:00
John@マ力口2号 @Jack_O_H_Nielse

「ヒカリってこういう時早口になるわよね」 「2m程度の跳躍が可能で、電磁吸着機構で壁や天井に張り付くことも──」 フロッグポッドは鳴き声の様な音声を発しながら飛び跳ね、コーヒーカップを弾き飛ばす。当然中身はローテーブルの上へ盛大にこぼれた。 11

2023-04-02 11:11:00
John@マ力口2号 @Jack_O_H_Nielse

「ちょっとヒカリちゃん!」 コーヒーミルクまみれになったテーブルを見て声を荒げたまひるをよそに、フロッグポッドは飛び跳ね続ける。事務所の扉が開いたのはその時だった。 「ごめんやす。星見探偵事務所は──」 客人の鼻先へフロッグポッドが迫る。 「うひゃー!」「あらー……」 12

2023-04-02 11:12:00
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誰もが一秒後の惨事を予想し、一人は呆れて目を瞑る。二人はどう謝るかを考え、一人は風のように隠し部屋へ逃げようとした。 「──ずいぶんな出迎えですなぁ」 しかし、客人は手に持っていた扇子でぺしりと軌道を逸らす。 13

2023-04-02 11:13:00
John@マ力口2号 @Jack_O_H_Nielse

そして、いなされた勢いのまま壁で跳ね戻ったフロッグポッドが最終的に飛び込んだのは、西條の手元のコーヒーカップだった。 14

2023-04-02 11:14:00
John@マ力口2号 @Jack_O_H_Nielse

スタァライダーW×名探偵花柳香子の事件簿 【吹き遊(すさ)ぶB/京都の名探偵】 pic.twitter.com/F2o1Tcpt5d

2023-04-02 11:15:00
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John@マ力口2号 @Jack_O_H_Nielse

京都からやってきたその依頼人は花柳香子と名乗った。彼女は日本舞踊・千華流の若き家元として家の再興に取り組む傍ら、時折探偵として警察に協力しているのだという。 「しかしまぁこの事務所も随分賑やかになったもんですなぁ」 「もしかして純那さんのお知り合い…ですか?」 「せやで」 16

2023-04-02 11:16:00
John@マ力口2号 @Jack_O_H_Nielse

「あぁ、賑やかってのも嫌味とちゃうよ。星見はんはこう…堅苦しいし格好つけでな。もう少し気取った空気だったんよ、ここ」 「お母さんが……格好つけ……」 まひるとななは首をかしげる。前所長──星見純那と、『格好つけ』という言葉がどうにも噛み合わなかったのだ。 17

2023-04-02 11:17:00
John@マ力口2号 @Jack_O_H_Nielse

冷静沈着かつ理知的で、そんな振る舞いが様になっている。二人にとっての星見純那という人物は、そういう印象であった。確かに『堅苦しい』という評は尤もであったが。 「今日は星見はんに用があったんやけど……『留守』みたいやし、今日のとこはお弟子さんにお願いしましょか」 18

2023-04-02 11:18:00
John@マ力口2号 @Jack_O_H_Nielse

気品ある仕草で茶を飲みながら、香子はにこやかに続ける。その言葉にはどこか見透かすような含みがあったが敢えてそこに言及する者はいなかった。 彼女の依頼の内容は人探し。相手は彼女の幼馴染にして助手である石動双葉という人物だった。 19

2023-04-02 11:19:00
John@マ力口2号 @Jack_O_H_Nielse

「行方が分からないのに風都まで急いで来たってことは……居場所に心当たりが?」 「せや、この街におるんは間違いない。この書置きが手掛かりどす」 香子が巾着袋から取り出した小さなメモは、机に置かれるや否や横から現れたヒカリの細い指に掠め取られた。 20

2023-04-02 11:20:00
John@マ力口2号 @Jack_O_H_Nielse

値踏みするような香子の視線を向けられながら、表面を爪でひっかいたり裏面を凝視したり光に透かしたりと一通り試したヒカリは、僅かに眉をひそめて首をかしげる。 「……これだけ?」「せや」「ふーん」 ヒカリは興味を無くしたのかメモをテーブルに戻し、まひるの隣に座り込んだ。 21

2023-04-02 11:21:00
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