ミャクミャク様ぬいぐるみが即完売→「転売ヤーから買うと呪われる」みたいなミームが流布して民俗学を感じる

はこさん@雑多混沌 @square_next

その後、本誌取材チームが懸命な調査を続けた結果、ついに転売ヤーの指示役だという男との接触、インタビューに成功した。そこで判明した事実は想像を絶するものであった 「ミャクミャク様グッズの転売ですか。確か8人ぐらいに指示しましたかね。」 「でも、全員死ぬか精神おかしくなりましたね。」

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「指示はいつもみたいに出したんですよ、発売開始と同時に、ツール使えってね。」 「でも、その直後から2人ツールの不調訴えて。」 「1人はどうやっても入力フォームに『ふけいもの』っていう文字列が大量に入力されて、しまいにゃブルスクからのPCご臨終。」

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「もう1人はなんか音楽聞きながらやってたんでしょうね。購入自体はできたらしいんですけど、耳元でずっと」 『かみをうりさばくふとどきものめそのみをささぎあがないとしゆるしをこえ』 「……ってヘッドホン外してもずっと聞こえるようになったみたいで。」

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「そんな相談あって三日後ぐらいかな。まずブルスク出したやつが急に電車に飛び込んで。音楽のやつが部屋で首吊って。」 「ブルスクのやつは動画上がってたんで記者さんも見たでしょ？高笑いしながら『ささげばゆるされる』とか喚いて特急にダイブする奴。」

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「後で話聞いたら実は首吊ったやつも、満面の笑みだったらしくてさ。」 「でもこっちだって生活かかってるわけですから在庫抱えるわけにいかないでしょ？だからグッズ残った奴に転送して、早く売り捌けって指示出したんですよ。」 「今考えたらそれが引き返せるラストチャンスだったんでしょうね」

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「まず、記者さんも知ってる例の血だまり部屋のやつは二人の事件知って連絡してきたんすよ。『多分あいつら、敬意なかったからやられたんじゃね。』とか言ってて。」 「『実は信仰心からミャクミャク様を集めて広めようとしてるんです』とか話しかけてみるわｗｗｗｗそしたら騙されんだろｗｗｗｗ』

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「あいつ、実はそれ始めた直後からおかしくなってて。」 『みゃくみゃくさまはおおさかをひろめはくすすばらしきものなり』 「だの」 『われささぐことによりちからとするおまえもはげめ』 「だの支離滅裂なこと言いだして。」

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「そんなこと言ってたら1週間後に例の事件でしょ？この時点で俺も、あ、殺されるわとか思ってたんです」 「でも、俺だって所詮もっと裏の方にいる奴らの下っ端ですからね。今更引き返したところで死ぬのは一緒なんすよ。」 「んな化物知るかちょっとでも金にしてやるって、逆に反骨心湧いてきて。」

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「だから残りの4人だったかもにもそのまま続けろって指示したんすわ。」 「そしたらあのバカ、他の奴に例の方法勧めてたんでしょうね。2人同じ死に方して。」 「ニュースにも出てないのになんで俺が知ってるかって？画像付きで送られてきたんだよメールが！」

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指示役はそこで記者に対して急に語気を荒げ、まくしたてるように言ったらしい。 『おまえもはやくくるように　みなまっているぞ』 「ってな！んで残りのやつらは自分で目ぇくりぬいて〇〇〇〇（不適切用語により削除）病院送りだってよ！」

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「なぁ、俺なんかわりぃことしたか？ただありふれた犯罪行為やっただけじゃねぇかよ！」 「警察？行ったし今までのこともゲロって自首したさ！でも『犯罪は不問にしてやるから帰れ』って取り付く島もねぇんだよ！」 「ケツ持ち組織はアジアのどっかで豚箱ぶち込まれたらしくて音信不通だしよう！」

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指示役はその後も、己の不遇や言い訳を喚き散らし、しまいには記者に泣きつくありさまだったらしい。が、そんなさ中突如彼の携帯に着信があった。 「なんなんだよ……。こんな俺を助けでもしてくれるのか……？」 疲弊しきった彼の顔はスマホを操作しながら見る見るうちに変わっていったという。

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「ふ、ふふ。なるほど。」 『みんなこちらにいきました　つぎはあなたです。』 「ああ、わかった。」 そう言いながら部屋を後にした指示役の顔には、満面の笑みが張り付いていたらしい。

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最後に、今回この事件を取材総指揮である本誌専門家の見解をもってこの記事を締めくくるものとする。 「〇〇さん（筆記者名）怪異ってのは人と人以外との共犯みたいなものや。」

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「特にAIだのなんだのでどんどん人らしさが揺らいでいく昨今、人ってのは未知の非存在意思、つまり上質な怪談に飢えるんや。」 「一方で人以外もどんどんと不可思議が解明されて自分らの存在意義が揺らぐ今、生き残りに必死なわけや」 「そんな時代にミャクミャク様みたいな存在は一番都合がええ。」

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「なんせ、大きい組織がバックについた事業から繰り出された『不気味で愛嬌があって伝承作りやすい』存在なんかとたんに妄想合戦やし、実際そうや。」 「怪異やって同じや、そんな拡散力もあって腹満たせそうなええガワ利用しない手はない」 「そんな中に転売ヤーとかいう万人に置いての絶対悪や。」

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「あんな、怪異は自己存在の保持が至上の命題やだから『退治』されてしもうたら元も子もない。」 「だから万人に『死んでやむなし』と思われてる存在を、実在性あるガワと伝承にフリーライドして食い荒らしました。許して頂戴ねってのが今回の事件の真相や。」

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私が、それではいかにもそんな存在がいる前提ではないか、やはり所詮与太と都市伝説の類ではないかということを指摘すると、専門家はにたりと笑って、 「怪異はおる。」 「少なくともそれを生み出したやつの中と」 「それを面白がって信と疑の境界線の中でバランスゲームさせてる奴らの中に、な。」

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追記 当記事を掲載するにあたっては、本誌専門家の監修を受け、読者に怪異現象が降りかからないように、ミャクミャク様からと思われるメッセージに関しては全て伏字にしてある。よってこの事態は拡散する類のものではないということなので、ご安心の上ご承知いただきたい。

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了。かしこみかしこみ。

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あ、他にもいろいろ書いてますので良しなに カクヨム kakuyomu.jp/users/ygtrbyro… PIXIV pixiv.net/users/3920342