【ビースト・オブ・マッポーカリプス 後編】#4

ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「これでいくか」アヴァリスは手首をひねった。八芒星が溶け、頭上のキンカク・テンプルが同調じみて唸ったように思えた。ニンジャスレイヤーは既に走り出している。アヴァリスは腕を振った。虚空から光の鷹が出現し、羽ばたいて襲いかかった！(((これは！タカガリ・ジツ！)))ナラクが警告する！　20

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(((タカジョウ・ニンジャクランは古来より鷹を鍛え、ニンジャアニマルとして使役した。やがて高位のものは己のカラテを触媒に、力そのものを鷹と化すすべを身に着けたのだ。注意せよ！使役獣としては厄介だ！)))「イヤーッ！」ニンジャスレイヤーは側転跳躍！鷹の突進を回避する！ 21

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「キイイエエエ！」光の鷹は叫びながら方向転換し、ニンジャスレイヤーを襲う！ニンジャスレイヤーはスリケンを投げながら逃れる！光る鷹はスリケンを溶かしながら徐々に巨大化！(((防御せよマスラダ！)))「チイッ……」ニンジャスレイヤーは腕を交差させて耐える！KA-DOOOM！鷹が爆発した！　22

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「……！」衝撃に耐え、後ろへ滑ったニンジャスレイヤーの背後から声。「俺はここだ」アヴァリスは八芒星を光らせ、ジツを選び終えている。彼はニンジャスレイヤーを後ろから抱えようとした。(((組み合うべからず！力の兆しだ！)))「イヤーッ！」ニンジャスレイヤーは咄嗟のバックキック！　23

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アヴァリスは蹴りに押し返され、よろめきながら、衝撃を味わうように両手を広げてみせた。掌が帯びていた不穏な輝きが薄れていった。(((……やはりな。あれはディスインテグレイト・ジツ)))ナラクが目を細めた。(((つかんだ相手を粉々に分解するジツ。コダマ・ニンジャクランの荒業だ！)))　24

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「お前はどうにも妙だ」アヴァリスは言った。「ジツを知っているのか？どこで知った？」「スウーッ……フウーッ」ニンジャスレイヤーは前傾し、呼吸を深めた。血液を燃やし、心臓に負荷をかけ、ナラクのエネルギーを全身に循環させる。視界の彩度が増し、アヴァリスの肉体の亀裂が輝く。　25

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(((警戒せよ。さりとて恐るるべからず。奴がジツを引き出す原理はわからぬが、所詮……)))「いや、大体わかってきた」ニンジャスレイヤーはナラクに答える。アヴァリスは再び八芒星を展開。八芒星。八に八。つまり64のジツを任意に選べる事になる。64はイクサにおいては無限と大差ない……！　26

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「スウーッ……！フウーッ……！」ニンジャスレイヤーは呼吸を深め、セイシンテキをさらに高めた。アヴァリスの八芒星の星々に、白色矮星じみた弱い光点が混じっている事がかろうじてわかる。そこに彼は、アヴァリスの不完全さを……アヴァリスの身体に刻んだ亀裂と同種のものを感じる。　27

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緑に呑まれたネオサイタマを駆け回り、ニンジャスレイヤーはクロヤギの分身体を滅ぼしてきた。それは、アヴァリスの完全性を損ねる「回収の欠落」だ。そこに爪をこじ入れ、裂き広げる。あの不敵な笑みを、終わらせる。ニンジャスレイヤーは拳を握り、開いた。黒炎が爆ぜてバチバチと鳴った。　28

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◆◆◆ 29

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『おろかの極みである。神に挑もうとは』覚束ない蜃気楼の中から、エネアドのガーディアン・ニンジャの一人、アビスマルの超自然の声が発せられた。『それとも、己の所業を理解せぬままに、かような深部にまで立ち入りしか？』蜃気楼のわだかまりに、サツバツナイトとユカノはカラテ警戒を崩さぬ。　30

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二人のさらに後方、柱の陰に隠れたナンシー・リンは、すさまじきニンジャ同士の対峙を観察し、畏怖の感情に微かに震えた。（IRCを通して彼のイクサをオペレートする事は多々あったけれど、これほどのニンジャマジックをこの目で直接目の当たりにする体験は、やはりなかなかのものね）　31

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カリュドーンの開始と共に、三人はエネアドへの直接攻撃に出た。巨大な二人のニンジャ、センチネルとサイバーファラオが守るゲートのみが、より奥に通ずる唯一の通路だったのだ。（センチネルはビッグニンジャでありながら伸縮自在の腕を持つ。一方のサイバーファラオはサイバネ換装で獲得した巨体）32

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（どちらも社紋付きの白い頭巾を纏った異様な姿。まるで、巨体で門を守る事を至上として、逆算的に肉体を当て嵌められたような冒涜的なありさま……セトの恐ろしさという事かしら。センチネルの腕はまるでカイジュウの蛇。サイバーファラオはエメツ反転炉の一種であるオシリス・コアで駆動していた）33

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（だけど、ガーディアンをやり過ごすすべはなかった。サツバツナイト＝サンとドラゴンニンジャ＝サンはジュー・ジツの奥義をもって彼らに応じ……連続トライアングル・リープで攻撃を回避し、同時ドラゴン・トビゲリで彼らを同時に爆発四散させたわ。初戦から、なんて苦しい戦いだったのかしら）　34

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ナンシーは柱の陰で奥歯を噛みしめる。非戦闘要員の自分がイクサに巻き込まれ足手まといとなってはならない。実際、オシリス・コアの解析に気を取られた彼女が超振動ハルバードで両断されなかったのは、サツバツナイトが咄嗟の機転で彼女を抱え跳んだ為だ。（予備の身体といえど、ここに替えはない）35

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では、ゲートを突破し、突入した先で彼らを出迎えたガーディアン、このアビスマルはいかなる力を発揮するのか。『私に不浄なるスリケンは効かぬぞ。聖なるセト神の加護の体現者なれば』「ダークカラテエンパイアのニンジャは神ではない。故にオヌシは単なるジツ使いだ」サツバツナイトは言い放った。36

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『ホホホホ！蒙昧なる者はしばしば己に言い聞かせる……現実が悪夢に過ぎないと！だが絶望は時として具体的な形を取るのだ。特にこの私にかかれば！イヤーッ！』不明瞭な蜃気楼が揺らぎ、その中から突如、黒いガス状の物体が飛び出した！正体不明の巨大な動物は、セトの使役獣じみた存在！　37

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「AAAARGH！」襲いかかる巨大な獣が、ナンシーの隠れる柱に衝突した後、サツバツナイトに襲いかかった。「イヤーッ！」迫りくる牙を、サツバツナイトは両腕で受け止めた。砕け落ちてきた柱材を、ナンシーが危うく躱した。「キエーッ！」ドラゴン・ニンジャが回転跳躍、サツバツナイトを飛び越す！ 38

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回転の中から繰り出された踵落としが、アビスマルの繰り出したセト使役獣の脳天を破砕した。だが！「AAAAARGH！」たちまち第二のセト使役獣が蜃気楼の中から飛び出し、襲いかかってきたのだ！「イヤーッ！」サツバツナイトは獣の突進を肩から背中にかけての体当たりで弾き返した！ボディチェック！　39

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「ゴアアオオン！」広間を震わす咆哮と共に倒れ込む獣の陰から、第三のセト使役獣が襲いかかった。「キエーッ！」ドラゴン・ニンジャはノボリ・ケリで使役獣の顎を砕き、インタラプトした。この機に、転倒していた第二の使役獣が起き上がった。「ヌウウッ！」サツバツナイトは身構えた。　40

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圧縮された黒煙で作られた巨大な獣達は、イヌあるいはツチブタ、あるいはカバ、ジャッカルのようでもある。様々な獣の特徴を持ちながら、それらどれでもない、厭わしい姿だった。『万物は流転する。セト神はその全てを司る事が可能。それが神であり』アビスマルの声が反響する。『我が力の源なり』　41

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「ならば私がオヌシを倒せば、それがセトの万能の否定となるだろう」サツバツナイトはジュー・ジツを構えた。『コシャクな……』「フジキド！」ドラゴン・ニンジャは呼吸を整えた。「この者が1000の獣を放つならば1001のワザをもって制するべし」荘厳に言った。「しかし今は時間がありません」　42

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「策はあるか」「あります。フジキド。少しの間、すべての獣を一人で相手せよ」「……よかろう！」サツバツナイトの双眸が黒橙の火を発す！「「「AAARGH！」」」使役獣が続々と襲いかかる！蜃気楼の中からも、トドメとばかりにさらに一体！二体！「イイイイヤアアアーッ！」サツバツナイトは跳んだ！43

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「なんて事……！」ナンシーは息を呑んだ。オイランドロイド素体の彼女の強化された視力はかろうじてサツバツナイトの動きを追っていた。煙の獣達をめがけて跳んだサツバツナイトは、空中回し蹴りを打ち込み、反動でトライアングルリープし、別の獣の元へ飛び、回し蹴りを叩き込み、反動で更に跳ぶ。44