リア充たちの国

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スース @Re_44

【リア充たちの国】草原を一台のモトラド(注:二輪車。空を飛ばないものだけを指す)が走っていました。「エルメス、見えてきた。国だ」「さいで」「温かいシャワーと柔らかなベッドがある安ホテルがありますように……」「キノはいつもそれじゃん」一人と一台が会話しながら国へと向かっていきます。

2011-11-17 22:21:48
スース @Re_44

「旅人さん!我が国へようこそ!歓迎します!」「ありがとうございます」「どうもね」「できれば安いホテルを紹介してもらいたいんですが」「それくらいお安い御用です!私がご案内いたします!」「おっちゃん、門番はいいの?」「えぇ、もう一人に任せます。近くに国もないですし、暇してますのでw」

2011-11-17 22:23:12
スース @Re_44

綺麗に整った道を進んでいると広間に人が集まっているのが見えました。「リア充は爆発しろー!」\爆発しろー!/「おっちゃん、あれは?」「あぁ、あれですか……」「リア充というのは職業か何かですか?」「爆発しろってくらいだからテロリストじゃない?」「いえ、違います……」門番が説明します。

2011-11-17 22:24:31
スース @Re_44

「じゃあ自分より幸せそうな人間をリア充と総称して妬んでいると?」「はい……」「僕から見ると豊かな国に見えますが」「ええ。国はとても豊かです。ですが豊かなあまりに些細な差で嫉妬が生まれてしまってるんです……」「とっくりの飲み比べって感じだね」「……どんぐりの背比べ?」「そうそれ!」

2011-11-17 22:27:02
スース @Re_44

それからキノたちは門番に国を案内してもらいながら旅の物資の調達などをして過ごしました。そして出国の日。「それでは、お気をつけて」「ありがとうございました」「どうもね。ところでおっちゃんはリア充なの?」「いやいや、私は妻に頭が上がりませんし娘にも嫌われてます。とてもリア充とは……」

2011-11-17 22:28:24
スース @Re_44

「旅人さん、待ってください!」出国しようとしていたキノたちを呼び止める声がします。「なんでしょうか?」「キノ、もしかして食い逃げでもした?」「してないよ……」「いえいえ、そんなことはありません!ただ少しお話を伺いたくて……」冴えない青年たちが数人、キノたちの前に集まりました。

2011-11-17 22:29:58
スース @Re_44

「おっちゃんの話?」「ええ。私たちは国に嫌気が差して国外へと出ようとしているんです。なのにリア充たちがいつも邪魔をしてきて……。何か言ってませんでしたか?」「えぇと、国の話を少し聞いただけです」「そうですか……。ありがとうございました。くそ、どうすればリア充を爆発させられるんだ」

2011-11-17 22:31:32
スース @Re_44

「あの、門番さんがリア充なんですか?」「は?門番なんていい仕事について家庭もある。リア充じゃなくてなんだって言うんです!」「なるほど」「おっちゃんも苦労してるみたいだよ」「そんなの私たちの苦労に比べれば些細なことです!リア充はいつも自分たちばかり苦労してるみたいに言うんですよ!」

2011-11-17 22:33:06
スース @Re_44

「おっちゃんも大変だねぇ。家では居場所がなくて仕事では憎まれて」「そうだね」「キノ、あの人たちが国の外へ出たらどうなると思う?」「間違いなく死ぬね。近くに国があれば別だろうけど」「だよね」「門番さん判断は正しいよ」「あの人たち、これからどうするんだろう」「僕には関係ないことさ」

2011-11-17 22:34:41
スース @Re_44

「ねぇ、エルメス」「なにさ」「それにしてもあの人たち……」「楽しそうだったね」「うん」「あの人たちも見る人から見ればリア充に見えるのかもね」「他のもっと貧しい国から見たらきっとそうだろうね。結局、リア充ってのはなんなんだろう……」「真実は闇の中」「そんなミステリ小説みたいな……」

2011-11-17 22:36:23
スース @Re_44

「もしかしたらキノも今頃はリア充扱いされてるかもよ。自由に国を出入りしやがって!リア充爆発しろ!とか」「それも僕には関係ないさ。僕は僕が好きなことをする。それだけだ」「さいで」「ということで早速門番さんにもらったお弁当を食べようかな」「あ~!自分ばっかりずるい!リア充爆発しろ!」

2011-11-17 22:38:07