いつもの笑顔を作って、笑いかける。 笑顔を弾ませながら返事をしてくれることなんて、もう永遠にないことを知りながら。
2023-06-10 20:15:11きゅ、と強く握った拳。殴るためでも、自身の手を傷付けるためでもない。ただ、さっきまで触れていたゆるの手を、思い返していた。 もう、帰ってこない人。
2023-06-10 20:16:34どうして殺したかだけ聞けば、それ以上のアクションは起こさないつもりでいる。大事な相方の廻先輩の件だって、誰も直接責めたりはしない。でも、僕は、
2023-06-10 20:17:10なの先輩はゆるを軽く持ち上げ、ぎゅうっと抱きしめた。まるで、買ってもらったばかりの人形を自慢する子供のように。 そしてそれとほぼ同タイミングで、大きい溜め息が聞こえた。
2023-06-10 20:18:31「僕も話したいのに喋りすぎじゃないかな。ここは僕のステージですよ。 だって...僕こそが1番のMVPでしょ、このシーンの主人公でしょ。なんてったって黒幕だよ?」 羊飼来夢が楽しげにこちらへ歩み寄る。そして全員の輪の中央で足をとめ、周りを見渡した。
2023-06-10 20:20:59「ひぃふぅみぃ...結構残ったね!どうしよっか。一応これでゲームは終了だし、約束通り願い事を叶えて帰さないとなんだけど ...ちょっと、つまんなくない?」
2023-06-10 20:21:54彼女は「ねぇ?」と愛に共感を求める。びくっと身体を震わせた愛の口からは、か細い母音しか発することができなかった。
2023-06-10 20:22:19「スタンプ一個につき...皆喉から手が出るほど欲しいであろう宝物_____このゲームについての情報とかあげちゃいましょうか」 「全部集めて、それで...うん、そのあとは任せる。知らなかったふりをしてもいいし、馬鹿みたいに嘆いてもいいし、...僕のこと、止めてもいいよ」
2023-06-10 20:24:46優しく目を細める彼女。お気に入りの曲を口ずさむように、ただ楽しそうに笑っていた。 悪意なんて見出せないくらい、柔らかい色の瞳で。
2023-06-10 20:25:36「全部のスタンプを集められたらちゃーんと皆を帰してあげる。...だからそれまで、僕からのプレゼントをちゃんと楽しんでくださいね!」
2023-06-10 20:27:44今日の朝、周りには多くの頼れる存在がいた。廻先輩、くゆり先輩、蕗亞先輩、ゆる。なの先輩だってその内の1人だった。 だけどこの場には、僕と、僕が守らなければならない後輩達だけ。僕しか守れない、ここまで生き残ってくれた後輩達。
2023-06-10 20:29:42後ろを振り返る。目に涙を溜めながら小さく震える愛と、不安そうにじっと足元を見つめるつぐがいた。彼女たちはきっと、僕より何倍も不安で潰されそうになっている。 _____だからこそ
2023-06-10 20:30:02