20世紀初頭の空の色氏による、「聖人になるということ」

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20世紀初頭の空の色 Цвет неба начала 20-го века @pourichkevitch

ヨーロッパ中世の写本。ロシアの19世紀末から20世紀初頭の文学、芸術、デザイン、建築。ロシア帝国。ロシアの皇族と貴族。ロシア革命後のソ連時代。アンティーク。Amazonで『フェリックス・ユスポフ公爵の暗殺計画』と、スターリン時代に弾圧された詩人、芸術家の悲劇を描いた『女たちは列に並んだ アンナも列に並んだ』を出版中。

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聖人になるということ 中世にて斬首が日常茶飯事であったようなイメージがあるとしたら、それはこの世のものとは思えないほど派手な斬首が文学作品にしばしば登場したからだ。実際は斬首は数少なかった。一方、中世の人々の中には激烈な拷問にも怯まず耐える努力をする一団がいて、鞭打ちや pic.twitter.com/vmub7sLfeR

2023-08-26 21:17:37
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皮膚の切りつけ、手足の切断、火あぶり、水責め、ついには斬首にまで行き着き、みずからの信念の喧伝に利用した。単なる殉教者から正式に地位を引き上げられて忠実な信徒の最上位に祀られた聖人の物語は中世の日常生活を織りなす一部として絶えず語られ、語りなおされた。彼らは地獄で pic.twitter.com/qTMANT2vZn

2023-08-26 21:19:21
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屈辱的な拷問に直面したり煉獄で永遠の時間を浄罪のために待つこともなく、究極の献身により死に際して即座に天国に受け入れられたと考えられた。聖人伝の中では彼らのことが書かれてきたが、何といっても強調されたのは殉教者として命を落とした最期の瞬間だ。取分け聖人がキリスト教の信義の pic.twitter.com/DcG8B06MlX

2023-08-26 21:20:48
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名において耐えた責め苦の度合いだった。中世も終盤になる頃には殉教した聖人の苦難がより激烈で悲惨なほど、それに耐えた彼らの心持が感動的で献身的だという理論が強固になった。ところが写本やイコンや祭壇画を見ると聖人たちの顔は罰を受けながらも静謐で凛として微笑んでいるようにも pic.twitter.com/MhVtQuHFcy

2023-08-26 21:25:09
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見える。この残酷な終焉の果てには永遠の死後の世界が約束されていることを予め知っていて、痛みを紛らわす麻酔にかけられているかのようだ。やがて聖人を死に至らしめた拷問道具や方法は彼らのアトリビュートとなり、絵画や彫刻にも聖人の肖像と一緒に登場している。だが聖人のラスボスは pic.twitter.com/hucATaU9C4

2023-08-26 21:28:15
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聖ドニかも知れない。モンマルトルで首を刎ねられたが、彼の頭が地面に落ちるやいなや、首のない身体は造作なく立ち上がって、これを掴み抱えながら、北へ向かって154㎞歩いたところでようやく息絶えたという。その場所は後に教会になった。 pic.twitter.com/hTuQQmZkb9

2023-08-26 21:32:38
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