デッド! デダー・ザン・デッド! #8

ネオサイタマ電脳IRC空間 http://ninjaheads.hatenablog.jp/ 書籍版公式サイト http://ninjaslayer.jp/ ニンジャスレイヤー「はじめての皆さんへ」 http://togetter.com/li/73867
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ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

【このエピソードは】 ニンジャスレイヤー第3部が終了してからしばらくして。ネオサイタマをゾンビーの災厄が襲った。 ヤモト・コキは、ジェノサイドと共に問題解決に乗り出したのである! 様々な特殊なゾンビーニンジャ刺客が次々に襲いかかる!バトルにバトルが重なるエピソードだ!

2023-09-14 21:31:34
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ヤモト・コキ:元女子高生、シ・ニンジャを宿す ジェノサイド:ゼツメツ・ニンジャを宿すゾンビー デッドムーン:武装霊柩車ネズミハヤイDIIIのオーナー ブルーブラッド:フジミ・ニンジャを宿す生首 エルドリッチ:鎖鎌とショットガンの危険ゾンビ― 舞台:フジサン風穴シナミバラ

2023-09-14 21:35:38
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

センセイは号令!「デアエ!ジェノサイド・チルドレンたちよ!ヤモト・コキが向かってくるぞ!」『アイ・アイ・サー!』デュアルヘッドマサカーがまず答えた。獰猛な双頭がシナミバラ連絡モニタに大写しになった。『武装霊柩車ですってェ?蚊ですぜ!蚊!ここにゃ俺の対空システムがありますぜェ!』1

2023-09-14 21:40:17
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

デュアルヘッドマサカーは二つの脳を用いたデュアルコア・システムによって迎撃対空砲を通常の2倍処理する事が可能である。つまりその迎撃能力は通常の100倍となる!『イィーピピピピピピィー!』『ゲヒャヒャヒャヒャヒャ!ゲヒャヒャヒャヒャーッ!』二つの頭は共にイクサの高揚に任せて哄笑す! 2

2023-09-14 21:44:30
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

スプライトはモニタ表示を切り替えた。【迎撃する図】という画面に、フジサンをあらわすワイヤフレーム立体と、飛来する光点が表示されている。武装霊柩車だ。そしてフジサンの中腹付近、対空砲弾とおぼしきドットが連続で発射された!『撃墜重点!』『インセンティブ弾んでもらいまっせェ!』 3

2023-09-14 21:48:29
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「ンー!これでうまくいくか?」スプライトは手に汗握った。センセイは渋い顔だ。「……」「どうしやした?」「ここまでの戦闘結果からして、到底対空砲ごときで阻止しきれる相手は思えん」「で、ですが地上を走ってくるならばまだしも、相手は武装霊柩車の中です。文字通り空飛ぶカンオケですぜ?」4

2023-09-14 21:52:30
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『女来た?やったア!』シュガーブライドの映像が割り込んだ。『行くよォ、サッドネス!決着つける時が巡ってきたってワケじゃないかァーッ!』 『仕方ねェなあシュガー!いいぜ、付き合うぜ!俺らのLOVEは地獄の果てまで続いてンだもんな!とことんブチのめしてやろうじゃん!』 「アーッ!お前たち!指示を待て!」しかし通信途絶!スプライトは血相を変えた。 だが、頭足人の心配をよそに、センセイは厳かに頷いた。「よい。迎撃準備を並列展開せよ……対空砲で倒せない可能性は非常に高い……まだ時間が必要だ……」 彼の血走った眼は、別々のシリンダーに収められた二体のゾンビー……ジェノサイドと、ヘルストームに向けられていた……! 5

2023-09-14 21:56:42
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

朝日!傷んだ大地を染める陽光が、フジサンの特徴的シルエットを切り取った。山頂トリイが輝いた。「グワーッ太陽!遠ざけてほしい!」ブルーブラッドが呻いた。ヤモトは膝から生首を下ろし、シートの下に置いた。武装霊柩車はフジサンに向けて飛行形態。時速666キロで突っ込もうとしていた。 7

2023-09-14 22:02:36
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

その時。液晶パネルに「飛来物注意」「被ロックオンな」のミンチョ文字が躍った。ピーッピーッ。無機質なアラート音が鳴る。「ミサイル!」ヤモトが息をのんだ。デッドムーンは前方の黒い影を見た。フジサンの斜面から黒い影が立て続けに打ち上げられている。それらが上空で方向転換し、襲い来る! 8

2023-09-14 22:06:57
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「歓迎のアイサツか」デッドムーンは迷わず「チャフ」のボタンを押す。輝く金属片が撒き散らされた。これで追尾を妨害、ミサイルは標的を逸れる……かと思われた。だが、KABOOOM!ミサイルは空中で自爆し、蜘蛛の子じみた小型ミサイルを多数ばら撒いたのだ。弾頭が輝き、蜘蛛糸めいた煙と共に迫る! 9

2023-09-14 22:13:31
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「危ねえンじゃねえかァー」ザシキ席のエルドリッチがサービス・オカキをバリバリ噛んだ。ヤモトの足の下でブルーブラッドが悲鳴を上げた。「何が起きている?ミサイルと聞こえたように思うが……大丈夫なのか?」「……正念場だな」デッドムーンは「最大」のボタンを押した。 BOOOM!ロケットエンジンが激しいジェット噴射を行う。燃料ゲージが恐るべき速度で減ってゆくが、躊躇ってはいられない! ネズミハヤイは追い来るミサイルを引き離し、フジサンはぐんぐん近づいてきた。だが迎撃ミサイルは一発ではないのだ。空中で旋回する複数のミサイルが次々にネズミハヤイに弾頭を向ける。いくつかは炸裂して無数の子蜘蛛ミサイルとなる! 追いつかれる……! 10

2023-09-14 22:17:33
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「何が起きてる?まずいのか?」「黙って!」ヤモトが叫んだ。彼女の眼は超自然の光で満たされている!その時だ。虚しく散った筈のチャフの金属片群が、桜色の光に包まれ、命を得たがごとく、Uの字を描くように浮上し、追跡して来るミサイル群に襲い掛かったのだ!BOOM!KABOOM!KRA-TOOOM! 11

2023-09-14 22:22:37
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

獰猛なピラニアじみて、桜色のオリガミ金属片は蜘蛛の子ミサイルに喰らいついた。誘爆が立て続けに起こり、桜色の爆炎がネズミハヤイDIIIの後方に追随する……やがてそれも止んだ。 「ハァーハァーハァー……フジサンに桜……縁起物じゃねえかァー」エルドリッチが言った。「で……どうする……フジサンだぜェー……このまま火口に突っ込むのかァー……?」 「それはいけない!」ブルーブラッドが言った。「正面玄関のカギを開けておくバカはいないよ!フジサンの火口は当然ながら電磁的に最も強固に守られている!火口から侵入しようとすれば、おそらくこの武装霊柩車もろとも電子レンジで熱されたように爆発して終わりだ。山の中腹に複数の風穴がある。それらいずれかを用いるのだ!例えば……そうだな、たったいま我々に対空砲火を仕掛けてきた高射砲、あれを……」 「そういう話だよな」 デッドムーンは左手で液晶モニタのユルギハイムのUNIXデータ表示を操作しながら頷いた。ネズミハヤイは神々しいフジサンの周囲をゆっくりと旋回するように飛行、徐々に高度を下げてゆく。 「このまま突っ込むぜ」 12

2023-09-14 22:27:49
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ゴウウウ!ネズミハヤイは旋回し、更なるジェット噴射を行う。BRATATATATATA!ミサイル射程の内側に入られると、対空砲台はガトリングに攻撃手段を切り替えた。しかしネズミハヤイが火線に追いつかれる事はない!「衝突する!体当たりだと?そんな事……まさか……」「そのまさかだ」 13

2023-09-14 22:32:46
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

デッドムーンは「鬼瓦」のボタンを押した。たちまちフロントグリルが変形、車体内部から引き出されたクロームの装甲が車体前面を覆った。装甲は特殊機構で赤熱!ゴウランガ!「バカな!確実に死ぬ!終わりだ!」「普通のクルマならな」ブルーブラッドは喚いたが、デッドムーンは冷静だった。14

2023-09-14 22:37:00
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

液晶モニタには【衝突対象物組成スキャン完了な】の一文が流れ、後に【大丈夫可能性92%】が灯った。「何だこれは!見た通りのインジケータか?8%も失敗確率がある!僕は首だけだ!この霊柩車が大破して君達が全員死ねばさすがに僕と言えど……」「リスクを踏まない奴は楽しめない」「AAAAARGH!」15

2023-09-14 22:42:04
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

KRAASH!KA-BOOM!対空砲座で撃ちまくっていた双頭が同時に驚愕の表情を浮かべ、約2秒。武装霊柩車の大質量を叩きこまれ、ひしゃげる鉄板と砕けるコンクリートと爆発するUNIXの爆炎にまみれ、デュアルヘッドマサカーはカラテを奮う暇も、退避する暇もないままに、爆発四散した。「「サヨナラ!」」16

2023-09-14 22:47:11
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

洞穴対空砲エリア!黒煙と炎を割って、クロームシルバーの車体が侵入!地下通路の90度カーブを数度ドリフトで曲がり、隔壁前で停止した。ゴゴウン……。隔壁がゆっくりと上がってゆく。無数の足が見える。身体が。そしてニンジャ頭巾めいてボロ布を巻いた頭部!ナムサン!クローンヤクザゾンビだ! 17

2023-09-14 22:53:02
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

デッドムーンは淡々と銃撃ボタンを押した。機銃がせり出し、銃弾を叩き込む。BRRRTTTTTTTT!「「アバババーッ!」」ナムアミダブツ!バイオ血液が、肉片が噴き上がる!やがて真っ赤に熱された機関銃が排気を伴い苦し気に停止すると、車内から回転ジャンプで飛び出したのは、ヤモト!エルドリッチ! 18

2023-09-14 22:58:14
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「「イヤーッ!」」ヤモトは二刀流で斬りまくり、エルドリッチは鎖鎌で殺す!しかも、おお、ナムサン……鎖鎌の分銅が奇妙!見よ、そこには分銅に髪を縛り付けたブルーブラッドの生首!エルドリッチが鎖を投擲するたび、分銅ごと飛来する生首は敵を鋭い牙によって切り裂き、えぐってゆくのだ!  19

2023-09-14 23:03:01
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「「イイイヤアアーッ!」」「アババババーッ!」ヤモトとエルドリッチの攻撃がクローンヤクザゾンビー雪崩の抵抗ラインを超えた! 蜘蛛の子を散らすが如く、四肢断裂したクローンヤクザゾンビーは撒き散らされ、風穴トンネルの鉱路めいた壁面に緑のシミを作っていった。 ネズミハヤイDIIIのライトがフォンフォンと明滅した。デッドムーンは運転席からヤモト達を見、グッドサインを送った。健闘を祈る、と。 「ハァハァハァ……さあ、行くとしよう」 鎖分銅にぶら下がったブルーブラッドが呟いた。ヤモトとエルドリッチは闇の中を歩きだした。 「エルドリッチ=サン」「……何だァー」「ジェノサイド=サンの事、どうする」「そりゃお前……決まってんだろォー……」 エルドリッチの緑の目が闇の中でぼんやりと輝いた。 「決着をつけンだよォー……アイツは俺の一部を盗んでやがンだからよォー……」 「殺させないよ」ヤモトは言った。「アタイは殺させない」 「そうはいかねェー……だがまあ……今はそういう話をしている時じゃねェようだなァー」 彼らは通路を進みきり、大きな空洞に到達した。 20

2023-09-14 23:07:52