東方 紅魔館の看病

せれにうむさん(https://twitter.com/selenium1701)が入院ということで、代役として同氏のssに出てくる人間の男性執事君が風邪をひき、皆にお見舞い(?)される小話になります
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ke()nny @ken0090jp

お見舞い…看病…治療…お医者さんごっこ…ハッ! せ〇にうむさん世界の紅魔館へ勤めてる執事くんが、風邪をひいて皆に色々される小話とか…ふぅん

2018-01-29 21:16:29
ke()nny @ken0090jp

「ごふっ…げふっげふっ……」 「はぁ…いくら寒いとはいえ、使用人が風邪ひいて足を引っ張るようじゃ…同じ人間として恥ずかしいわ」 「申し訳ありません、咲夜さん…」 紅魔館の片隅にある使用人部屋。 その中で、氷嚢を額に当て、マスクをかけているのはこの館に勤める執事の男。

2018-01-29 21:23:23
ke()nny @ken0090jp

「全く…腐っても貴方は有能であるべき使用人なんだから、住み込みである以上体調管理も職務の内だと思いなさい。貴方が抜けてる間、あの指示待ちボンクラ妖精共を使って穴埋めしなきゃいけないじゃない」 「本当に申し訳…ゲフッゲフ」 高熱で赤くなった顔へ、咳による肺の痛みで苦悶の表情が加わる

2018-01-29 21:28:17
ke()nny @ken0090jp

「ああもう!無理に喋るんじゃないわよ!とにかく熱が下がるまで安静にしてなさい!いいわね!」 バタン!と部屋の扉を閉め、この館に勤めるもう一人の人間――十六夜咲夜――は、廊下へと姿を消す。 「はぁ…取り敢えずは職務の調整をして、その後は……」 ぱらり、と手帳を取り出しながら廊下を歩く。

2018-01-29 21:32:50
ke()nny @ken0090jp

「その後は…そうね、『興味本位で、使用人の看病と称して怪しげな療法を試す輩を叩き返す』のが、次の仕事になりそうね……ね?美鈴?」ビキビキ 「あっ…えーと…その…」 紅魔館の門番――紅美鈴――が、何故か持ち場を離れ、使用人部屋の扉の裏に張り付いていた。

2018-01-29 21:35:56
ke()nny @ken0090jp

「美鈴、貴方の職務は…?」ビキビキ 「あっあのですね!執事さんが体調不良と聞きまして、ここは私が東洋医学的見地に立って簡易的な治療法を…」 「門番の仕事、どうしたのかしら…」ゴゴゴゴ…

2018-01-29 21:39:56
ke()nny @ken0090jp

「あっはい!これでも私医学に心得がありまして、気功法や漢方、お灸や針治療に房中術と、中医学の民間療法に関しては大体…ヒッ」 「 仕 事 に 戻 り な さ ぁ ぁ ぁ ぁ ぁ い !!」ドガーン 「ご、ごめんなさーい!」 咲夜の怒鳴り声に驚き、慌てて門へと戻っていく美鈴。

2018-01-29 21:43:25
ke()nny @ken0090jp

「ふう、さて次は…」 と、咲夜が執事の部屋を離れ、廊下へ歩き出そうとした瞬間。 バタドタンッ! 「…何今の音?まさかベットから転げ落ちて…!!」 高熱にうなされた人間が、常人に理解できない行動をとるのはよくある事。

2018-01-29 21:47:10
ke()nny @ken0090jp

そういえば、氷嚢のつるし糸はピアノ線を使っていただろうか。 枕元のキャンドルは、蝋燭を指す為最近針を鋭く研いだのではなかったか。 小脇の机に、林檎と果物ナイフを置きっぱなしにしてなかっただろうか――― 「―――〇〇!」 バタン!と扉を強く開き、咲夜が執事の名前を叫びながら部屋へ飛び込む。

2018-01-29 21:49:24
ke()nny @ken0090jp

部屋に飛び込んだ咲夜が目にした光景。それは―― 「……パチュリー様…」 「あっ…咲夜、ごきげんよう。調子はどうかしら」アセアセ 床一面に怪しげな魔方陣を描き、半裸の状態で執事のベットに潜り込み、今まさに執事のパジャマを脱がそうとしている、動かない大図書館の姿であった。

2018-01-29 21:58:51
ke()nny @ken0090jp

「パチュリー様、一体どうやって此処へ…?」ゴゴゴゴ 「ちっ違うのよ咲夜。今から隷属の魔法陣を展開して、直に私の魔力刻印を行う事で決して私に逆らえない疲れを知らぬ下僕に変えてあげようと」 「それは、病人に裸で行う必要があるのですか…?」ビキビキ

2018-01-29 22:03:19
ke()nny @ken0090jp

「そっそうなのよ!しっかり奥で出して貰った方が深々と刻めるし、達成感があるし、何よりも気持ちがイイし…」 「へぇ…パチュリー様、相当溜まっておられるのですね…」 「そう!最近欲求不満だったから、この際動けない執事君を肉ディルドーにして解消しようと、転移魔法まで使って忍び込んだ訳よ」

2018-01-29 22:06:19
ke()nny @ken0090jp

「へぇ…欲求不満で…肉ディルド…」ビキビキ 「…!!さ、咲夜?私は館の食客よ?そんな私に手を出したら貴方…」 「出て行きなさいこの淫乱魔女――――ッ!!」ガシャアァン!! 「あ"――――っ"!!」 半裸のまま抱えあげられ、窓ガラスを突き破って館の外に放り出されるパチュリー。

2018-01-29 22:09:34
ke()nny @ken0090jp

「はぁ…はぁ…いい加減私を職務に戻させてください…」 再び使用人部屋を後にし、廊下で呼吸を整える咲夜。 すると、そこに話しかけてくる者が一人。 「ねえ咲夜…執事の様子、どうだったの?」 「…お嬢様でしたか、主の手前、色々お騒がせして失礼しました」

2018-01-29 22:12:29
ke()nny @ken0090jp

「あのね、執事がね、前ね…」 「ご安心くださいお嬢様。私達か弱い人間とはいえ、あの程度の風邪で命を落とす事などまずあり得ません。2、3日も休めばよくなるでしょう」 「そ、そうなんだ…でねっ!これを執事にね、渡してきて欲しいの!」ズイッ

2018-01-29 22:16:58
ke()nny @ken0090jp

「お嬢様、この瓶は…?」 レミリアが先程まで後ろ手に抱えており、咲夜に突き出したのは一本の透明なワインボトル。 「あ、あのね、執事が昨日体調悪そうにフラフラしてた時にね?『このまま最期を迎えるなら、いっそお嬢様の汚れた【聖水】で溺れて死にたい』って…」 「……」

2018-01-29 22:21:38
ke()nny @ken0090jp

ギュッ ポンッ! グイッ! グビグバ―――ッ!! 「あぁ咲夜!飲んじゃ駄目ぇ!!」 「ごぼぼぼぼぼぼ!(うめーっ!お嬢様の汚れた【聖水】うめえぇぇぇぇぇっ!!)」 ワインボトルを目にも止まらぬ速さで開封し、その中身――レミリアの小便を物凄い勢いでがぶがぶラッパ飲みする咲夜。

2018-01-29 22:24:16
ke()nny @ken0090jp

「ぷはぁ…結構なお手前でした」 「うぅ…私のオシッコ…」 満足そうに息を吐く咲夜と、がくりと膝から崩れ落ち、目に涙を浮かべるレミリア。 「ううっ…うう…」 「お嬢様…?」 「いつも厳しくしてばっかだから、たまにはご褒美上げなきゃ、と思ったのに、それなのに、それなのに…」 「……」

2018-01-29 22:27:15
ke()nny @ken0090jp

「…大丈夫ですよ、お嬢様」 「…へ?」 「風邪の際は味覚が鈍るといいます。折角お嬢様が用意して頂いた、【聖水】も、今の執事ではその半分程しか味わえないかもしれません」 「咲夜…」 「彼が回復するのを待ちましょう、その時、またたっぷり【聖水】を注いであげればいいだけの話です」

2018-01-29 22:29:30
ke()nny @ken0090jp

「それに、向こうが寝たきりのままでは飲みにくいでしょう。しっかり立ち上がれるようになってから、今日の分も足して溢れる程注いであげましょう」 「う、うん…」 「その日までは、少し我慢、です。全快してから、休んだ分の罰も上乗せして苛め抜いてあげましょう」 「…うん!それがいいわ!」

2018-01-29 22:32:14
ke()nny @ken0090jp

「そうとなれば善は急げ、です。執事の回復に向けて、私も献立に工夫を凝らして、一日でも早く全快できるよう尽力させて頂きます」 「…ありがとう咲夜!貴方も力を尽くして、早くあの変態執事をベットから引きずり出してあげなさい!」 「仰せのままに、お嬢様」

2018-01-29 22:34:33
ke()nny @ken0090jp

使用人部屋を後にし、廊下を歩きながら病気に聞く献立や療法の話に花を咲かせる従者と主人。 口や態度では中々表せないものの、二人とも、病に倒れた執事の全快を、心から願っているところは同じであった――――。 THE END ?  「うふふっ、これで皆何処かにいったかな?」

2018-01-29 22:37:32
ke()nny @ken0090jp

「よーし、これで『しつじ』とフランの二人だけの時間だよ」 執事の休む使用人部屋、その床板を持ち上げ、這いずるようにベットへ迫る悪魔の妹――狂気の吸血鬼、フランドール=スカーレット。 「みーんな『しつじ』をほったらかして可哀想だから、フランが看病してあげるんだ!」

2018-01-29 22:43:17
ke()nny @ken0090jp

「まずは…ご飯を食べさせてあげるのかな?それとも悪い内臓をちぎって捨てなきゃいけないのかな?それともえいっ!て頭にお注射するのかな…?」 がちゃりがちゃり、がたんがたん。 赤黒いシミで彩られた革製の鞄、それを音を立て引きずりながら、一歩一歩、執事の寝るベットへと近づいていく。

2018-01-29 22:46:11
ke()nny @ken0090jp

「よーし、『しつじ』は、朝までフランがつきっきりで看病してあげるね!」 がちゃんがちゃんと、およそ医療に使うとは思えないおぞましい器具を鞄から出しながら、ベットの上に跨るフラン。 「――フランと『おいしゃさんごっこ』、しーましょ?」 にたぁ、と狂気の瞳が悪魔の微笑みを浮かべた―――

2018-01-29 22:49:57