復刻のPSゲーム『70年代風ロボットアニメ ゲッP-X』サントラについて、作者の八的暁氏が語る24年目の真実

八的暁　ハチプロデザイン @hachipro

再販前はプレミア価格２万円以上とかいう狂った状況だった。再販のおかげで我が家で保管していた盤の値打ちが暴落してしまった。 てなワケでみんな買ってね～ amazon.co.jp/%E3%82%B2%E3%8… pic.twitter.com/UEqvfhGyIy

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ちなみに再販CDが爆売れしてもぼくの懐には一銭も入って来ません。w 自分が苦しんだ末に作り上げた表現は、ゼニカネ関係無く沢山の人に伝わって欲しい！ ってのが最も大きいんだ。

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各楽曲について少し思い出など語ってみよう。まずはOP『ゲッP-Xのうた』 パイロット版『ゲッPロボ』の時代、社内公募で曲を集めたが、当然まともに作れないor作れても四小節以上が他曲の引用ばかりが出てきて、結局オレが作ることに。 つづく

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んで音楽担当のK君(ナイスガイ。ゲイだ)と音楽室でヒーヒーアフンアフン言いながら徹夜で作ったのが、この主題歌。オレ氏人生初の作曲。コレでウルトラ苦労したおかけか、脳に音楽の回路が形成されちゃって、以後はすごい勢いで音楽をヒネり出すことに。

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次、EDテーマ『ゲッP-Xのバラード』 こちらは作詞を担当。70年代ロボアニメのEDといえば、とにかく暗い雰囲気を。何故暗くする必要があるかというと、ロボアニメは太平洋戦争とその後の学生運動の、２度の敗戦を謳う必要があるからだ。

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なのでテーマは、敗戦。無駄に消費される青春、孤独、虚無感。そういったものを「ネタ、小細工無しに」謳う必要がある。結果、ベタであることそれ自体が「今のネタ」として機能する。コレ重要。少なくともOPとEDは、評論的な視点を臭わせてはイケナイ。

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ステージ１挿入歌『ゲッP-X発進せよ！』 派手に擬音をバリバリ入れたい。今じゃこんな曲どこにもかかってないヨ！って言われる曲にしたい。歌詞に意味など持たせてなるものか。というワケでとにかく知能指数の低い曲を目指した。

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合いの手にコーラスが入るが、これには筆者も混じっている(w どうしよう、コーラスデビューしちゃったよ。 クリスタルキング　ムッシュ吉崎の声が超バッチリ。ステージ１のミュージックとして会心の出来ではなかろうか。

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@TOKYOMEGAFORCE 当初のイメージから、主題歌とED曲にささきいさおさんはマストです。(水木さんがダメってワケじゃなく) その他の挿入歌などは、なんとなーく串田アキラ、景山ヒロノブ…あたりをイメージして作ってたところ、なんかあれよあれよとすんなりハマッてくれたって感じです。

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ステージ２挿入歌『希望の勇者ゲッP-X』 こちらは作詞作曲共に筆者ではない。なのでともすれば「薄味」と感じられる向きもあるかもしれない。が、ステージ２のイメージとしてはそれが必要だった。串田アキラ氏の突き抜ける透明感ある歌声に、つい顔がほころぶ。

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串田氏の歌は色々あるが、やはりパンチ力ある歌唱が氏の最大の武器だろう。が、筆者はあえてここで静かで熱いブルースを推したい。大好き。

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ステージ３挿入歌『好きだ！ゲッP-X』 やってくれました！ムッシュ吉崎さん。スゴイよこの人。こんな変なネタ曲(w)が、何故かグッとくる歌に仕上がってしまうんだから。収録現場ではみんなノッちゃって民謡調、演歌調など様々なバージョンを歌ってくれちゃったりした。

八的暁　ハチプロデザイン @hachipro

そんなこんなでムッシュさんに惚れちゃって。後日、予定になかった新曲を追加でお願いすることに。トゥルーエンドの、最もアツい場面にだけ流れる特別な歌が欲しかったんだ。まぁ、作り手のワガママですね。作り手はワガママでなんぼです。

八的暁　ハチプロデザイン @hachipro

ステージ４挿入歌『絢爛(じゅんらん)たる逆襲の救世主(メシア)』 最も苦心した作詞。実はMIOさん(現MIQ)に依頼するのは想定外だった。何故なら80年代を代表するシンガーの一人ってイメージだから。でも絶対プレイヤーが喜ぶよ？って皆に説得されて渋々…内心は大喜びで作詞作業に入る。

八的暁　ハチプロデザイン @hachipro

作り始めるが、もぅその時頭にあったネタは出し尽くしてる。…ならばゲッPが80年代にリメイクor続編製作された時の主題歌をイメージしてやろう、80年代ぽくったっていいじゃない？と開き直る。なのでリアルロボ系主題歌の印象がまぁまぁ入ってます。

八的暁　ハチプロデザイン @hachipro

なので、その時持ってたリアルロボ系主題歌に入れたいコトバの全部を入れた。収録時、スタジオに居合わせた営業さん達がひっそり涙ぐんでるのを見て、内心「勝った」と思った。オレグッジョブ。

八的暁　ハチプロデザイン @hachipro

なんで全ステージ歌なの？バカなの？金かかるしうるさいよって当時は言われた。うちに営業にきた音楽の人(ゲッPとは別)にも言われた。だって、ロボアニメや特撮で最もアガる瞬間って、歌かかるじゃん。最もプリミティブな表現である音楽の面は、オトナの計算で作っちゃダメなんだよ。

八的暁　ハチプロデザイン @hachipro

で、そんなアホな意見に賛成してくれたのが、ゲッPの音関係を統括してくれた尾形さん。まぁ有名な人だ。とはいえ70年代アニソンのノリを捏造…作り出すのは容易ではないので、やっぱり出来るだけ多くをオレが作詞作曲することになる。

八的暁　ハチプロデザイン @hachipro

なのでゲッPについて、企画、シナリオ、絵コンテ、デザインなど…の他に「音楽」の実製作をやることになる。まー軽く死ねる作業量だ。多分、当時は何かよくわからないモノが憑依してたんだと思う。今じゃ無理。

八的暁　ハチプロデザイン @hachipro

んでステージ５挿入歌『蘇れゲッP-X』そしてステージ６挿入歌『GEPPY-X THE SUPER BOOSTED ARMOR』…と、串田さん２連発。ここは皆から文句が出た。串田さんが続くし、なんで新主役機登場回にバラッド？って。いやいや…コレは「必須」なんだよ。

八的暁　ハチプロデザイン @hachipro

ぼくはロボットアニメは２度の敗戦体験から生まれたと言った。敗北から立ち上がる瞬間、君の脳裏にはどんな歌が流れるかね？それは綺麗なポップじゃなく勇壮なイケイケマーチでもない。

八的暁　ハチプロデザイン @hachipro

負けると分かった上で、せめて立ち向かう意志を示す為に。そんな悲壮な覚悟で立ち上がる者の脳裏に流れる曲だ。串田さんの静かで熱いバラッドしかないだろ常考。 で、ステージボス戦はここだけ主題歌を流す。この瞬間、OP、ED曲が初めて完全に物語に織り込まれ、視聴者の肉体と化す。

八的暁　ハチプロデザイン @hachipro

ステージ６の主題は、スポンサーのテコ入れで低年齢化路線に舵を向けられる物語の悲哀だ。なので前のステージでバラッドを歌っていた同じ人が、ここではお子様向け娯楽作品かくあるべしな曲を歌う。この温度差を楽しんで欲しい。オトナになってしまったオレ達にとっては、これもまた愉悦だ。

八的暁　ハチプロデザイン @hachipro

なのでわりと多くのユーザーさん達から、ステージ６の串田さんの歌が最高にイイ！って感想がよくあった。さすが現代の視聴者さん、訓練が行き届いている精鋭揃いだ。

八的暁　ハチプロデザイン @hachipro

さて、ステージ７の主題は、開放／旅立ちだ。 ささきさん、出番ですよ！ 挿入歌『飛べ！ダブルエックス』は、ぼくにとっての『宇宙戦艦ヤマトのテーマ』なんですよね。