原作マンガと「日本の絵描き」としてのアニメーター

結城信輝 @nobuteruyuuki

ニンジャのポストを読もうとして開いたら、某漫画家先生の発言が波紋をよんでるらしい。 アニメ関係者界隈がピリピリしてるのが伝わって来ていたが、だいぶん落ち着いてきたようなので、自分が常々思っていることを改めて考えてみた。

結城信輝 @nobuteruyuuki

もちろん漫画家先生の言ってることは至極正論なのは当然なれど、立場が強いぶん感情の部分では配慮が足りなかったかもしれない。（そもそも二、三行の書き込みで本意を読み取れるほど人は賢くないので）

結城信輝 @nobuteruyuuki

いつぞや、敬愛する松本零士先生でさえアニメーターを「偽物」呼ばわりされたこともアニメ関係者からするとショックであったが、原作者からのダメ出しはそれに近いものが有ったのではないだろうか。

結城信輝 @nobuteruyuuki

漫画家もアニメーターも経験した身からすれば「（自分が苦しんで創作したものを）勝手に描かないで」そう言った気持ちは理解できる。 「ビジネスの世界だからそう言った線引きをきちんとするべき」それもわかる。

結城信輝 @nobuteruyuuki

自作の原画をまとめた同人誌では、おそらく業界で最も厳しいであろう東映アニメーションさんにも（偉い方々数人への面談の末）許諾をいただいたし、松本零士先生原作の物についても知人の骨折りでご自宅まで伺う機会を得て（恐る恐る）伺った所、快諾いただけた。

結城信輝 @nobuteruyuuki

そもそも、自身が仕事を受ける際に「そういった条件」を提示させてもらってはいるが、改めて確認は取るようにしている。 それが「スジ」だとは思う。

結城信輝 @nobuteruyuuki

ただ、「気持ち」は別だ。「ファイブスター物語」も「ロードス島戦記」も「エスカフローネ」も「X」も「パラダイスキス」も「orange」も「ヤマト2199」等々、すべて深く携わったアニメーションは「自分の作品」だと思っている。

結城信輝 @nobuteruyuuki

それは原作の信奉者からすると、たかがアニメーター風情が「人の作品を勝手に」と感じるのかもしれないが、それがアニメーター／キャラクターデザイナーとしての「プライド」であり、また「重責」であるとも思っているからだ。

結城信輝 @nobuteruyuuki

また、それだけの「職能」も「重労働」も求められる。 それは時に漫画家にも匹敵するほどのハードワークであり（両方経験した身だからこそわかるのだが）、出来が悪ければ原作ファンからは「死ね」「消えろ」と罵られ、矢面で全責任を負わされるのだ。

結城信輝 @nobuteruyuuki

過去には、レジェンドアニメーターたちの才能とそうしたハードワークの末に作り上げた作品たちが海外に輸出され、海外に多くのジャパニメーション（死語？）ファンを生み出し、それは時に出版社の海外進出の足がかりにさえなったはずだ。

結城信輝 @nobuteruyuuki

その結果か、海外のファンたちの多くは日本のアニメーション関係者をリスペクトしてくれている。 アニメは映画と同じで原作とは別作品という認識で、原作とは分けてクリエイターとして尊重してくれているようだ。

結城信輝 @nobuteruyuuki

だからこそ、この３０年あまり海外では日本で日の当たらないアニメ関係者を招くイベントが多く開催されてきた。 そうした折には必然的に色紙をねだられるし、またイベント側が有料でおこなうサイン会なども有り、好きなキャラクターの絵を頼まれることも多い。

結城信輝 @nobuteruyuuki

そうした際に描かれたもの（？）が原作者から「ニセ色紙まがい」に咎められるれるのは、アニメ関係者にとっては少々感情的になってしまうのもやむなし、とも思ってしまうのだ。（某漫画家さんは直接そう言ってはいないのだが、文脈でそれと同じととれる）

結城信輝 @nobuteruyuuki

「権利」も持っていないのに、公式としての「義務や責任」だけ負わされる。「自分もそっち側」だと思っていたら、「ああ、違うのか。。」と。 （３０年以上自分なりには権利を主張して抵抗してきたが）残念ながらそれが現実らしい。

結城信輝 @nobuteruyuuki

ならばアニメーターも対価なりの労働だけしていれば良いのでは？と揺れることも多くある。 身を削らず「安っすいアニメ」だけ作ってれば業界もブラックなどと呼ばれないだろうし、漫画家さんもアニメに夢やクオリティなど期待せず、許諾もしない方がそういった事故（？）にも遭わずに済むかもしれない

結城信輝 @nobuteruyuuki

昨今、プロの漫画家の方々でさえSNSでは他人のキャラをおそらく無断で描かれる方も多く見かける中、僕がエスカフローネ（これでさえ僕は権利を持っていない）やロードス島戦記の色紙を無許可で描くのはNGで、セーラームーンやガンダムの絵ならOKだとしたら、なかなかにカオスな状況だと思う。

結城信輝 @nobuteruyuuki

ここまで読んでくださった方には感謝を。某漫画家さんが僕が携わったアニメの原作者さんで無いことだけは記しておきます。 あくまで個人の考えなのでご不快にてもご容赦頂きたく。議論に加わる気はないので、この件ではリツイートや反応は無しに願います。

結城信輝 @nobuteruyuuki

とはいっても、また「痛い人」扱いされるんだろうなぁ。（苦笑）

結城信輝 @nobuteruyuuki

漫画家さんのお話は十分納得出来たので、別ポストにて。 さすがにもうあまりアニメ業界にも関われない年でもあるので、フォローしてくれているこれからの若いアニメーターの方々にむけて。

結城信輝 @nobuteruyuuki

たとえば、「ヤマト」についてはSNSなど無償のものに関しては自由に描く許諾をとっている。そんなことを問題視するようなら「参加しない」と宣言しているからだ。そのかわり信頼関係は損なわないよう配慮するし、宣伝にも協力する。当然、有償のものはちゃんと申請する。

結城信輝 @nobuteruyuuki

勿論、目に余れば当然STOPが入るだろうし、版元の権利は強力だ。 その強権で守られる部分は我々にもあるので、その原則を否定する気はさらさらない。版元との良好な関係こそがお互いの利益になるはずだ。そういった双方の「ある程度の尊重」があれば、お互いウィンウィンなのではないか。

結城信輝 @nobuteruyuuki

ちなみに僕は「ロードス島戦記」のOVAに限ると、ほんの少しだけ権利を持っている。 これは僕がイラストなどの著作権を手放さないので、面倒な許諾省いてスムーズに使えるように角川側から提案されたことだ。これも一種のウィンウィンだと思う。

結城信輝 @nobuteruyuuki

また自身がイラストで参加したゲームなどでも権利を持っているものは多い。 とはいえゲーム本体には及ばないし、ほとんど買取に近いのだが、自分で画集や同人などに使う権利は契約でクリアしている。