Shuuji Kajita@s_kajita氏による、歴史上悪名高い独裁政権に共通する特徴をまとめたローレンス・ブリットの論説 "Fascism Anyone?” (ファシズムは誰か?)の抄訳
2足歩行ロボットの研究者.SF,科学書,音楽(最近は主にボカロ曲)が好き.私の発言は所属する組織の公式見解とは無関係です.
歴史上悪名高い独裁政権に共通する特徴をまとめた論説 "Fascism Anyone?” (ファシズムは誰か?)。 secularhumanism.org/2003/03/fascis… この一覧表が有名ですが、示唆に富む原文を抄訳してみます。 pic.twitter.com/EZE8m5IAcH
2023-09-02 00:18:47ローレンス・ブリットは以下の独裁政権を比較し、いずれもよく似た特徴を持っている事を示した。 ・ナチスドイツ ・イタリア ファシスト党 ・スペイン フランコ政権 ・ポルトガル サラザール政権 ・ギリシャ パパドプロス政権 ・チリ ピノチェト政権 ・インドネシア スハルト政権
2023-09-02 00:19:267つの独裁政権の分析から、国家の行動と権力乱用の認識可能なパターンにつながる 14の共通点が明らかになった。 これらの基本的な特徴は、政権毎に強弱はあるものの、一定レベルで共有されている。 以下、共通点を列挙する。
2023-09-02 00:21:381. 顕著で継続的な国粋主義 国旗の目立つ掲示から随所に付けた襟ピンに至るまで、政権自身と熱狂した国民双方の愛国的国粋主義を示す熱意は常に明白だった。 キャッチーなスローガン、軍隊への誇り、団結の要求が、共通して用いられた。 通常それは、外国人排斥に近い外国の事物への猜疑心を伴った。
2023-09-02 00:22:472. 人権の軽視 独裁政権は、人権にはほとんど価値がなく、支配層の目的実現の妨げとみなした。 標的となった人々を巧みなプロパガンダで疎外し悪者扱いすることで、国民は人権侵害を受け入れるようになった。 ひどい虐待に際しては、秘密保持、事実の否認、偽情報を用いる戦術がとられた。
2023-09-02 00:23:143. 敵/スケープゴートづくり (1/2) 国民の注意を問題からそらし、失敗の責任を転嫁し、狙った方向に不満を向けるためスケープゴートが利用された。 そこでは執拗なプロパガンダや偽情報などが効果的に使われた。
2023-09-02 00:23:343. 敵/スケープゴートづくり (2/2) 標的は、共産主義者、社会主義者、自由主義者、ユダヤ人、少数民族・人種、伝統的な敵国、他宗教の信者、世俗主義者、同性愛者など。政権はこれらの「テロリスト」に対する「自発的」行為を扇動した。 反対する者もまたテロリストとしてレッテルを貼られた。
2023-09-02 00:23:514. 軍事の優先 支配層エリート達は軍とそれを支える産業インフラに密接に結びついた。 国内に他の深刻なニーズがある場合でも、不均衡な割合の国家資源が軍事に割り当てられた。 軍隊はナショナリズムの表現とされ、国家目標を主張し、他国を威嚇し、支配層の権力と威信を高めるために使われた。
2023-09-02 00:24:265. 性差別の横行 政治エリートと国民文化が男性優位であるという単純な事実を超えて、これらの政権は必然的に女性を二級市民とみなした。 彼らは中絶に断固反対し、また同性愛嫌悪者であった。 これらは、その国の伝統宗教に支持されつつ厳格な法律で成文化され、政権による濫用を可能にした。
2023-09-02 00:24:516. マスメディアのコントロール (1/2) 一部の政権では、マスメディアは厳格に直接管理され、党の方針から決して逸脱しないものとなった。 他の政権では、メディアの正統性を示すため、より巧妙に権力が行使された。
2023-09-02 00:25:416. マスメディアのコントロール (2/2) その手法は、ライセンスの管理や資源へのアクセス、経済的圧力、愛国心への訴え、暗黙の脅迫など。 マスメディアの指導者は政治的に権力エリートと親和性が高かった。 その結果、政権の行き過ぎを一般大衆に気づかせないことに通常は成功した。
2023-09-02 00:26:377. 国家安全保障への執着 国家安全保障機構は支配層エリートの直接管理下に置かれた。 それは通常、無制限に秘密裏に活動できる抑圧手段であった。 その行動は「国家安全保障」を守るという名目で正当化され、その活動に疑問を呈することは非愛国的、あるいは反逆的であるとみなされた。
2023-09-02 00:29:048. 宗教と政治の癒着 (1/2) 共産主義政権とは異なり、ファシスト政権とプロトファシスト政権は、敵対者によって神がいないと宣言されることはなかった。 実際、ほとんどの政権は、その国の主流の宗教に自らを結びつけ、その宗教の戦闘的擁護者を演じた。
2023-09-02 00:31:168. 宗教と政治の癒着 (2/2) 彼らの現実の行動が宗教の戒律と相容れないという事実は、隠蔽された。 プロパガンダは、支配層エリートたちが信仰の擁護者であり、「神を持たない者」の反対者であるという幻想を植え付けた。 権力エリートに反対することは宗教への攻撃に等しいとされた。
2023-09-02 00:33:119. 企業の保護 一般市民の生活が厳格に管理される一方、大企業の比較的自由な運営は損なわれなかった。 支配層エリートは、企業を軍事生産の手段だけでなく、社会統制の追加手段として見ていた。 特に「持たざる市民」の抑圧において、継続的利益の確保のために、経済エリートは優遇された。
2023-09-02 00:34:1610. 労働者の抑圧 組織的な労働運動は、支配エリートとその同盟企業の政治的覇権に挑戦できるパワーとみなされ、必然的に潰されるか無力化された。 貧しい人々は下層階級を形成し、疑いの目や露骨な軽蔑の目で見られた。 一部の政権下では、貧困は悪徳だとみなされた。
2023-09-02 00:35:0211.知識人と芸術の蔑視と抑圧 (1/2) 知識人とその自由な思想・表現を独裁政権は忌み嫌った。 知的でアカデミックな自由は国家安全保障と愛国的な理想を破壊すると見なされた。
2023-09-02 00:36:0311.知識人と芸術の蔑視と抑圧 (2/2) 大学は厳しく管理され、 政治的に対立しそうな教員は嫌がらせを受け、排除された。 非伝統的な思想や反対意見の表明は厳しく攻撃され、沈黙させられ、打ち砕かれた。 芸術と文学は国益にかなうべきであり、そうでなければ存在する権利がないとされた。
2023-09-02 00:36:3412. 犯罪の厳罰化への執着 (1/2) ほとんどの独裁政権は、膨大な囚人を抱える厳格な刑事司法制度を保持した。 警察は美化され、歯止めのない権力を持っていたため、虐待の横行を招いた。
2023-09-02 00:37:0312. 犯罪の厳罰化への執着 (2/2) 「通常の」犯罪と政治犯罪は、でっちあげの刑事告訴に統合され、時に政権の政敵に対して使用された。 犯罪者や「裏切り者」に対する恐怖と憎しみが国民に宣伝され、警察権力強化の口実として用いられた。
2023-09-02 00:37:5613. 身びいきの横行と汚職 (1/2) ビジネス界や権力エリートに近い人々は、自らの利益追求のためその地位を利用した。 この腐敗は双方向に作用した。 権力エリートは経済エリートから金銭的賄賂や財産を受け取り、その結果経済エリートは政府の優遇を受けた。
2023-09-02 00:38:5513. 身びいきの横行と汚職 (2/2) 権力エリートのメンバーは、国家資源を私物化するなど、他のルートからも莫大な富を得ることができた。 警察や司法が統制され、メディアが規制されていたため、この汚職は野放しで、一般の人々にはよく理解されていなかった。
2023-09-02 00:39:3914. 不正な選挙 (1/2) 国民投票や世論調査の形で行われる選挙は、たいていイカサマだった。 実際の選挙が行われる場合には、望ましい結果を得るために権力エリートによって歪曲された。
2023-09-02 00:40:15