#twnovel まとめ(2011/12/3-9)

@zeniqui が書き散らした #twnovel のまとめです。
1
銭喰 @zeniqui

#twnovel 『駅構内は<深淵>です』改札の前の貼り紙の、<禁煙>の文字が消され書き変えられていた。「深淵を覗くとき、深淵もあなたを見ているのですよ」改札の向こう側から、お坊さんが顔を出して言う。「貴方は深淵ですか?」「いいえ、わたしは珍念です」

2011-12-03 11:00:44
銭喰 @zeniqui

#twnovel ブレーキの悲鳴と鈍い衝突音が続き、一瞬だけ街の喧騒が消えた。糸の切れた人形のように、路肩に転がる青年。整った身なりの男が車から降りて名刺を差し出した。「ここに連絡したまえ」…遠くて近い未来の話。告訴されることは長者の証として名誉とされ、街には当たり屋が溢れていた

2011-12-04 14:34:47
銭喰 @zeniqui

#twnovel 「あ、」やっと長い行列の先頭に立つと、若者は列を間違えたことに気づいた。しかし(車か電車かの違いだ)と思い直す。警笛がして、電車が見えた。…遠くて近い未来の話。貧富の格差は年々広がり、若者たちは二択を迫られた。長者の車にぶつかり賠償金を得るか、電車にぶつかるか。

2011-12-04 14:48:52
銭喰 @zeniqui

#twnovel 「願いをなんでも三ツだけ叶えてやろう。そのかわりお前の魂をいただく」「一生遊んで困らないだけの金と女、最後の一つは魂を獲らないでくれ」「いいだろう。それでは魂をいただく」「なんだと、約束を破るのか?」「代金は先払いだからな。魂を二度獲ることもしないさ」

2011-12-04 21:33:44
銭喰 @zeniqui

#twnovel 彼の中で私はコーンポタージュが好きということになっている。身を切るような冬の朝、駅のホームで私はカイロ代わりのスチール缶を両手で抱えて彼を迎えるからだ。「よっぽど好きなんだな」という的外れな言葉に私は「うん、大好き」とまっすぐ目を見て答えた。少しだけ、意地悪。

2011-12-06 07:12:32
銭喰 @zeniqui

#twnovel シマウマの親仔が最期の時を迎えようとしていた。低木の陰のチーターに気づいたときには、すでに二頭は危険域にいた。覚悟を決めた親が前足の蹄を仔の縞模様に当てて言う「ピッ、252円です」「えっ、ちょま…」チーターが慌てて小銭を探しているうちに二頭はまんまと逃げおおせた

2011-12-06 07:37:02
銭喰 @zeniqui

#twnovel 私には才能がなかった。天才と呼ぶ者もいたが、天才とはあの男のような者を言うのだ。私はただあの男の背中を追いかけるだけの人生だった。…瞼が重くなる。ゆっくり目を閉じると、闇の中に文字が浮かんだ。『続けて二周目をプレイしますか?』…気がつくと私は、あの男になっていた

2011-12-07 07:21:09
銭喰 @zeniqui

#twnovel 『超マイクロ極細麺!』の看板に魅かれて『長友』というラーメン屋に入った。両サイドに理髪店が並ぶ面白い立地のお店だ。「ラッシャーセー!」禿頭の店員がカウンターの向こうから元気に迎えてくれる。注文すると少しも待たずに別の禿頭が持ってきたのは、細く黒いちぢれ麺だった。

2011-12-08 07:12:37
銭喰 @zeniqui

#twnovel 目が醒めると、双子は一人になっていた。部屋の中を必死に探したが、もう片方は見つからない。終いに自分は双子だと嘘を吐いていたのだと思い至った。そこに母が大事な話があると入ってきたので、嘘を誤魔化すため反復横飛びを始めた。泣きながら、反復横飛びをした。母も泣いていた

2011-12-08 12:44:18
銭喰 @zeniqui

#twnovel ちょこちょこと歩くおさげの少女のあとを黒いローブの死神が付き纏うように歩いていたため、お巡りさんが問いかけた。「あ、スイマセン。ローブの端が留められちゃって…」骨だけの指がさす先には少女の髪留めがあった。「髪留め、カミドメ、神留めってことで…」「署で話聞こうか」

2011-12-09 07:28:31
銭喰 @zeniqui

#twnovel 『ニュースをお伝えします。†神様がくれた白い奇跡†の影響で現在、JR各線に運行の遅れが出ています。また、首都高速道路で†天空(so-ra)のホワイトイルミネーション†でスリップした車が横転し後続の車が次々衝突する事故が発生した模様です。ニュースをお伝えしました』

2011-12-09 12:16:43