- rouillewrite
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出港してから1週間が経過した。 3日目までは程々であったお互いの会話も、6日目にもなればかなり親しくなっていた。幼い少女ならば、尚更慣れというものは早いようで、仲良くやっている様子だった。
2024-02-04 21:05:2212月4日のあの日、スカーレット夫人からこの船の中で行われるであろう出来事の説明をされた。 その後のゲームルームでの作戦会議は、会議というよりは今後の動きや彼ら同士でのルール決めと言った面が大きかった。
2024-02-04 21:06:42…罪を背負っているというのだから、前科のある者もいるだろう。 しかしそれを無理に暴こうとしたりしない、争いごとを起こそうとしないようになど、ごく普通の事だったが。
2024-02-04 21:08:00そんな取り決めをしてから約2日経った今でも、この船では何も起きていない。 相変わらずエイダンがレストランで出迎え、デッキブラシを持ったケインが時々海を見ながら黄昏ている(サボっている)姿を確認するだけで、たた時間だけが過ぎていった。
2024-02-04 21:09:05朝昼晩と食事の時間が決まってはいたものの、特に厳しい制約はなかった。 遅れてくる者もいれば、そもそも体調を崩してこない者もいた。 1週間で20人がお互いの顔を確認できていたかは怪しい。
2024-02-04 21:11:38そこで、生存確認や監視を含めた顔合わせの時間を、ルールの中に追加した。 あまりいい顔をしない者もいたが、生死がかかっているので否定的な意見は聞いていられない。
2024-02-04 21:12:19時間は朝の10時。 朝食後に全員ゲームルームに集まるように。 …そこまでを取り決めたのはオースティンである。
2024-02-04 21:12:41…クロエを連れて、ダンデがゲームルームに入ると、そこには既に全員が揃っていた。 別段作戦会議などをするわけでもなく、少女たちに至っては遊んでいる。
2024-02-04 21:15:09ゲームルームの内装は少し豪華なもので、廊下と変わらない白い壁と赤い絨毯。 真ん中に小さなシャンデリア、その下にビリヤード台が2つと、奥にダーツボードが3つ。 視線を左にずらせば、壁際にテーブルが5つほど並べられており、そこでボードゲームを楽しめるようだ。
2024-02-04 21:16:20少女たちはそこに集まっているようで、クロエが仲良しのレイアが椅子に座っている姿を目撃したのか「あの…」とダンデの服の裾を引っ張る。 別に自分に許可を取らずとも、向かって構わないのにとは思いつつ、彼は肯定の意味を込めて頷いた。 その途端、彼女は嬉しそうにそちら側に走り出す。
2024-02-04 21:17:27クロエがテーブルに近づいてそう問いかけると、椅子に座って焦ったような表情を浮かべたレイアがそう返す。どうやらチェスをやっていたようだが、難航していてなかなか勝つ見込みが無い様子。 対戦相手は……とクロエが視線をレイアの正面に移すと、その少女は苦笑いをした。
2024-02-04 21:19:55クロエの問いかけに、対戦相手であるエリザが答える。盤面を見れば、黒がエリザ、白がレイア。 ……勝てる見込みがほとんどない絶望的な状況だ。 そんな話をしている間にも、レイアは長い思考時間が終わったのか己の駒を手に持つ。
2024-02-04 21:21:01「ここですわ!」 「…ええと、チェック」 「はぅ!! ……うゔ〜〜〜ん……!」 pic.twitter.com/QvAkRwjnXz
2024-02-04 21:21:51「無理ですわ〜!」と頭を抱え始めたレイアのそばで、クロエがあわあわしているのを眺めつつ、ダンデは壁に背を預けた。
2024-02-04 21:24:13「…どう思う?」 「……どう?」 「あの主催者(クソ野郎)について」 pic.twitter.com/v1Ivrlu7C5
2024-02-04 21:26:08ふーっと白い煙を吐いて、問いかけた男の方を見ずに呟いた。 問いかけられた男───アイディオも同じように壁に背を預けている。 紫色の瞳だけをダンデの方に向け、彼は俯きがちに答えた。
2024-02-04 21:27:18「……どうもこうも、ねぇよ」 「まぁ俺もどうもこうもねぇけどよ。 こんなちっせぇ指輪ひとつで人間の生死を決めろなんてゲームを作る奴だ。 この船作るのだって安くはねぇだろうし、それなりの目的がないとやらねぇだろ」
2024-02-04 21:29:24