スクールガール・アサシン・サイバー・マッドネス #3

公式note https://diehardtales.com/ ニンジャスレイヤー「はじめての皆さんへ」 http://togetter.com/li/73867
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ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「ヒッ」モニコは慌てて周囲に目撃者のいない事を確かめる。「やめてよ!」「何がだよ、カッタリーナ!」リンホはモニコの背中を叩いた。「この写真見て、お前が雑魚のニボシ女子高生だってバカにする奴いねえし」「そんな事……顔ひきつってるよ」否定しながらも、モニコは少しにやけていた。 20

2024-03-04 22:57:06
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「マジでプロ感あったろ、アタシら。だから医者もプロの仕事したんだ」「そうだといいけど」「お前さあ」リンホは睨んだ。「何でアタシのピアス、パクってンだよ」舌を出す。モニコは首を振った。「たまたま。金髪と同じ。キアイ入れたらリンホ=サンと同じで……」言葉を濁し、情報データを開く。 21

2024-03-04 23:01:11
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

画面上の01ノイズの滝の中から文字列が生じる。それは即ち、次のヤクザ・ターゲットに関する諸データだ。情報屋のネットワークにアクセスし、油断なく、プロらしく振る舞い、ヤクザマネーと引き換えに手に入れた情報だ。「作戦立てよ。結局、わたしは手伝うだけなんだから」「感謝感謝だな」 22

2024-03-04 23:04:32
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「アバーッ!」ヤクザの首が吹き飛んだ。リンホのカタナは結構な業物だ。あるいは右腕のサイバネアームがアタリだったか。「アッコラー!」KRAASH!鉄製ドアを蹴り開け、ヤクザ事務所の隣室から増援ヤクザが雪崩込んできた。リンホの視界、彼らの頭上に「A」「C」「C」と表示される。武装度Tierだ。24

2024-03-04 23:13:52
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

リンホは既に動き出していた。耳から入り込む破壊衝動。集合的殲滅全体!高揚感撃滅満載!最強高機動!最強高機動!最強高機動!「「グワーッ!?」」武装度Cの弱いヤクザの足首をまとめて切り払い、戦闘不能に。そのまま横に転がる。怒り狂った武装度Aのヤクザは振り上げた拳を赤熱させた。25

2024-03-04 23:18:20
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

リンホは床に唾を吐き、ヤクザに向き直った。カタナはケンドー下段の構え。すくい上げるように斬るための予備動作だ。「クソオヤジ」が「お父様」だった頃の教え。脳にブチ込んでくれようか! 頭蓋!「ザッケンナコラー!」赤熱する拳が振り下ろされる!リンホはカタナで迎え撃つ! 26

2024-03-04 23:22:26
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

KRAASH!ヤクザの赤熱拳はカタナを手のひらで受け止め、熱しながら押し返す。「女子高生がコラー!センジャネッゾ!」「ウルッセーゾ!」リンホは叫び返した。そして笑った。「アタシとサイバネ比べンのかよ?ヤッテヤンヨ!」キュイイイイ……右腕の駆動音が頭蓋骨に、ニューロンに響く! 27

2024-03-04 23:25:58
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「テメッ……」ヤクザは目を見開いた。リンホの脳に強烈な快楽物質が爆発する。旧式テッコ如きに、この腕は負けない。ジャンク屋でも扱いきれなかった、なにかワケありの、ヤバいブツだ。この腕にはリンホを走らせてくれる力がある。そして左目が熱を帯びる。カタナが力に応える。 28

2024-03-04 23:29:27
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「オラッ!」赤熱アームがカタナの合金を熱損傷するより早く・強く、リンホはカタナを押し込み、そのまま腕ごと裂き切って、肩から鎖骨をえぐった。「グワーッ!?」「オラァッ!」リンホは肩から体当りし、そのまま押し込んだ。背後の装甲フスマを……薙ぎ倒す!KRAAASH!部屋突破! 29

2024-03-04 23:32:23
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「テメッ……テメッコラ!コラーッ!」ヤクザはリンホに押されながら、背中を繰り返し殴りつけた。だがリンホは怯まなかった。腰が入っていないから、耐えられる。リンホは最初の「殺し」の時に、真っ先に学んだ。ヤクザは脅すのが仕事で、生きるか死ぬかのやり合いは、また別の慣れの話なのだと。30

2024-03-04 23:39:29
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

下っ端の連中は、ヤクザクランのパワーを傘に来て、キアイにしているだけだ。本心から殺したいとも思っていない。だから銃弾もそうそう当たらない。ドスにも本気の殺意がない。その点、リンホは最初から殺る気だ。復讐のショドー。花火のように生きる。この腕が気持ちに物理の力を与えるのだ。 31

2024-03-04 23:46:09
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「このッ……このクソが!」「ンンンンン……!」リンホはヤクザを壁に押しつける。そしてカタナの背に手を添え、さらに、押し込む。「グ……グワーッ!ワカッテンダロナコラー!」「ワッカンネーヨ!」「アバーッ!」血飛沫!集合的殲滅全体!高揚感撃滅満載!最強高機動!最強高機動! 32

2024-03-04 23:49:38
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ヤクザはリンホと取っ組み合い、ガラスを破ってベランダにもつれた。「死ねよ!いい加減に!」「ナマッコラー!」「オニ……オニイサーン!」背後、さっき足を斬ったヤクザが根性で立て直し、壁に手を付き追ってきて、チャカ・ガンを向けていた。リンホは呻いた。撃たれる前に、彼女は突き進んだ。33

2024-03-04 23:53:19
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

重力の感覚が消失。視界が真っ暗になり、気がつけばリンホは仰向けだった。背中に濡れたアスファルトを感じて、夜空の割れた月を見上げている。隣で、さっきのヤクザが死んでいた。赤熱した腕に雨が当たり、蒸気を吹いていた。立てなかった。両足首がありえぬ方向に曲がっていた。 34

2024-03-04 23:56:13
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

アタバキ・ブシド・ハイスクールの校門前には屈強な体育教師が腕組み姿勢で佇み、始業間際に校門に走り込んでくる生徒たちに睨みを効かせていた。「待って待って!待って!」声が飛ぶ。そして、パンを咥えたリンホ・クロキが角を曲がって現れた。「クロキィー!また貴様か!」体育教師が唸った。 36

2024-03-04 23:59:30
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ガラガラと音を立て、鉄のゲートが無慈悲に閉じられる。「クロキ!貴様は入場まかりならん。そこで反省のショドーを書いたうえで……」「アラヨット」リンホは見事な高度跳躍からのベリーロールで、鉄扉を苦もなく越えて、敷地内に着地した。「クロ……キ……?」体育教師は唖然とした。 37

2024-03-05 00:03:38
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

リンホの足首には埋込式のヒキャク=サイバネティクスが換装されている。黒いルーズソックスがそれを隠していた。「そんなワケなんで!」リンホは手を振り、モニコのもとへ走った。「調子いいぜ、今度のやつも」「そんなこと言うけど……!」「だって、二度とのたうち回りたくねえし。痛いし」 38

2024-03-05 00:07:34
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「怪我もあるけど、ヤクザの警戒網が強まってるよ」モニコが歩きながら携帯端末で示した。『多分女子高生』『指名手配』の文言が流れる。「このままだと、返り討ちに遭うよ……」「まあそうだよな、ダラダラやってりゃ」「ちゃんとしよ」「ちゃんと復讐じゃなく勉強だな」「リンホ!聞いてよ」 39

2024-03-05 00:14:07
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

他の生徒がぎょっとして二人を見た。モニコはベンチを指差し、リンホを座らせ、自らも座った。「わたし、リンホのことを応援してるけど、メチャクチャになって人生終わるために協力してるんじゃないよ!」「メチャクチャって……」「復讐、成功させて、そこから頑張らなきゃでしょ!」 40

2024-03-05 00:18:56
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「いや……そりゃそう……だよ」リンホは頭を掻き、遠くでアサガオに水やりをしている園芸部を眺めた。「別に考えてねえワケじゃないし。連中の戦力削って、腕試しをして、ヤクザマネーをゲットしてンじゃん、今。で、カネを使って強くなってる」足をぶらぶらと振ってみせる。「な」41

2024-03-05 00:23:51
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「続かないよ、こんなの」「続けるつもりもないッて」「ほら……」モニコがわなわなと震えだす。リンホは肩を押さえた。「いや最後まで聞けって!……だからさ、アタシはもう、後はヤルだけなんだよ。そろそろバーンとキメなくちゃな。命が幾つあっても足りねえし」「つまり……?」「ボスを殺る」 42

2024-03-05 00:26:40
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「……」「モニコ。お前が言った通り、ヤクザの連絡網が回るし、アタシが何者なのかッてのも段々わかってきちまうし。この前は皆殺しも失敗して、ヒヤッとした。だからさ。今まで以上に準備して、最小限のステップで、終わらす。それなら不満ねえだろ」「……わたしは、部外者だから、不満とか」43

2024-03-05 00:31:57
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「ん?」リンホは微笑み、モニコを見た。モニコは首を振り、嘆息した。「早く終わろ」「そうだな」リンホは頷いた。「感謝してるよモニコ。役に立ってる。アタシは当然、当初は一人でやってくつもりだったんだ。……なんでお前、ついて来ンの?」リンホはモニコから目をそらさない。 44

2024-03-05 00:35:12