『実録！ 東観光奇譚』一話・二話

DJ全力（小説家.伊集院アケミ・リハビリ中） @valuer5460

そういうやり方で二年近くやってきて、ミナトの大逆転以降は相場作りが安定した。守口に至っては、殆ど売り煽りしか書いてないのに、短期で4倍化した。ほんのわずかな黒字化と、僕の再発見した100億の隠し財産だけで、そんなことが可能なはずがない。じゃあ何故、それが現実のものになったのか？

DJ全力（小説家.伊集院アケミ・リハビリ中） @valuer5460

それは、株価がファンダやチャートの形ではなく、人の心で決まるからだ。より具体的に言えば、僕が時間をかけて作り上げた、「強欲で自分勝手だけど、なぜか憎めない事務員さん」のキャラと、小説の中で、極東大亜くんに嵌められるおバカな観子（みこ）ちゃんを皆が愛し、応援したいと思ったからだ。

DJ全力（小説家.伊集院アケミ・リハビリ中） @valuer5460

決算日以降、僕はずっと鍵をかけ、フォロワーを選別し、銘柄名すら出してないんだから、それ以外に理由は考えられない。そして、鍵を開けた途端、つまり、どんな奴でも僕のポストが見られるようになった途端、守口は暴落した。外の奴らにとっては、僕らの相場に賭ける思いなど、どうでもいいからだ。

DJ全力（小説家.伊集院アケミ・リハビリ中） @valuer5460

本当は東観光の続きを書くべきだったんだろうけど、あのエッセイの本当の意味が伝わってない気がしたので書きました。まあ、あと一日あるしね。 togetter.com/li/2329026

DJ全力（小説家.伊集院アケミ・リハビリ中） @valuer5460

東海観光の黄金時代。88年の12月セゾングループに対し、469円で1200万株の高値嵌めこみに成功。総資産113億円、純資産97.9億円（BSP100円）、借入金6.5億円。会長・社長ともセゾン出身で、事実上傘下へ。85年の最初の出資から株価は上げ続け、90年高値870円（修正株価2160円）。この年、バブル崩壊。 pic.twitter.com/WmrT11CKzL

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日本経済新聞 電子版（日経電子版） @nikkei

藤田観光、椿山荘だけじゃない　危機から復活ROE30％ nikkei.com/article/DGXZQO…

DJ全力（小説家.伊集院アケミ・リハビリ中） @valuer5460

これからお話しすることは、守口の調査報告書に記載された事実にインスパイアされて、僕の創作したフィクションです。かつて守口の大株主であった『ある人物』の事を極東 大亜（きょくとう たいあ）くん。守口が今の体制になる以前の旧経営陣の事を、観子（みこ）ちゃんと呼ぼうと思います。

DJ全力（小説家.伊集院アケミ・リハビリ中） @valuer5460

今の経営体制の礎を作った、ある人物の事を守口君と呼びます。とはいえ、東海観光がどれだけクソ株だったかを平成生まれのキッズたちは良く知らないだろうから、まずは、「極東 大亜くんが、どれだけひどい男だったか？」という小話の披露から始めようと思います。

DJ全力（小説家.伊集院アケミ・リハビリ中） @valuer5460

『実録！　東(あずま）観光奇譚』 プロローグ『美春国際社事件』

DJ全力（小説家.伊集院アケミ・リハビリ中） @valuer5460

今から9年とちょっと前、2014年12月の年の瀬に、守口君は突然、霞が関にいる金融庁のお偉いさんに呼び出されました。7年前、当時守口の筆頭株主であった極東大亜くんによって買収された霊園会社、『美春国際社（みはるこくさいしゃ）』の経理処理が、「適切ではないのではないか？」というのです。

DJ全力（小説家.伊集院アケミ・リハビリ中） @valuer5460

事件の簡単なあらましはこうです。当時、極東大亜くんは、東家の子女である東観子（あずま みこ）ちゃんに124億円でその会社を売りつけたのですが、「三年後には、年間10億の利益が出るよ」と言われて買ったその会社が持っていたものは、殆ど資産価値のないマレーシアの広大な原野でした。

DJ全力（小説家.伊集院アケミ・リハビリ中） @valuer5460

東家は元々、伊豆の名門旅館をいくつも所有する名家でした。その資産管理会社である東観光は、1949年の東証再開直後から上場している超老舗企業です。その一人娘である観子ちゃんも、かつては三井財閥の庇護のもと、セゾソグループの御曹司から、結婚を申し込まれるほどのお嬢様でした。

DJ全力（小説家.伊集院アケミ・リハビリ中） @valuer5460

しかし、残念ながら観子ちゃんは、少しばかり頭の弱い子でした。おまけにバブル崩壊後、生家は没落し、旅館に客は入らなくなり、お付き合いをしていた婚約者も、いつの間にか株を売って消えていました。生活能力のない観子ちゃんは、ただひたすらに会社の貯金を切り崩す毎日だったのです。

DJ全力（小説家.伊集院アケミ・リハビリ中） @valuer5460

そんな観子ちゃんに声をかけたのが、帰国子女の極東 大亜くんでした。彼の実家は、香港市場に上場する新興デベロッパーで、彼は当時100円割れに沈んでいた東観光の株を5000万株も引き受け、他の大株主の株も買って、一気に筆頭株主に躍り出たのです。

DJ全力（小説家.伊集院アケミ・リハビリ中） @valuer5460

大亜くんの狙いは、『東証一部上場の名門企業を生家の傘下に収めることと、いまだ残る東観光の膨大な資産』でした。しかし、彼の上辺の優しさと、その体の虜になってしまった観子ちゃんは、大亜くんに薦められるがままに、極東家の所有するクソ物件を、次から次へと押し付けられていきます。

DJ全力（小説家.伊集院アケミ・リハビリ中） @valuer5460

ほぼ無借金だった東観光の財務はあっという間にボロボロになり、100億円近くあった株主資本も30億円を割り込みました。残ったのは、ロクに賃料も生まないクソ物件と、ボロボロの旅館だけです。観子ちゃんは、自分の生活を切り詰めて何とか出費を抑えていましたが、売上がなければ焼け石に水です。

DJ全力（小説家.伊集院アケミ・リハビリ中） @valuer5460

しかし、それでも観子ちゃんは、「経営権だけは、絶対に渡しちゃいけないよ」という両親の遺言を守って、それ以上増資をしませんでした。しかし、経営を再建しようにも、大亜くんの存在を胡散臭く思っている銀行はお金を貸してはくれません。旅館最下位のめどは立たず、完全に手詰まりでした。

DJ全力（小説家.伊集院アケミ・リハビリ中） @valuer5460

東証一部上場企業にもかかわらず、売上は10億円を割り、株価も下がってゆきました。そしてとうとう、30円を割り込んでしまったのです。「バブルの時は、870円も付けていたのに……」と観子ちゃんは泣き崩れました。100円で買った大亜くんも大損ですが、それは彼にとって、想定の範囲内の出来事です。

DJ全力（小説家.伊集院アケミ・リハビリ中） @valuer5460

むしろ、会社を乗っ取るためには、好都合であるとさえ言えます。全ては、『美春国際社』を高値で売りつけ、東観光を乗っとるための、大亜くんの策略だったのです！

DJ全力（小説家.伊集院アケミ・リハビリ中） @valuer5460

何故、観子ちゃんは『美春国際社』を買ってしまったのか？　そして何故、お金を全然持ってないはずの東観光が124億円も支払えてしまったのか？ その秘密と、その窮地から東観光を救った守口君の活躍を、これから少しずつ語っていきたいと思います。勿論すべて、僕の捏造したフィクションですけども。

DJ全力（小説家.伊集院アケミ・リハビリ中） @valuer5460

『実録！　東観光奇譚』 第一話『原野商法』 #くどい様ですがこの物語はフィクションです #くどふぃく

DJ全力（小説家.伊集院アケミ・リハビリ中） @valuer5460

2007年某日、東観光・役員室。 極東大亜くんはその日、東観光を絶望の底に追い込む究極のクソ案件を胸に秘め、物憂げな顔で机上のモニターを眺める観子ちゃんに、こう声を掛けました。

DJ全力（小説家.伊集院アケミ・リハビリ中） @valuer5460

「やあ、観子ちゃん。元気？」 「元気なわけないよ、大亜くん。今日のうちの株価知ってる？　29円だよ？」 「29円かー。俺も大損だなあ……」 「ごめんね。こんなの上場直後の、昭和20年代以来だよ。当時は株数も30万株しかなかったのに、どうしてこんなことになっちゃったのかなあ……」

DJ全力（小説家.伊集院アケミ・リハビリ中） @valuer5460

大亜くんは、「お前の頭が緩いからだよ」と叫びだしたい気持ちを必死に堪えながら、観子ちゃんをこう慰めました。 「気にすることはないよ、観子ちゃん。株価は投資家が決めるものだし、ライブドアショック以来、デートレーダーもなんか元気ないしさ」

DJ全力（小説家.伊集院アケミ・リハビリ中） @valuer5460

「それにしたって、酷いよ。東観光は去年、苦労してようやく黒字化したんだよ。上場廃止になったライブドアだって、最終取引日は94円だったのに……」 『そりゃあライブドアは、お前んとこと違って、大量の現金と優良子会社を持ってるからな……』と思いながら、大亜くんは再びこういいました。