伊東乾先生@itokensteinの「モノを論じる所で終わる文章は基本書かない。それが常に行動の原点になるものを書きます。実際には依頼原稿の連載と書籍が大半だけど、全て自分自身の過去と未来の行動の狭間で「現在」時点のマニュアルを記す。」

ときおり僕の書く文章に「文化論」という言葉を宛てて下さる方がある。テキストは書き手を離れれば一人歩きするもので、それをどう読んで貰っても一向に構わないのだけれど、僕自身の狙いや読みと読者の方のそれは違っているのが基本だと思って頂く方がいい。僕は論のための「論」には殆ど興味がない。by 伊東 乾
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Ken ITO 伊東 乾 @itokenstein

一通りさらってふと時計を見れば2時半!これは急いで帰らねば。

2011-12-27 02:30:06
Ken ITO 伊東 乾 @itokenstein

こどもの頃から最もも基礎的なもの原始的なものから積み上げてゆく強さというのに強く惹かれた。例えばバルトークのピアノ協奏曲第一番。あれと計り合える仕事がしたいとずっと思ってきたけれど、この所考えるようになった「カシワデ」という切り口、やっとそれへの答えが音として掴めたかもという予感

2011-12-27 02:32:33
Ken ITO 伊東 乾 @itokenstein

要は民謡であれ宗教儀礼であれ、音の一部とか表面だけつまみ食いしててもダメだという事。自分の琴線に触れるコレというのがあると、何かに開かれてゆく。神社で叩くカシワデの音だけ考えても開かれない。でも「手打ち」式とか「打ち上げ」=「ウタゲ」と繋がってくると、大きく動き始めるものを感じる

2011-12-27 02:35:05
Ken ITO 伊東 乾 @itokenstein

学者さんの興味と楽隊の関心の違いは今も人の心が動くかどうかにある。カシワデは日本独特の伝統といって「へぇ」と感心して終わるというのも一つのアプローチ。でも今もって忘年会や新年会で普通の企業人が「お手を拝借」と手締めして何かが吹っ切れるという心の動きを現代日本人も持ってる事への驚き

2011-12-27 02:37:45
Ken ITO 伊東 乾 @itokenstein

結局僕は僕の思う事、あえて言えば音楽という形で(しか)示す(ことが出来ない)思想を書いているのに過ぎず誠実な学究例えば考古学とか独文とか聖書学の人が見れば怪しからん事をしている自覚がある。また商業的に儲かるとも限らない。でも浅く情けなく流れる事は余りない。そういう思索が大事と思う

2011-12-27 02:42:22
Ken ITO 伊東 乾 @itokenstein

よしあしは別として、戦後の映画音楽の仕事場は今のコミックとちょっと似ていて、売れてる人の名前で仕事を取ってきた中でアシスタント好きに書いたりしていた。でも当時のアシはその後多くが独立して大きくなった人も多い。翻って今ゴースト使ってる人の仕事の仕方は正直まったく感心しないものが多い

2011-12-27 03:19:40
Ken ITO 伊東 乾 @itokenstein

小沢昭一と永六輔のご両人は今もってある種のトラブルがあったとき、放送業界の守り神的に動いてくれる人と聞いている。一本筋の通ったこういう人が、なぜかある世代以降激減してしまうような気がする。心棒が入っているのは、改めて、本当に大切なことだ、と思うのだが・・・。

2011-12-27 03:24:06
Ken ITO 伊東 乾 @itokenstein

歴史的に考えると、夢が減っちゃう感じかもしれないけど、飢えとの戦いというのも大きかったと思います。で、そこに食というか味を追求しちゃうのが、動物ではない人間だと思います。

2011-12-27 12:02:59
Ken ITO 伊東 乾 @itokenstein

ときおり僕の書く文章に「文化論」という言葉を宛てて下さる方がある。テキストは書き手を離れれば一人歩きするもので、それをどう読んで貰っても一向に構わないのだけれど、僕自身の狙いや読みと読者の方のそれは違っているのが基本だと思って頂く方がいい。僕は論のための「論」には殆ど興味がない。

2011-12-27 12:05:47
Ken ITO 伊東 乾 @itokenstein

じゃ何を書いてるのかと言われると、ある種のマニュアルを書いているというのが率直な所。モノを論じる所で終わる文章は基本書かない。それが常に行動の原点になるものを書きます。実際には依頼原稿の連載と書籍が大半だけど、全て自分自身の過去と未来の行動の狭間で「現在」時点のマニュアルを記す。

2011-12-27 12:08:49
Ken ITO 伊東 乾 @itokenstein

当否はともかくとして、僕の餓鬼の頃からの音楽の師匠、松村禎三という人は「評論家」をバカにしていた。「そんなの評論家の作文に過ぎない」は最低の罵倒でヒトの褌で相撲をとり自分は何もしない恥ずかしい奴、位のことを日常的に吹き込まれた。その名残が大きいようで知行合一でないものはダメでして

2011-12-27 12:11:36
Ken ITO 伊東 乾 @itokenstein

例えば小林秀雄という人は「評論家」というけれど、よい意味で彼がやっているのは、本人も書いている通り書籍の宣伝。実際に文芸界を活性化させるよう、効果的なプロパガンダを書いているのであって、彼は論で終る自己満足の評論家ではないというような松村のモノの見方。本質を抉って非常に鋭かった。

2011-12-27 12:14:11
Ken ITO 伊東 乾 @itokenstein

例えば今日は、書くだけなら4日位前から準備が整っている「カツオのタタキ」(JBPの正月連載)を書く。神社の屋根の「鰹木」の話から書き始め、視点を色々変化させるのは読者への配慮でもあるけれど、つきつめた所個人としての食と、やはり個人としての音楽作りに役立つ儀礼の話に収斂しています。

2011-12-27 12:18:04
Ken ITO 伊東 乾 @itokenstein

イタリアのチーズ、パルミジャーノの話を書いたら編集部は「今年のクリスマスは本場のカルパッチョで」とタイトルをつけた。そう書かれると知行合一にならないのもナニなので自分も時間を見つけて夕方マーケットに足を運んでみたりする。実際の行動と乖離しないものを書くことを意識して心がけています

2011-12-27 12:21:14
Ken ITO 伊東 乾 @itokenstein

というのは僕が本来書き、また演奏してきたものはクラシック系統の芸術音楽という抽象的でイマジナリーな物で、これが伝わる射程距離は非常に短いんですね。社会と隔絶しかねない程に。だから文字で書くものは仮に自分の音楽創りのファンタジーを書く場合でも(古墳炎上とか)リアルな足から書く訳です

2011-12-27 12:24:24
Ken ITO 伊東 乾 @itokenstein

きょうの夕方書く原稿も「鰹のタタキ」と「神社の屋根の鰹木」と、何となく鰹つながりで並べて書いてるな位に思われるかもしれません。が太古から神前に酒と肴って奉じるんですね。で酒造りには杜氏の式があり魚は包丁式がありどれも空疎な儀式かというと手で触れ雑菌が混入しない詳細な手順になってる

2011-12-27 12:36:35
Ken ITO 伊東 乾 @itokenstein

で山陰神社など各地に伝わる伝統の「包丁式」にもどうやらいろんな「日本」の古くからの断片が入ってるらしい。料理に秀でたという藤原山陰卿は奈良春日大社を勧進して京都吉田神社を開いた人で「延喜式」あたりと絡む具体的な次のアクションに繋がる話が芋づるで出て来る。だから終らないんですね^^

2011-12-27 12:40:56
Ken ITO 伊東 乾 @itokenstein

例えば、テレビなどに頻繁に登場する「アーチスト」が下請けに作品を作らせ、その著作権を自分の名前で囲ってビジネスしている例は決して少なくない。具体名など挙げないのはファンの方の気持ちを考えて自分なりの配慮ですが、職業人として見るときこういう掠め取りは本当に最低で軽蔑すべきと思います

2011-12-27 13:27:15
Ken ITO 伊東 乾 @itokenstein

大学では、学生が書いた論文を教員が盗用(って、どういう水準の教師と学生か、と呆れますが)したのがバレルと懲戒免職ものですが、クリエータ業の世界では「工房方式」よろしく集団でした仕事を親方一人の名前にすることはまだあります。問題は若い人の独自の労作の知財料を親方が独り占めするケース

2011-12-27 13:30:28
Ken ITO 伊東 乾 @itokenstein

実際には、商売を広げすぎちゃった親方が学生でも何でも投入して仕事をさばいてローン返してたりもするんでしょうが、搾取された側の若い人に口外したらつぶすぞ、なんて恫喝する人をテレビで見かけると、さっさとスイッチを切ることにしています。そういう偽者の商売はだめだよ。

2011-12-27 13:34:11
Ken ITO 伊東 乾 @itokenstein

昭和20,30年代の映画音楽の世界では伊福部昭の名で取った仕事で黛や芥川が仕事して当時としては貴重な録音の経験などを積み、次は黛の名で取った仕事で武満が好きに仕事して経験を積み、武満のアシスタントは池辺さんとかまだ現役がいるので書きませんけど、ちゃんと下の世代を世に送り出しました

2011-12-27 13:38:46
Ken ITO 伊東 乾 @itokenstein

暖簾分けが出来るというのは親方に自他共に認める実力があるから。人形でもコミックスでも、目を入れるときは先生には適わない、みたいな圧倒的な実力。そういう手仕事の職人のプライドを黛でも武満でも皆んな持っていた。そういうモノがない「弱い親分」が下に寄生するような状況、僕は大変に嫌いです

2011-12-27 13:47:25
Ken ITO 伊東 乾 @itokenstein

日本人の過半が知ると思う「読売ジャイアンツのテーマ」は黛敏郎さんの若い頃の仕事で今も生きているように圧倒的に秀逸。彼は後年「題名のない音楽会」などに楽譜を殆ど書かず、鈴木行一さんなど若い人に仕事を振りました。現場でバシバシ書き換えちゃったり容赦なかったけど知財は弟子のクレジット。

2011-12-27 13:52:05
Ken ITO 伊東 乾 @itokenstein

イヤシクも手前の顔と名前で看板張ってるんだったら黛さんのケースみたく自分自身の仕事と若い衆のソレとケジメして、若いのに花を持たせ著作権も確保してやれよ、それが親方ってもんでそうでないのは単なる搾取だろう。一本筋の通ったグループワークじゃない、相乗りの公共事業みたいなのは僕はダメで

2011-12-27 13:58:37
Ken ITO 伊東 乾 @itokenstein

師匠の松村に子供の頃から言われたのは、人に頼り始めると急速に「不能」になるよ、と。いますよね「書けなくなった作家」とか。何か原因があるわけで、自分を不能にしない一番の方法は自分自身がいつも手を動かし、決して人のものを掠め取らない事と。それと表裏して自分で作らない批評家じゃダメだと

2011-12-27 14:05:41