創作:忍千

忍千小噺。春を待つ人。
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ワトは歩く城 @watokadu

【忍千】ぼんやりと目の前の景色を眺めていたらふと手を掴まれた。見ると春風の如く柔らかく微笑む彼女が俺の手を握っていた。「すまない。少し呆けていたらしい」「大丈夫です、私はここに居ますから」噛み合っていないようで、しかしどこか辻褄も合っているような彼女のその言葉に→

2011-11-01 23:27:53
ワトは歩く城 @watokadu

→何故か泣きたい衝動に駆られる。それを隠すように微笑い返しその小さな肩を引き寄せると舞い上がった風に花びらが吹雪いた。――今年も、桜の咲く季節がやってきた。今年の桜も美しく、だが少し物悲しく、しかし幸福だ。

2011-11-01 23:28:04