windcreatorの『赤ふぁぼ集』2011
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いつもニコニコしている彼を泣かせたい。あの、何事にも動じない穏やかな微笑みを、涙と鼻水で歪ませたい。ぐちゃぐちゃに――私の手で。私は眉を寄せて真剣に考えた。彼の弱点は何だ。何が彼の感情を決壊させる。八十年後、遂に泣き顔を見た。先に逝く私の手を握り、夫が泣く。 #twnovel
2011-02-05 02:20:39女心というモノが微塵も理解出来ない。そんなに大事なら義務教育で教えてよ。教科書にも参考書にも書かれてないし。下駄箱(汚くない?)に入ってた女の子からの手紙には、書かれていたのかな。一度くらいは中身を読んでから捨てるんだった。ねぇ、こんな女を、キミは好きなの? #twnovel
2011-02-06 16:35:42身長差なんて階段一つ、椅子一つでもあれば簡単に埋められるんですよ。あるいは逆転だって出来るんですよ。だから、そう、大事なのは、身長差ではなく、お互いがお互いの間にある距離を埋めて近づこうとするときに二人の間にある熱い気持ちなんじゃないですか。
2011-02-06 23:43:08黙っててごめん。私、他人の心が読めるの。今、「真剣な顔も可愛い」って思ったでしょ? 頭の隅で「パフパフしたい」……って、真面目に聴きなさいよ! あなたが何を考えてるか全部読めちゃうんだからっ! 「僕も君の心なら読めるよ」って近付いてどうす……ん……正解デス。 #twnovel
2011-02-08 08:04:47雪で真っ白になった姿で、彼女は玄関に立っていた。慌てて部屋に入れる。触れ合った手が、氷のように冷たい。言葉を――たかがバレンタインにバカすんなよ――喉元で止める。全部承知で、彼女は来た。チョコレートを渡すためだけに、雪の中を一人で。抱きしめる。言葉にはならない。 #twnovel
2011-02-15 03:14:36たった一人の凄まじい才能を秘めた少女を魔法少女に勧誘する精霊たち同士の仁義なき戦い――『たった一つではない魔法少女になる方法』
2011-02-15 19:20:11いつかどこかで、おじいさんとおばあさんが魔王軍の総攻撃を前に戦線を維持していた。敵兵は多く、退役軍人が大半を占める“老後基地”の味方は疲れ切っている。「ばぁさん、一応、言っておくぜ。アイシテル」「馬鹿だね、魔王を蹴散らして久し振りに孫の顔見に行くよ!」「合点だ」 #twnovel
2011-02-16 04:17:43「好きだ」……「生還したら結婚して欲しい」……「二人で家を買って、一緒に暮らそう」……「この指輪を受け取ってくれるかい?」ねぇ、死亡フラグを回収せずに回避するたった一つの冴えたやり方、知ってる?「え……眠気、が……」監禁して死地に行かせないこと。世界が滅びても。 #twnovel
2011-02-16 05:06:16風力1=長い黒髪が風にそよいだ/風力2=少女のポニーテールが風に揺れる/風力3=その時、強い風で彼女のスカートが煽られた。慌てて押さえながら睨みがくる。「み、見た?」/風力4=怒りに震える彼女の髪は暴れ、木々はその枝葉だけでなく幹さえも震わせる/風力5=父のカツラが、なくなった。
2011-02-18 14:27:22星を灯すのを生業にしている。なぁに、ポチりポチりとボタンを押すだけの簡単なお仕事だ。だがな、考えてもみろよ。空の星には名前があり、勝手に絵まで付けられてる。俺はそんな出来合いの星を眺めてるだけではいられなかった。俺が見たい星は、俺が輝かせて魅せる。簡単な仕事さ。 #twnovel
2011-02-21 08:16:10猫には会わなかった。せっかく2が並ぶ日だというのに残念だ。「ただいまー」玄関を開けると、妻がネコ耳を付けて真っ赤な顔で現れた。「おかえりにゃないませ、だんにゃさま。……にゃん」私は完全な無表情で妻を観察した。妻が段々と不安そうな顔になる。言った。「可愛いにゃー」 #twnovel
2011-02-22 21:14:16大風呂敷を広げてみる。出てきたのは見たこともない壮大な物語だった。あまりにも大きすぎて、果てが見えない。どうにかこうにか畳んで本にしまいたいのだが、まるで複雑な折り紙を解いてしまったかのように、どうすればいいか見当すらつかない。ため息を吐くと、物語は消えていた。 #twnovel
2011-02-23 08:53:06『天元突破グレンラガン』の中で、「お前を信じる俺を信じろ」という言葉があるんですが、”いい女”って、惚れた男に「あなたに惚れた私を信じろ」って言い切れることなのかもしれないなぁと。
2011-02-24 02:34:59言葉を単に140字並べたら散文だろうけど、僕が好きなツイッター小説(twnovel)は、少なくとも140字以上の短編小説を、140字の表現枠用に削ったり圧縮したものであって、それはやはり小説なのだと思う。「これは小説か」という自問は大事。翌日見たらあちゃ~な自作はたくさんある。
2011-02-25 20:22:50少女とは生まれながらに“恋”の魔法を使う、魔法少女なんだよ。最初から、かなうはずがないのさ。女は“愛”を謳う魔女。いい女ほど、惚れた男を見事に酔わす。――少年はまっすぐに信じる。青年はぐるぐると悩む。中年はうろうろと疑う。老年はよいよいと受け入れる。――そんな言葉遊びを信じるなよ
2011-02-28 01:42:40【警告】お楽しみいただいている“二月”ですが、製作費の都合上「28日」までしか収録されておりません。楽しみにしていただいた方には誠に申し訳ありません。お手数ですが、2011-DISK3“三月”を本体に挿入し、続きをお楽しみください。今後とも2011年をよろしくお願い致します。
2011-02-28 15:39:53【山での穴掘りオフ】みんなー、しゃべるもったかー。今日は、喋るよりもシャベルを使うオフ会だからなーwww。じゃあ、二、三人で組んで、掘りやすいところを掘って、落とし穴風に埋めようなー。終わったら、酒場で飲みあるんでがんばりましょー。
2011-03-01 02:35:00トランプで負けた俺は、罰ゲームとして24時間どんな要求にも従うことになった。料理を作り、お姫様抱っこをして、背中を流し、身体の隅々までマッサージでほぐし、婚姻届けにサインした。24時間が過ぎた。「二人で出しに行こう?」不安げに言う彼女を俺は力強く抱き締めた。 #twnovel
2011-03-01 16:16:25「メンテしよっ」そういって彼女は僕の背中を開いた。「すぐに済むから、意識はそのままにするねー。話し相手いないとつまらんしー」彼女は僕の中身をメンテしながら、楽しそうに語る。「……っ! ……、……!」声が出ない。「えー、私の腕を信じてよー。うふふ~♪」……意識がk #twnovel
2011-03-02 02:05:16彼女には変な癖がある。彼女は時たま左手の薬指と小指を、少しだけ動かすのだ。一瞬の小さな動き。映画を一緒に観ていて気付いた癖は、プロポーズした時も、結婚式でも、出産でも、子育てでも、ずっと変わらない。ある日、私は気付いた。左手の小指と薬指、Ctrl+sは保存。 #twnovel
2011-03-06 06:01:50