元ヒーローの物語

h.iwamura @realganboy

ヒトは知恵の実を食べ知識と欲望を得た。果て無き道を進み、その先に一人の人間という完成型を見た。タロットカードにのせた人生の道しるべを感じる。

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夢見る男の子。ヒーローになるべく他人にはない自分だけの新しい価値を生み出そうとします。

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そしてその刺激は他者にとって常に新しく変化に富んだものとなるでしょう。

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あたかも観客を新しい｢魔法」で魅了する「魔術師」のように。

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新しいことを生み出して貯まった知識を投じて男の子は困難へと立ち向かっていきます。困難を乗り越える過程で生まれた感情、怒りや悲しみ、喜びなど経験し重要なのは愛であると悟ります。

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その経験を生かし行動すること、男の子は名実ともに民のヒーローとなりました。ヒーローとなった彼はその武勇伝を語って聞かせます。そしてその情熱に自分自身が溺れていきます。

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しかし彼は悟ります。同じ考えを持つ者ばかりではないことを。そして不信や葛藤から自らを律し、その感情に向き合っていきます。

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彼は、己と向き合うことを通して他者をいたわる心、相手に合わせることで多くのことを受け入れる勇気を得ます。自分に自信が持てた彼は、今まで成長してきた自分を客観的に見直すことでその中にある真実を見極めようとします。

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考え抜いた彼に訪れたのは、自分勝手をしたヒーローというレッテルを剥がすチャンスです。彼はそのチャンスを生かし、今まで得た他者を受け入れ客観視し、公正な態度でそのチャンスをものにしました。

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しかし、相手のことを考え自らを無視しヒーローという虚像を作り上げた結果、自己犠牲に走ってしまいます。同時に自分だけが頑張っているという間違った認識をするようになります。

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周囲の思惑と自分がズレていくことに苦しんだ彼は、もう一度ヒーローになりたいという最初の純粋な気持ちに戻るために初心以外の今ある地位や名誉といったものを捨て去り、もう一度まわりや自分と向き合っていきます。

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しかし、本気で向き合うことに疲れてしまった彼は中途半端な結論しか出せず、全てを捨て去った己を楽観視しすぎました。結果、もっとこうしたい、こうであればよかったのにと身の丈にあわない大きな欲望の渦に取り込まれていきます。

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己が目指すヒーロー像に囚われた彼は、やがてそうなるために必要なことをいかなる手段を用いても達成しようとしていきます。そんな独りよがりなヒーローはどんどん人から必要とされなくなっていきます。

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自信を喪失した彼は落ちるところまで落ちていきます。そしてもう生きているのもつらいと感じたときに思い当たります。なぜ自分はここまでしてヒーローになりたかったのだろうと。

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答えは簡単でした。人の役に立ちたい、人から尊敬されるような人間になりたい。だから、ヒーローになりたいと。ヒーローになるという自分の可能性を選んで生きていた自分に気づきます。自分の考えの本質を見逃ししながら。

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しかし、一度ならまだしも二度までも民の信頼を裏切った自分がもう一度人の役に立てるような、尊敬されるような人間になれるかという疑問と恐れによって前へと進めなくなってしまいます。

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しかし彼は今までの経験から、たとえ失った信頼を勝ち取ることが困難でも、一つ一つに問題をしっかり解決していくことによって信頼を得ることが出来るだろうと、自分自身を奮い立たせ、希望を持つことが出来ました。

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そうやって少しずつ変わっていく彼の姿を見た民は、彼の行動を評価し始めます。相手にされなくなった元ヒーローが、ヒーローを目指すのではなく、自らの本当の意志に従って行動することで信頼を勝ち得ていきます。

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こうして彼は肩書きや偽りではない、真に人の役に立てるような素晴らしい一人の成熟した人間へと成長したのでした。

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この話をどう読み解くかは、自分次第です。僕はこの物語でいつも癒されてきました。まだまだ、僕も思慮が浅く、未熟だなぁと考えてしまう今日この頃です。