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冷静な牧野さんツイート小説 3

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逆らう必要もなかったしね。「どうしてこうも牧野さんの態度が違うのか。その鍵は八尾さんにある。八尾さんが全ての元凶なんですよ」「…八尾さん、悪い子なの?」「…っ!」宮田さんの体がびくりと揺れた。「…その言い方はやめてください」「すみません」ひどく怯えている。

宮田さんは悪い子という言葉が苦手みたい。どうしてだろ。何が原因だ?涼子さんかな?叔父さんじゃないよね。「宮田さんは悪い子じゃないでしょう?」いい子を演じているわけでもない。「嫌だ、とかの気持ちを表現できるのはいいことですよ」

@kusakiyuesan

*「…それについては、先程既に謝ってもらいましたし…あなただけが悪いわけでもない」「…叔母さん寂しそうだったから。だから、あなたもそうかなって思って」「ちょっと待って下さい。さっきもひっかかっていて流しましたが、あなたは義母と接触があったんですか?」

2012-02-04 23:25:17
@kusakiyuesan

*涼子さんが最期に言ってくれたことを思い出す。涼子さん、お父さんのこと好きだったのかな。自分のことを見てほしかったのかな。「ごめんなさい。私、義父と同じことしてしまいました」「怜治さんと?」「義父は妹を、ですけど、私も弟のこと見ようとしなかった」

2012-02-04 23:22:44
@kusakiyuesan

*「何を…」「叔母さんも悪いけど被害者でもあると思います。宮田に殺された」「殺された?」こくんと頷く。あの時のことを話してももう時効だよね。「最期に話した時に言ってました。司郎くんも叔父さんも叔母さんも宮田さんも、あと私も宮田に奪われたんだって」

2012-02-04 14:50:23
@kusakiyuesan

*涼子さんが最期に言ってくれたことを思い出す。涼子さん、お父さんのこと好きだったのかな。自分のことを見てほしかったのかな。「ごめんなさい。私、義父と同じことしてしまいました」「怜治さんと?」「義父は妹を、ですけど、私も弟のこと見ようとしなかった」

2012-02-04 23:22:44
@kusakiyuesan

*「…それについては、先程既に謝ってもらいましたし…あなただけが悪いわけでもない」「…叔母さん寂しそうだったから。だから、あなたもそうかなって思って」「ちょっと待って下さい。さっきもひっかかっていて流しましたが、あなたは義母と接触があったんですか?」

2012-02-04 23:25:17
@kusakiyuesan

*怒るかな?「はい。実は毎日宮田さんちに行ってました」「毎日ですか!?」「うう…実は宮田医院にも」「…ということは義父にも会っていたと…あなたは大した人ですね」呆れたかな?「俺だったら絶対会いたくない」あれ?「怒ってないんですか?」「何を怒るというんですか」よ、よかったー。

2012-02-04 23:51:32

「牧野さんはバームクーヘンが好きですか?」「え」「答えて下さい」もちろん好きだ。滅多に食べられないけど。「好きですよ。洋菓子は今ではあまり口にする機会はありませんが」「やっぱり。義父の遺品に昔の手帳が何冊もあったんです」

「毎日洋菓子の名前が書いてあって何のことかと。バームクーヘンの頻度が特に高かった。牧野さんの好物を記載するなんて、あの人も案外人間らしいところがあるんだな…牧野さん?」そんな…そんなことって。「ど、どうしたんです」

宮田さんが慌てるなんてレアだな。そう頭の片隅で思うものの、顔が熱くて胸が苦しい。私は涙を流していた。泣くのは叔父さんが死んだ以来で久しぶりだ。「…私、好きだったんです」あなたにとってはろくでもない人たちだったのかもしれないけど。

「私はずっと…ひとりぼっちで。父はよくしてくれたけど哀れんでいて。八尾さんの側にいると安心するのに不安を感じて。みんな求導師としてしか私のことを見てなくて。友達なんかいなかった。叔父さんたちと話をするのが楽しかった」

そうだ。私は楽しかったんだ。これが楽しいという感覚。涙を拭いながら口元が弧を描いているのに気づいた。楽しいって嬉しいね。「…あの人たちと一緒で楽しいなんて言うの、牧野さんくらいですよ。でも、あの人たちにとっても救いだった」

「牧野さんといることは。そう思います」「すみません」「謝る必要はないと言ったでしょう?大体何故あなたが白衣を来ているんです。前髪もばらけて、求導服はどうしたんです」今更すぎる指摘に声を立てて笑った。「ツッコミが遅いよ」

クスクスと笑う私を、宮田さんが呆然とみつめる。「宮田さん?」「…はっ、何でもないです。それで服は」「暑いし、びしょびしょになったから脱いじゃいました。病院で干してます。理沙さんのナース服もそんなわけです」「…ああ、そう言えば着ていたな」

「宮田さん、気づくの遅いですよ。あんなに可愛らしかったのに」「自分のことで精一杯だったんですよ。…かわいいって、本人に言ったんですか」「ええ」ムッとされる。宮田さんの地雷わかりにくいよー。「今度はあなたのことで頭がいっぱいになりそうだ」「えー?」

「かなり話が逸れてしまった。牧野さんがまさか家に通っていたとは。驚きました」「宮田さんに会うと嫌がられるかなと思って。叔母さんも宮田さんの話をしなければ大丈夫でした。叔父さんは何も気にしなくてよかったし」

「やっぱり大物だ」えー?「澄子という女の話でしたね。あなたはどこでこの名前を知ったんですか?」「先代美耶子さまに教えてもらいました。澄子さんに近づいたらダメらしいですよ」何でだろう。「八尾さんの以前の名前が澄子だったんでしょう」

「八尾さんは名前を変えて存在してるということですか?」「…そうか。そういうことになりますね」正解だったようだ。「彼女は不老不死ではないでしょうか」「学校の民話集にそんなお話がありますね」宮田さんの確信は深まったらしい。

「はぁ。やおびくにというものがあるんですか。そこから八尾さんの名前を取ったんですか。澄子はどこから来たんでしょうね」「牧野さん?」宮田さんが怪訝そうな顔をする。「誰と話しているんです」「先代美耶子さまですよ」

@kusakiyuesan

*宮田さんもお話したから行けたんじゃないのかな?「先代美耶子様と会われたんですよね?お話しなかったんですか?」「…彼女の指示に従いましたが、話なんてしてませんよ」あれ。どういうこと?先代美耶子さまも首を傾げている。はて。「宮田さんには宮田さんの役割があるということでしょうね」

2012-02-07 01:07:44