【腐向け二次創作注意】140字リレーSSまとめ

どうあがいてもバッドエンドしか思い浮かばなかったSSをなんとかハッピーエンドにしようという企画で始まったリレーSSのまとめです。 いいまとめ方が見つからなかったのでここでまとめてみました。
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@mrkm_nkrm

怖い夢を見たんです、とバニーは子供のように泣きじゃくる。「僕はあなたと別れて知らない女性と結婚して、家庭を作って幸せに暮らすんです」なんてひどい悪夢だと涙を流す相棒を抱き締めながら、お前がそれを悪夢だと言いのけるこの瞬間こそが悪夢であって欲しいと、ただそれだけを祈って目を閉じた。

2012-01-20 22:20:02
ピカ@紅 @pika_beni

@mrkm_nkrm その人は、ただ優しくその人は。何も言わずに僕の身体をゆっくり抱き締めそして深いため息をつく。そのため息の意味さえその時は判らず気付こうとせず、僕は静かに身を沈める。いつまでもこのぬくもりに漂っていたい…と思える事が僕の幸せだと、僕の唯一の幸せだと感じながら…

2012-01-20 22:39:02
@mrkm_nkrm

再び目を覚ませば悪夢はやはり現実で、腕の中には笑みを浮かべて眠るバニーがいた。前髪に指を差し入れ、起こさないよう小さな声で「ごめんな」とだけ呟く。それが悪夢とわかっていながら、俺はお前に夢を売る。早く悪夢に気付いてくれと願いながらもその日を恐れる臆病者を、どうか嗤ってやってくれ。

2012-01-21 01:02:47
ピカ@紅 @pika_beni

@mrkm_nkrm 判らない。どうしてその人が謝罪の言葉を口にしたのか。ほら、だって。僕を静かに胸に抱き、優しく髪を梳いて撫でてくれているのに…。ほんの少し、本当にほんの少し時間が止まり、ふっと柔らかな空気に包まれそうになった瞬間微かに聴こえた言葉が、僕にはとてもおかしかった。

2012-01-21 18:42:00
@mrkm_nkrm

@pika_beni 虎徹さん、と寝ているはずの隣から声が聞こえて思わず身を強張らせた。「起こしちまったか」「気にしてません」バニーは何も言わないし、俺も何も訊かない。言ったら何かが終わりそうで怖かったからだ。「虎徹さん」バニーが俺の髪をつまんで笑う。なんて幸福な悪夢なんだろう!

2012-01-21 23:18:35
ピカ@紅 @pika_beni

@mrkm_nkrm 余りにもその手が優しく触れるものだから、寝ているのが勿体なくて身体を起こす。刹那、ひゅっと息を飲む音が聴こえ、僕はそれに気付かない振りをした。「気にしてません」…どちらの意味で使った?けれど、まるで安心させるかのように笑った。髪乱れちゃいましたねと言いながら

2012-01-22 00:23:15
@mrkm_nkrm

@pika_beni 「髪乱れちゃいましたね」そう言ったバニーの髪もぐしゃぐしゃで、直してやろうと手を伸ばすと代わりに両手で包み込まれた。「なんだよ」「そういう気分なんです」バニーは笑う。幸福な悪夢を売っているのは本当に俺なのか。もしかしたら売っているのはこいつなのかもしれない。

2012-01-22 22:13:15
ピカ@紅 @pika_beni

@mrkm_nkrm 虎徹さん、気付いてますか?その手が微かに震えている事を。どうして?何故ですか?僕はこんなにも幸せを感じていると言うのに。すっと乱れた髪に虎徹さんの手が伸びる。僕はそれを包み込むように握ると、軽く虎徹さんの言葉をかわし、そして笑った。「ねぇ、虎徹さん……」

2012-01-23 23:34:28
@mrkm_nkrm

@pika_beni ねえ虎徹さん、とバニーは笑う。「さっきの夢、何が一番怖かったかわかりますか」手を伝って流れ込む体温が溶け合う。「あなたが見せた涙に僕は気付かなかった」これが夢なら俺も泣いてしまおうか。声を大にしてお前を失うのが怖いと叫んだら、お前は抱き締めてくれるだろうか。

2012-01-26 02:11:24
ピカ@紅 @pika_beni

@mrkm_nkrm 「ねぇ、判りますか?この怖さが」僕は優しく、だけどしっかりと両手で握る。「おめでとう、って笑って言ってる貴方の哀しみに気付けなかったんですよ。これ程の恐怖があると思いますか?」ねぇ、もう僕は失いたくないんです。大切な人をもう二度と。「今度は貴方が泣きそうだ」

2012-01-26 14:40:59
@mrkm_nkrm

@pika_beni 「これは夢か?」思わず零れた俺の言葉に「それをあなたが望むなら」とバニーは答えた。途端に目頭が熱くなる。「ひどい悪夢だ」泣きながら俺は笑う。「こんなつもりじゃなかったんだけどな。なんか思った以上に俺、お前のことが好きみたいだ」だから愛しい人よ、どうかお前は。

2012-01-28 20:59:59
ピカ@紅 @pika_beni

@mrkm_nkrm 「知ってましたよそんな事。…最初からね」伝い落ちる涙を舐めとり僕は言う。貴方が望み続ける限り、僕はいつまでも、どんな悪夢だって、見せてあげますよ。そう微笑めば、ゆっくり指先が離れ、代わりに伸びてくる腕。これが貴方の言う悪夢なら、目覚めないままでいいですね。

2012-01-29 23:05:23
@mrkm_nkrm

@pika_beni 伸ばした腕を首元に回し「バニー」と湿った声で名を呼べば、はいと返事が返ってくる。「もう夢から覚めたくない」「はい」「お前のせいだ」「はい」「お前が俺の望む未来を悪夢だなんて言うから」「はい」「愛してるんだもう離したくない」「言われなくても」何て甘い夢だろう!

2012-01-29 23:31:45
ピカ@紅 @pika_beni

@mrkm_nkrm 心地良く耳に届く虎徹さんの声。やっと聞けた虎徹さんの心(こえ)。これが悪夢だったとしたら、なんと甘美な夢を見させるモノなのだろうか。それが僕の所為だと言うのなら、どこまでも僕の所為にして貴方はそこで笑っていてくれればいい。僕はしっかりと虎徹さんを抱き寄せた。

2012-01-30 01:41:24
@mrkm_nkrm

@pika_beni 抱き締める腕が体があんまり温かかったからか、泣き疲れたせいなのか、だんだん目蓋が重くなる。「虎徹さん?」駄目だ、まだ眠りたくない。眠ったら夢から覚めてしまう。お前は俺から離れてしまう。「大丈夫、夢は終わりません」遠くでそんな声を耳にしつつ俺の意識は遠のいた。

2012-01-30 18:10:25
ピカ@紅 @pika_beni

@mrkm_nkrm 「虎徹さん…?」抱き締めた身体に重みがかかり、眠りにつこうとしている彼が判った。「…や…だ…」まるで子供のようにぐずる声が耳元に届く。いつも僕が寝付くまで彼は寝る事がなかった。あぁ、こういう優しい気持ちになれるのか…と、僕は改めて知った。その無限の愛しさを。

2012-02-02 19:46:44
@mrkm_nkrm

@pika_beni 眩さを感じて目蓋を上げる。「おはようございます虎徹さん」夢の中でバニーが笑った。違う、これは夢じゃない。「愛してる」言葉にすればそれはすとんと胸に落ち、次第に熱を帯びてくる。夢の続きですか、と驚くバニーに目覚めのキスを贈ってから、夢じゃないぞと笑ってやった。

2012-02-03 02:37:33