- ishii_mamachyan
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さて、岩手には古くから様々なキツネの一族が住んでいる。古い記録によれば北に「木の葉」、西に「花巻」、東に「浜」の三つのキツネの一族があるのだ
2012-03-03 23:13:32木の葉は鉄と火を恐れぬキツネの一族、化け学や技術に優れている。次に花巻は人と友に生きる事を選んだ通力の高い一族。そして浜は武力と変化に長けた一族と言うものだ
2012-03-03 23:16:23木の葉は特別な理由がなければ人には会わない。花巻は人のために尽くす。浜は己のために生きる。とそれぞれ考えがバラバラなので、未だに岩手のキツネは国盗をおこなっているという
2012-03-03 23:19:27そのキツネ一族の目撃や不思議な体験をしたという話をしていこう。まあリラックスして聞いてくれ。まずは木の葉の一族からいってみよう
2012-03-03 23:21:51そのキツネ一族の目撃や不思議な体験をしたという話をしていこう。まあリラックスして聞いてくれ。まずは木の葉の一族からいってみよう
2012-03-03 23:21:51木の葉の目撃が多いのが住田町から区界にかけての地域。今から30~40年前はよく目撃されていたという。
2012-03-03 23:26:58学校帰りの子どもが夕方に遅くなって林の道を抜けていると、林の中に野球ボールほどの光の玉が現れる。そしてつかず離れずにその子どもの脇をフワリフワリと沿って飛ぶのだ。子どもが家の前につくと、フッと消えてしまう。自分の縄張りの中の子どもを守ろうとする、いわゆる木の葉の見送りだ。
2012-03-03 23:30:41また、釜石に抜ける箱根峠で畑仕事やしてる人やドライブの休憩で車を止めていると、突然に湿った曇り空になる。ふと見渡すと白柄の着物を着て、日傘を差している女性が歩いてくるのだ。顔は白粉でも塗ったような白さで、口紅の赤が目立つ。目は細めでまさに昔話に出てくるキツネの変化だ
2012-03-03 23:34:29これは怪しい!と構えていると女性は普通に話しかけてくるのだ「貴方は何処からきたの?ここで何をしていらっしゃるの?」。あまりの異様さにあんぐりしていると「あら、貴方はここに住む人じゃないでしょう?みたらわかるんですよ。ウフフ」と勝手に話しかけてくる
2012-03-03 23:38:03女性は笑顔で話を続ける「ここら辺には私たちの畑もあるんですよ、知っていますか?そうそう、貴方の車は父親に買ってもらいましたね?一昨日の夕方に旅に出たのですね?さぞや楽しい旅でしょうね?盛岡に宿をとったのですね?」と続々と知らないことを当ててくるので、言われた人は怖くて逃げ出すのだ
2012-03-03 23:42:25このパターンで稀に地元の人が出逢うと女性は「貴方の親戚で誰々が内臓にご病気があるようで、早く医者に見てもらうとよいですよ?」とか「貴方のおじいさんの畑の野菜は立派ですね、まだご存命ですか?」と不思議トークをかましてくる。地元の人は「急いでいるので・・」と逃げ出すパターンは同じだ
2012-03-03 23:46:03また、住田から高田に抜ける街道で夜中に突然に語りかけてくる男のキツネもいる。町の人が夜道を歩いていると「もしもし。よろしいでしょうか?」と着物姿の男が語りかけてくる。そして「急いでるところ、大変に申し訳ありません。私はそこの林裏に住まうものですが、お薬をお持ちではありませんか?」
2012-03-03 23:51:08着物姿の男性があまりに丁寧なのと、薬を買ってきたことを当てられてビックリした町民は即座に薬を渡すのだが着物姿の男は「これだと多いですね、当方の子どもが熱を出したのでこのぐらいで大丈夫なのです」と丁寧に頭を下げて薬を少量受け取るのだ
2012-03-03 23:55:49着物姿の男は薬をもらうと「いやはや、薬ばかりは人のものが一番ですね。これがよく効くのです」と丁寧にお礼を言って暗闇に消える。その後、みんなに聞いてもそんな男性は町にいないと知るのだそうだ
2012-03-03 23:58:52驚くべきことは青年のときにその着物姿の男に会い薬を渡した男性が、老親になってもう一度再開をするということが会った。同じく夜に老人が歩いていると向こうから着物姿の男性が歩いてくるのだ
2012-03-04 00:01:28着物姿の男は老人に会うと深い会釈をして言う「申し訳ございません。夜分に恐れ入ります。薬をお持ちのようですね?少し分けて頂けませんでしょうか?」老人は驚いて「あんたとおれは昔に会った事があるぞ!」というと、着物姿の男性は老人に言う
2012-03-04 00:04:29「なんと、先日は本当にありがとうございました。おかげさまで子どもは治りましたが、今度は家内が病になったのです。しかし、貴方からはお薬をもう頂戴しましたので、もらう事ができません。それに御礼もしなければいけません。何かして欲しい事はありますか?」とこれまた丁寧に聞いてくる
2012-03-04 00:06:59老人はこれは木の葉のキツネに違いないと思い正直に告げた「おのれはキツネだろう。ならお礼をもらう事はできない。おれは良かれと思い、薬はあげたのだから、気にしてはいけないぞ。奥さん子どもを大事にしなさい」と逆に諭したのだそうだ
2012-03-04 00:09:34すると着物姿の男性は「これはまた誠に丁寧なお心遣い。心底痛み入ります。薬ばかりは人のものが良いので、ついねだってしまいました、お許しください。」と深々と頭を下げて去っていったのだという
2012-03-04 00:11:36体験した老人いわくだが、木の葉のキツネは縄張りの住むもの全てに礼儀正しいと言う。そして「おれらとは違う時間で過ごしているようだ。にしても一族思いの礼儀の正しい事だ」と笑って話してくれた
2012-03-04 00:13:46そうして月日は流れて木の葉の話も聞かなくなった・・・・というわけにはいかない。どっこいキツネの一族はこんな世の中でも現れるのだ。木の葉キツネの話を忘れかかっていた町に再びキツネの話がわきあがった
2012-03-04 00:17:45それは今から4年前、町中でおきた小さな事件だ。あるときに遠野で店を持っている立派な家の奥さんが住田の家で畑仕事をしていると、畑の中にしょんもりとたたずむ子狐を見つけた。近づいても逃げないので、奥さんはあまりのかわいらしさに家に連れ帰ってしまったのだ
2012-03-04 00:20:17子キツネは嫌がる事もなく、すんなりと奥さんの家に連れてこられた。奥さんは前に家で飼っていた犬のケージを持ってきて子キツネを入れて可愛がった。奥さんは子キツネが捨てられたか、病気なのだと思って連れてきてしまったのだ
2012-03-04 00:23:02奥さんは可愛がるが、しかし子キツネは何も食べず、何も飲まなかった。それを見た旦那さんは「やめたほうがいい、山に返したほうがいいんだ」と説得したが、息子たちと離れて暮らしていた奥さんは未練があり、子キツネを手放す事を躊躇した
2012-03-04 00:25:05そしてその晩から家で不可解な出来事が起きた。まず水がにごり始めた、次に家のあちこちでメキメキと木を裂くような音がする。突然にテレビが映ったり消えたり、家の電気がついたり消えたりするようになった
2012-03-04 00:27:14