春休み復活・怪談BASARA #kaidan_bsr 第二夜 まとめ。
@kai_bsr とうとう、狂気に飲まれこの男の清廉な魂もが壊れてしまったかと、どこか空虚な気持ちでこの男を見た。他の武将もそのような感想を抱いたようだった。もう、西軍も終わりだと。 #kaidan_bsr
2012-03-18 22:21:37@kai_bsr しかしそれを遮ったのは虎の若子だった。「三成殿、軍議をおろそかにするのは感心できませぬぞ。訳をお話しくだされ」「訳だと?秀吉様をお待たせしているのだぞ!」「何をなさりに行くのか。それをお話下されと申している」 「首を括りに行くのだ」 #kaidan_bsr
2012-03-18 22:23:02@kai_bsr 「左様でござるか……まぁ盃を一献」 一瞬動揺したように見えた幸村は、手を打ち鳴らすと、忍に持たせた酒を三成に注いで見せた。忍の寄越した目配せに、我も、飲めぬ酒を掲げる。同様に、同胞と長曾我部も配られた盃を掲げた。 #kaidan_bsr
2012-03-18 22:26:14@kai_bsr 「呑め呑め三成、我の盃を受けぬと申すか?」 「そうだそうだ、さぁ飲め石田!」 三成は渋っていたようだが、我らの勢いに負けたか、一息に盃を開けた。 そして、どさりと倒れこむ。それを見下ろして、幸村が懐から油紙に包まれた粉薬を見せた。 #kaidan_bsr
2012-03-18 22:28:13@kai_bsr 「安心召されよ。真田忍特製の眠り薬でござる」 「―――なんか、匂うなぁ」 長曾我部が鼻を鳴らした。俺の国と同じ匂いだとつぶやいた言葉は、我にしか聞こえぬほどの小ささであった。 #kaidan_bsr
2012-03-18 22:30:23@kai_bsr 翌日、桜門で豊臣の重臣であった男が、首を括って死んだ。その翌日に婚礼を控え、幸せの絶頂にあったはずの男であった。 #kaidan_bsr
2012-03-18 22:31:02「昨日桜門の前で秀吉様によく似たものに呼び止められた。首を括れと言われた。私は逆らう気になれなかった。だが貴様に戦評定に呼ばれていたことを思い出してな、まずそれを断ってから首を括ろうと考えたのだ。秀吉様に似たものは評定の間の前まで来て待っていると言った」 #kaidan_bsr
2012-03-18 22:33:43@kai_bsr 首を括ることに、まったく疑問も反感も持たなかった、と三成は淡々と語った。 虎の若子のとっさの機転に助けられたに違いない。 「三成、もう首を括る気はないか」 「家康をこの手で殺すまで、死ねん」 #kaidan_bsr
2012-03-18 22:34:57@kai_bsr あやしのものが、石を投げれば当たるほど居やる島の、主たる鬼の話では、あれは縊鬼というらしい。三成が取れなんだ故に、身代わりとしてあの重臣を取ったのだという。 #kaidan_bsr
2012-03-18 22:39:33@kai_bsr さて、これは我の他愛のない質問なのだが。 ぬしらの近くに、よう自殺者のでる場所はないか。そこに、いるのやも知れぬな?首を括れと命ずる、絶対的ななにかが――――――― #kaidan_bsr
2012-03-18 22:42:04