不定期マンガ感想#8：2011年度週刊少年ジャンプ本誌掲載読み切り作品 （後）

テリー・ライス @terry_rice88

いい加減、2011年のジャンプ本誌掲載読みきりの感想書ききらなければ。

テリー・ライス @terry_rice88

2011年のジャンプ1~51号の間に掲載された読みきり作品の感想です。今回は後編という事で、夏に開催された第7回金未来杯の作品からスタートです。

テリー・ライス @terry_rice88

では掲載号順に呟いていきます。読みながらの感想になりますので時間が掛かると思いますがお願いいたします。

テリー・ライス @terry_rice88

2011年少年ジャンプ本誌掲載読切作品感想後編。

テリー・ライス @terry_rice88

「タカマガハラ」（作：川井十三）ジャンプ32号掲載。ここから金未来杯エントリー作品。作者さんは赤マルジャンプに同名の読み切りを掲載。今回はそのブラッシュアップ版。前回読みきりの内容を最初の一ページに収めてるファンサービスもしてるのかなと。内容は正統派少年誌学園バトル漫画。

テリー・ライス @terry_rice88

前作の比較になってしまうんですが、ちょっと演出に懲りすぎちゃって、バトル漫画におけるカタルシスが薄まっちゃったなあという印象。その分、エログロ要素が増してましたけどちょっと焼け石に水のような印象。内容がシンプルな分、もっとインパクトを狙った作りをして良かったんじゃないかなあと。

テリー・ライス @terry_rice88

前作はそういういったインパクトを含み引き込まれたんですが、今回はちょっとパンチ不足。主人公のキャラも弱そうなキャラを装うというのはちょっと残念な改変ではあるかな。ポテンシャルはありそうなんだけど、いまいち伸び切らずでしたね。今後に期待です。

テリー・ライス @terry_rice88

「-SINS-」（作：三浦征隆）ジャンプ33号掲載。神魔逆転悪魔祓い文房具バトルファンタジーラブコメ風味、か。いくらなんでも要素をくっつけすぎのような感じがする。しかもこれを小学生の話にしているから余計に作品の出来拗れているような気がするなあ。この人も赤マル掲載歴ありの新人さん。

テリー・ライス @terry_rice88

たぶんやりたい事を全部ぶち込んだらこうなりましたって感じで作者さんの中では成立してるんだろうけど、話として見ると詰め込みすぎじゃない？って感じですね。どれか一つだけを集中して、取り組めばもっと話的にも奥行きが出たんじゃないのかなあという印象を感じました。

テリー・ライス @terry_rice88

要素をただぶち込んだだけで、演出のしようや話の展開とかがかなりおざなりになっている気がするなあ。結局主役は天使祓いの方なのか、めがね君のほうなのか描きたいのはどっちなのかよく分からなかったし。もっとスマートに話に入り込めるようにして欲しかったなあという感じの作品でした

テリー・ライス @terry_rice88

「ツキミのソバ」（作：小倉祐也）ジャンプ34号掲載。金未来杯参戦二回目の方。内容はSFラブコメかな。こちらも割りと話のテンプレートをなぞっているだけな感じが。いわゆる落ちものヒロインに追っ手が現れて、という感じのストーリー。この内容に対してページ数が多くて、冗長に感じたかな。

テリー・ライス @terry_rice88

悪くはないんだけど、褒められるべき点もないかんじだなあ。絵で攻めるにしても、キャッチーではあるかもしれないけど、トレンドからちょっとずれているような印象が。あとエピソードとエピソードが上手くメインストーリーに繋がってないから話が分散しちゃってる印象を持ったかな。

テリー・ライス @terry_rice88

バトル要素を詰め込むにしても、一般人のヒロインはメインのストーリーに対して余計だったように思う。もっと正ヒロインと主役の結びつきを強化するような構成のほうがわかりやすかったなあと。これもちょっと情報過多な上にスピード感が早くて無理にここまで複雑にしなくても、って感じが凄くする。

テリー・ライス @terry_rice88

「叢鋼-ムラハガネ-」（作：やしろ学）ジャンプ35・36合併号掲載。同じ作者さんが赤マルジャンプに掲載された読切「新鬼ヶ島」の一部キャラ設定などを流用した、近未来SFポリスストーリー。絵は独特の魅力がありますね。背景とかプロップとかが良く書き込まれててそういうのが好きなんだなあと

テリー・ライス @terry_rice88

話はキャラ紹介のために犯人を用意して、設定とキャラの信条を語らせたってだけなので、大きな物語が動いた印象はないか。上手く収まってるけど、手垢がつきすぎている作りでもあるから、話の面でもインパクトがやっぱり欲しい所だなあ。って、赤マルの読みきりのときも同じことを言ってた気がするな。

テリー・ライス @terry_rice88

絵が勝ちすぎちゃっているから、描写の方に力が入ってて、ストーリーが甘くなってるというのは絵に魅力のある人によくある問題点だと思うんだけどこれもその典型ですね。もっと話でキャラをカッコよく見せて欲しかったのとそれに伴う演出なども頑張ってほしかった。嫌いじゃないんだけど詰めが甘いなと

テリー・ライス @terry_rice88

「HUNGRY JORKER」（作：田畠裕基）ジャンプ37号掲載。これが今回の優勝作品でした。えー、ウィルスによって人間以外の生物が爆発的に進化してしまい自然の脅威に晒される世界でウィルスに犯された科学者が完全治療法を探し、敵と格闘する作品か。

テリー・ライス @terry_rice88

今までのエントリー作品の中じゃ、一番絵と話のバランスが取れている作品だなあというのが第一印象。話の纏まりが良くて、ちゃんとクライマックスに向けての段取りもきちんとしているのが好印象。で、作品世界を描くに対して十分な画力があってそれを生かしているのも、実力高いなあと思いました。

テリー・ライス @terry_rice88

すごく教科書どおりの丁寧な作品なんだけど、ここを出発点にして、どう個性を強めていくかが作者さんが次の段階へ行くかの課題じゃないかな。その点で言えば纏まりはいいけど、この作品を連載として引っ張る大きな物語が見えてこないというが欠点らしい欠点かな。さっき感想した「叢鋼」もそれは同じ。

テリー・ライス @terry_rice88

「WOLF×RED」（作：嵩橋ヒデキ）ジャンプ38号掲載。金未来杯参戦二回目作家。童話メルヘンモチーフのトラブルバスターファンタジーかなあ。絵は凄く魅力的ではあるんだけど、やっぱり今一歩な感じがする。コマ割とかがガチャガチャしてるせいなのか、なかなか頭に入ってこないのが欠点か。

テリー・ライス @terry_rice88

キャラや話が手堅いのに画面構成で損している感じがあるかなあ、漫画の場合、ストーリーを生かすも殺すもやはり、絵の見易さと分かりやすさであることはやっぱり否めないかなあと、この作品の場合は色んな所で画面がうるさい感じがなんとなくありましたね。おかげで毒にも薬にもならなくなっている。

テリー・ライス @terry_rice88

世界観や画力、絵柄にいいものを持ってても、それを整理して、ちゃんと読む人に提示するって言うのも大事だよなあと思います。確かに手堅く纏まってるんだけど、それが魅力的に見えなきゃ。、それまでって感じですねえ。その点で考えるとやっぱり派手さはなくて地味に見えちゃうのが残念でした。

テリー・ライス @terry_rice88

「実力派エリート迅」（作：葦原大介）ジャンプ44号掲載。「賢い犬リリエンタール」の作者。話はSF、なんだけど話の中心はSF設定じゃなくて、そこを舞台にして働く人々のドラマって感じですかね。巻末の作者コメントにも小市民的な悪役を描いたとあるので、キャラ描写が中心なんだろうかと。

テリー・ライス @terry_rice88

話の骨子はレスキューものに近くて、SF設定を使って、ギミックバトルにいってもおかしくはないはずなのに、そこで働く人々にスポットを当てて、そこでトラブルを発生させるという流れを作ってるのはプロのお仕事という感じがしますね。設定に流されずに話をちゃんと作ってるというは上手い。

テリー・ライス @terry_rice88

でも、命の関わりそうな設定にも拘らず、のほほんとしたユルさも感じるのは作者さんの作風が出ているなあと強く感じますね。ちゃんと物語のエピソードとして機能しているのでから安心して読めるなあ。ちゃんとジャンプらしさって言う点でも対応しているように思うし、お見事というほかありません。