#twnovel まとめ(2012/4/1-6)

銭喰 @zeniqui

#twnovel 彼女は冬、「寒いから」と身を寄せてきた。雨が降ると「濡れるの嫌だから」と傘に入ってきた。そして今日「風が強いから」と腕を絡めてきた。確信した私は「環境変化に耐えられるよう体を鍛えた方がいい」とプロテインを勧めた。以来彼女は寄ってこない。やっぱりプロテインって凄い

銭喰 @zeniqui

そもそもエイプリールフールと四月バカは起源が別です。エイプリールフールはヨーロッパで始まった由来がよく分からない風習ですが、四月バカは江戸時代に麦の先物取引を行う商人が収益を粉飾するため、三月決算時に計上する四月の想定相場価格を操作した『四月麦価』から来ています。#twnovel

銭喰 @zeniqui

#twnovel Twitterにも新参が増えて昔のTwitterを知る者は少ない。始めは日本語入力が出来ず、日本語圏ユーザーは「あ」なら「11」、「い」は「12」という風に数字を五十音に当てはめてやりとりしていた。当時はモノクロ液晶の専用端末「ポケベル」を誰しも持っていたのだ。

銭喰 @zeniqui

#twnovel 朝、包丁の音で目が覚めて、味噌汁の香りに誘われ居間に辿り着く。台所には君がいて、「おはよう」に「おはよう」が返ってくる。そんな生活に憧れて、味噌汁臭を漂わせ調理音を発し音声認識で挨拶を返すロボットを台所に置いた。「…おはよう」「オハヨウ」どこで間違えたのだろう。

銭喰 @zeniqui

#twnovel 彼女の背中に手を回すと拒絶するように両手で押してきたが、力は籠っていなかった。小さな背中。上から下に掌を這わせ、柔らかな臀部に辿り着くと「んっ」と切なげな声を上げる。「やっぱり背筋が足りない。だから両腕で押す力が弱いんだ」私は定期的な筋トレとプロテインを勧めた。

銭喰 @zeniqui

#twnovel 昨年の新入社員の中に、わが社の企業秘密を狙う侵入社員がいたらしい。判明した時には既に侵入社員は退職していて、わが社は大打撃を被った。今年も大勢新入社員が入ったが、今回は侵入の心配はないだろう。何故なら今年の社員は皆、わが社を買収した外資系からの進駐社員なのだ。

銭喰 @zeniqui

#twnovel かつて世界三大エルフの一角として興隆を誇った宇都宮エルフも、集落の過疎化が進んでいた。彼らはこれ以上の衰退を避けるため、観光資源の創造に着手する。幾多の試行錯誤の末彼らは、ついに彼らの特徴である長い耳をモチーフにした特産品を創り上げた。宇都宮ギョウザの誕生である

銭喰 @zeniqui

#twnovel 巧妙に隠されたダイイングメッセージにより、単独犯とばかり思われていたこの殺人事件の犯人が二人であることが判明した。しかし、新たな問題も浮上する。このダイイングメッセージを遺すためには、五人以上の人間が必要なのだ。つまり被害者はあと四人ほど何処かにいることになる。

銭喰 @zeniqui

#twnovel 「いないか…」「お探しですか？」男の呟きをペットショップ店員が聞きつけ、声を掛けてきた。「娘の誕生日プレゼントにね、犬を二匹頼まれているんだ」「なんという犬種ですか？」「娘はこう言ったんだ『オーソドッグスに、柴犬がいい』と。オーソドッグスという犬種はいるかい？」

銭喰 @zeniqui

#twnovel ある動物園近くの山には野生の猿が棲息していて最近動物園まで降りてくるというというので、地方局が取材にやって来た。「柵を作りました。タダ見させるわけにはいきませんからね」と誇らしげな園長。柵の向こうからこちら側を見る猿はしかし、柵の中の動物を興味深げに見つめていた

銭喰 @zeniqui

#twnovel 侍が二人、決闘することになった。「場所は如何に」「拙者は何処でもいい」「某もかまわん」「……」「……」沈黙の後、遠慮がちに幾つか候補を挙げたが、これと言う場所が決まらない。結局今日は解散となり、ファミレスを出る。「むう、端数が奇数だ」「某が出そう」「いや拙者が…

銭喰 @zeniqui

#twnovel 新社会人の会話。「窓際社員がいるんだ」「ああ、ウチもいるいる。あ、コイツ浮いてる、ってすぐわかるよな」「入り込めないからって暗い顔しててさあ」「諦めれば楽なのになあ」「上司が塩ぶつけてたけど効かねえの」「なにそれ、いじめ？」「え？　窓から入られたらヤバイじゃん」