オリジナルBL「監禁じゃないんです同棲です」

ハッシュタグ 同題ssTB様のお題に乗っかったオリジナルの中からうっかりシリーズになった「僕」と「君」と「あの人」の話。殴ったり泣かせたりしています。
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高瀬ろく@コミックス発売中 @raindrop_6

遠雷。「雷、鳴ってんな」俺の上で君が言う。「雷の後で来る雨は酷くなる」頭上で俺の手を絡めて鳴る手錠に、酷いのは今の君じゃないか、と思う。「まあ、好都合だよな。雨が酷い方が声が紛れる。だって俺、これからお前に」 低く嗤う、声。ああ、やっぱり。酷いのは今の君だ。#twblnovel

2012-04-08 02:42:29
高瀬ろく@コミックス発売中 @raindrop_6

#twblnovel 背中が焼けるように痛い。彼が手にしたベルトをまた振り上げた。風を切る音。堪えきれずに上げた悲鳴の大部分は口に突っ込まれたタオルに吸われて消えた。顔中を濡らすのが、涙なのか鼻水なのかも分からずに、僕はただ、ひたすら身体を丸めて震えていた。

2012-04-20 00:05:49
高瀬ろく@コミックス発売中 @raindrop_6

「ひっ…」ぴりっとした痛みと共に、君の舌が傷をなぞっていく。「痛い?」と訊く声は気遣いじゃなくて確認だ。ふるふると首を振って見せれば、君は同情交じりの表情で嗤った。「あの人の責めの方が良かったですってか。…捨てられたくせに」君の舌が僕の『傷』をなぞっていく。#twblnovel

2012-04-09 09:00:36
高瀬ろく@コミックス発売中 @raindrop_6

慣らしもせずに、君が僕の中に押し入ってくる。「いい加減認めろよ。お前あの人に捨てられたんだよ」揺さぶられる。痛くて痛くて張り裂けそうで、泣きながら首を振った。「その、ボクダケハチガイマスみたいな顔、むかつく」降ってくる君の声。痛くて痛くて張り裂けそうで、僕は #twblnovel

2012-04-10 08:57:40
高瀬ろく@コミックス発売中 @raindrop_6

「もうちょい口開けて、舌出して」言われるままに唾液を贈る。無理な姿勢で固定されてる所為で身体が痛い。「い、…っ」貴方がくれるものはいつでも痛みを伴って、だけど、「好きだよ。…可愛い」酷く甘いから。だから僕は、貴方から離れられない。#twblnovel

2012-04-12 14:21:34
高瀬ろく@コミックス発売中 @raindrop_6

#twblnovel 自他の区別もつかない暗闇の中で、彼だけが「光」だった。彼の傍にいる時だけ、俺は「自分」を認識する事ができた。生きてる、と思う事ができた。彼の光が誘蛾灯のそれと同じだと気づいた時には、もう抜け出せないぐらい彼に溺れていたんだ。

2012-04-13 17:40:09
高瀬ろく@コミックス発売中 @raindrop_6

あの人の、頭を撫でてくれる手を覚えている。キスをしてくれる唇を覚えている。僕を殴る手を覚えている。傷だらけの僕を抱く腕を覚えている…大好きだと言ってくれた、その唇を、「…おい、起きろよ。何寝ながら泣いてんの?」僕を見下ろすのは君。…あの人は… #twblnovel

2012-04-11 11:43:56
高瀬ろく@コミックス発売中 @raindrop_6

#twblnovel ここに連れて来られてから何も口にしていない。彼から渡されたものを口にするなんてとてもじゃないけどできないからだ。…でも、もう。「何か、何か飲ませて。水でいいから」「やっと『お願い』か。なんか入れるかも知んねーよ?」それでも良い。何でも良いから、お願い。限界。

2012-04-20 23:18:14
高瀬ろく@コミックス発売中 @raindrop_6

#twblnovel サイドテーブルに鍵。見覚えがある。僕をベッドに繋ぐ枷の鍵だ。彼の失態に笑みが抑えられない。歓喜に震える手で鍵を取って、「あれ?…え?」入らない!パニックになって鍵穴に鍵を押し付ける僕を、いつの間にか彼が見ていた。「それ、プレゼント。一瞬でも希望が持てたろ?」

2012-04-19 23:25:00
高瀬ろく@コミックス発売中 @raindrop_6

#twblnovel カーテンを開け放つ音と共に夜が終わる。昼間の君は優しい。昨夜の傷に薬を塗って、食事もちゃんと摂らせてくれる。(そう言えば)インスタントのスープを啜りながら思う。(僕を嬲ってる時だって、愉しそうではないんだよな…)顔を上げる。少しだけ、興味が湧いた。

2012-04-14 10:31:13
高瀬ろく@コミックス発売中 @raindrop_6

#twblnovel 「ただいまー」玄関から君の声。人を監禁しておいて、なんでそんなにのんびりしていられるの。て言うかトイレ行きたいからこれ外して欲しい。ドアを睨むようにして君を待ち構えて「…っ」「ん?」「…別に」戻ってきた君の、眼鏡を取る仕草にどきっとしたなんて、言えない。

2012-04-15 11:14:41
高瀬ろく@コミックス発売中 @raindrop_6

#twblnovel 「ねえ」打撲の痛み、擦過傷の痛み。いい加減開放されたい。「いつまでこんな事すんの」「しゃーねーだろ、お前、捨てられたって認めねーもん」「無理だよ。だって僕は捨てられてな」バシッと音がして視界がぶれる。顔を撲たれたのは初めてだ。「お前が認めるまで続くんだよ」

2012-04-14 17:41:25
高瀬ろく@コミックス発売中 @raindrop_6

#twblnovel その部屋に煙草のにおいがしない事に、僕は酷く安堵していた。だから。「…あれ?喫う人なの…?」平静を装ったつもりでも、そう訊いた声は上擦っていたかも知れない。空き缶を灰皿代わりに、トントンと煙草を叩きながら君が笑う。「喫うだけが煙草じゃねえだろ?」

2012-04-18 12:34:05
高瀬ろく@コミックス発売中 @raindrop_6

#twblnovel バシッと皮の音がして、君の身体が跳ねる。くぐもった呻き声。「うわ…いたそ…」思わず呟いたら、壁に手をついていた君が振り返って睨む。「…ったり前だろ…つかやってみたいとか言って変に溜めるのやめろ逆に怖いんだよ!」だって普通躊躇うじゃない!やっぱりSって変態だ!

2012-04-16 21:58:21
高瀬ろく@コミックス発売中 @raindrop_6

#twblnovel 「あー、そうそう。やっぱりこの眺めが良いわ」壁に手をつかせて尻を向けろと要求する。手にしたベルトを左右に張れば、それだけで連れの体がびくっと揺れた。「…おいおい。まだ何もしてねーだろ」怯えているのかと思いきや、腹の前でゆれるそれ。Mの方が変態だろうよ。

2012-04-16 22:32:22